距離空間の別定義をゲットしたのでメモ。何の役に立つかはさっぱりわからん。
まず、集合$X$上の距離とは$X\times X$から$\mathbb{R}^{+}_{0}$への写像で以下の公理を満たすものを指す。$\mathbb{R}^{+}_{0}$は非負実数全体で$+\infty$を含めない。
集合$X$上の距離とは、写像$d:X\times X\rightarrow\mathbb{R}_0^+$で
さて、公理のことは一旦置いといて、$X\times X$から$\mathbb{R}_0^+$への写像全体を言い換える。
$X\times X$から$\mathbb{R}_0^+$への写像$d\in\text{Map}(X\times X,\mathbb{R}_0^+)$は、$X$上二項関係の$\mathbb{Q}_0^+$個の族$U_\bullet=(U_\varepsilon)_{\varepsilon\in\mathbb{Q}_0^+}\in\text{Map}(\mathbb{Q}_0^+,\mathcal{P}(X\times X))$のうち、次の(I),(II)の条件を満たすものと一対一対応する。
要は$(x,y)\in U_\varepsilon\Longleftrightarrow d(x,y)\leq\varepsilon$になるようにするってこと。そういった意味で、$(x,y)\in U_\varepsilon$を「$(x,y)$は$\varepsilon$近」と私は呼んでいる。
この同一視の下で、距離の4つの公理に対応する公理を書く。
$(X,U_\bullet)$を(I),(II)を満たすものとする。定理1の同一視の下で、対応する距離の公理はそれぞれ次のようになる*1。
$(x,y)\in U_\varepsilon\Longleftrightarrow d(x,y)\leq\varepsilon$と置き換えてチェックすれば十分。三角不等式以外は自明。三角不等式から(M4)が出ることも自明。
同様にして、非拡大写像も言い換えてみよう。
$(X,d_X),(Y,d_Y)$を距離空間とする。写像$f:X\rightarrow Y$が非拡大写像であるとは、次の性質を満たすこと。
$(X,U_\bullet),(Y,V_\bullet)$を(I),(II)を満たすものとする。定理1の同一視のもとで、非拡大性に対応する性質はこれだ*3。
定理2の証明と同じである。$A=d_X(x,y),B=d_Y(f(x),f(y))$と置けばよい。
最後に、今回私が導入した距離空間の定義まとめる。
距離空間とは、集合$X$と写像$U_\bullet:\mathbb{Q}_0^+\rightarrow\mathcal{P}(X\times X)$のペア$(X,U_\bullet)$のうち、公理(I),(II),(M1)~(M4)*1を満たすものである。
↑よく見るとこの定義は有理数しか使っていない.(...というのはあまり正確ではなくて、実数を有理数と(I),(II)に分解している)。何らかの形で実数が前もって定義されているならば、この定義は標準的な距離の定義と同値になる。
何か言っているようで何も言っていない