ロボ太さんの記事
でサイクロイド曲線がスネルの法則の連続版から得られることが示されていて興味深いと思ったので最後の問題,なぜ入射角の2倍がサイクロイドの回転角になるか,について考えたいと思います.
この記事を読むまで最速降下曲線がスネルの法則の連続極限だという見方はしたことがありませんでした.後から振り返ると確かにどちらも最速で移動する問題だったなと思うと同時に,当然のように感じられるようになりました.
以下では物体の質量は1であるとします.
記事と同様の記号を用います.回転角$\phi$のときの入射角,速さをそれぞれ$\theta(\phi)$,$v(\phi)$とおきます.連続版スネルの法則から定数$C$が存在して
$\dfrac{\text{sin}\theta(\phi)}{v(\phi)}=C$が成り立ちます.ここで$\phi=\pi$のときを考えるとエネルギー保存則から
$\dfrac{1}{2}v(\pi)^2=2ga$,$v(\pi)=2\sqrt{ag}$.よって
$C=\dfrac{1}{2\sqrt{ag}}$.
次に回転角$\phi$のときの速さを求めます.エネルギー保存則から
$2ag=\dfrac{1}{2}v(\phi)^2+2ag-ag(1-\text{cos}\phi)$
$v(\phi)=\sqrt{2ag(1-\text{cos}\phi)}$.
よって
$\text{sin}\theta(\phi)=\dfrac{\sqrt{2ag(1-\text{cos}\phi)}}{2\sqrt{ag}}=\sqrt{\dfrac{1-\text{cos}\phi}{2}}$.ここで$\phi=2\theta'$とおいて
$\text{sin}\theta(\phi)=\text{sin}\theta'$.$\theta(\phi)$,$\theta'$の範囲から$\theta(\phi)=\theta'=\dfrac{1}{2}\phi$.
これで入射角の2倍が回転角になることが証明できました. $\theta'(\phi)=\dfrac{1}{2}$という関係は興味深いです.