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積分・級数botを解く integral 1-5

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積分を解く

今週も積分・級数botの積分を解きましょう。

解く積分

integral 1-5

0π4coslntanxdx=π4coshπ2

かなり原始関数がイカツいですが、どうやって求めるのでしょうか。
場合によってはcosxをテイラー展開したくなりますが、今回は悪手です。
困った時は、三角関数の位相(今回はlntanx)を丸ごと置換してみましょう。

Iの式変形

位相を丸ごと置換

I=0π4coslntanxdx=0etcost1+e2tdtlntanxt=120(eit+eit)et1+e2tdtcost=eit+eit2=1201yi+yi1+y2dyety=1201n=0(y2)n(yi+yi)dy=12n=0(1)n01y2n+i+y2nidy=12n=0(1)n(12n+i+1+12ni+1)=12n=0(1)n(2n+1i)+(2n+1+i)(2n+1+i)(2n+1i)=12n=0(1)n2(2n+1)(2n+1)2i2=n=0(1)n(2n+1)1+(2n+1)2=14n=0(1)n(2n+1)(12)2+(n+12)2

※最後の式変形で、わざわざ4で割った理由については後で分かります。

積分が級数に変形出来ました。
僕が初めてこの問題を見たときは、この後の式変形がわかりませんでしたが、三角関数の部分分数展開を使うと上手くいくことを教えてもらい、解くことが出来ました。
そのためにまず、sinxの無間乗積展開を導入します。

sinxの無限乗積展開

sinπxの無限乗積展開(証明略)

sinπx=πxn=1(1x2n2)

xは複素数を代入しても成り立ちますが、今回は実数で十分なので文字はxとしておきます。

フーリエ級数などを使えば証明できますが、
sinxx=0,±nπを零点に持ち、テイラー展開したときのxの係数が1なので成り立ちそうだなぁと思えば大丈夫です。

これを使うと様々なことが分かります。
命題5を目指して以下の補題、命題を順番に証明していきましょう。

πcotπxの部分分数展開

πcotπx=1x+n=12xx2n2

証明定理1より、sinπx=πxn=1(1x2n2)ddxlnsinπx=ddxln(πxn=1(1x2n2))πcosπxsinπx=1x+n=1ddxln(1x2n2)πcotπx=1x+n=12xx2n2
πcscπxの部分分数展開

πsinπx=1x+n=1(1)n2xx2n2=n=(1)nx+n

証明1sinπx+cotπx=cotπz2πsinπx=πcotπx2πcotπx=2x+n=1x(x2)2n21xn=12xx2n2=1x+2n=12xx2(2n)2n=12xx2n2=1x+n=1(1)n2xx2n2=1x+n=1((1)nx+n+(1)nxn)=n=(1)nx+n
πsecπxの部分分数展開

πcosπx=n=0(1)n(2n+1))x2(n+12)2=n=(1)nx+12+n

証明πcosπx=πsinπ(x+12)=n=(1)nx+12+n=n=1(1)nx+12+n+(1)nx+12n+1x+12=n=1(1)n1x12+n+(1)nx+12n=n=1(1)n(2n1)x2(12n)2=n=0(1)n(2n+1)x2(n+12)2
πsechπxの部分分数展開

πcoshπx=n=0(1)n(2n+1)x2+(n+12)2

証明πcoshπx=πcosπix=n=0(1)n(2n+1)(ix)2(n+12)2=n=0(1)n(2n+1)x2+(n+12)2

※補題3,4の右辺は、同じ速度でからに極限を飛ばします。

Iを求める

ここで、Iをあの形に変形した理由が見えてきます。

I=14n=0(1)n(2n+1)(12)2+(n+12)2

だったことを思い出すと、
命題5のx1/2を代入したものと等しいことが分かります。
よって、

I=14n=0(1)n(2n+1)(12)2+(n+12)2=π4coshπ2

となって求めたかった積分が示せました。

三角関数の部分分数展開は今回初めて使ったので、
誤植等を見つけたらコメント欄で指摘してください。
それではまた来週。

投稿日:20241027
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