この記事は1で勉強したことのまとめである.
前回までの記事はこちら; 2, 3.
以下でよく用いられる記号を導入する.
$T$を完備離散付値環(cdvr)でuniformizerを$t \in T$とし, $\hat{X}$を$T$上smooth projectiveな連結曲線でclosed fibreを$X$, 関数体を$F$とする. $R_\emptyset=\mathcal{O}_{\hat{X},\eta}$を$X$のgeneric point$\eta$における$\hat{X}$の局所環とする. $U \subset X$を部分集合とするとき,
特に, $\hat{R}_\emptyset$は$R_\emptyset=\mathcal{O}_{\hat{X},\eta}$の$t$進完備化である. これはcdvrでuniformizerが$t$であり, 剰余体は$X$の関数体である.
また, すべての$U$に対して$F \subset F_U$であり, $V \subset U$ならば$F_U \subset F_V$である.
$T$をcdvrとし, $\hat{X}$を$T$上smooth projectiveな連結曲線でclosed fibreを$X$とする. $U_1, U_2 \subset X$を部分集合とし, $U:=U_1 \cup U_2$, $U_0:=U_1 \cap U_2$とおく.
このとき, $F_{U_0}$内において$F_{U_1}\cap F_{U_2}=F_{U}$が成り立つ.
これを用いて, 次が証明できる:
$T$をcdvrとし, $\hat{X}$を$T$上smooth projectiveな連結曲線でclosed fibreを$X$とする. $U_1, U_2 \subset X$を部分集合とし, $U_0:=U_1 \cap U_2$とおく.
このとき, 任意の行列$A \in \operatorname{GL}_n(F_{U_0})$に対し, 行列$A_1 \in \operatorname{GL}_n(F_{U_1})$, $A_2 \in \operatorname{GL}_n(F_{U_2})$が存在して$A=A_1A_2$が成り立つ.
上の定理でGLをMatで置き換えることはできない.
$U \subset X$に対し, $V(U)=\operatorname{Vect}(F_U)$とかく.
$T$をcdvrとし, $\hat{X}$を$T$上smooth projectiveな連結曲線でclosed fibreを$X$とする. $U_1, U_2 \subset X$を部分集合とし, $U_0:=U_1 \cap U_2$とおく.
このとき, 基底変換関手
$$V(U_1 \cup U_2) \to V(U_1)\times_{V(U_0)}V(U_2)$$
は圏同値である.
序章の一般論より, Theorem 4.9, 4.10から従う.
$2$個ではなく$r$個のベクトル空間の貼り合わせに一般化できる.
$T$をcdvrとし, $\hat{X}$を$T$上smooth projectiveな連結曲線でclosed fibreを$X$とする. $U_1, U_2,\dots, U_r \subset X$を部分集合とし, $U_i \cap U_j$ ($i\neq j$)はすべてある$U_0$に等しいと仮定する. $U=\bigcup_{j=1}^r U_j$とおく.
このとき, 基底変換関手
$$V(U) \to V(U_1)\times_{V(U_0)} \dots \times_{V(U_0)}V(U_r)$$
は圏同値である.
以下では, 体$F$に対し, $F$代数は有限次元であると仮定する.
可換$F$代数は単位元$1$を持つと仮定する.
$T$をcdvrとし, $\hat{X}$を$T$上smooth projectiveな連結曲線でclosed fibreを$X$とする. $U_1, U_2,\dots, U_r \subset X$を部分集合とし, $U_i \cap U_j$ ($i\neq j$)はすべてある$U_0$に等しいと仮定する. $U=\bigcup_{j=1}^r U_j$とおく.
このとき, patching (圏同値
$$V(U) \to V(U_1)\times_{V(U_0)} \dots \times_{V(U_0)}V(U_r)$$
)の結果は, $V$を有限次元ベクトル空間のなす圏の代わりに, 以下の圏に置き換えても成り立つ.
$\beta$がテンソル圏の同値であること, また, それぞれの代数は適当な準同型の存在で特徴づけられることによる.
$F$上の斜体に対しては成り立つとは限らない(係数拡大するとsplitするかもしれない).
しかし, division algebraのpatchingにより得られるcentral simple algebraはdivision algebraである.
体$F$のBrauer群を$\operatorname{Br}(F)$とかく.
$T$をcdvrとし, $\hat{X}$を$T$上smooth projectiveな連結曲線でclosed fibreを$X$とする. $U_1, U_2 \subset X$を部分集合とし, $U_0:=U_1 \cap U_2, U:=U_1 \cup U_2$とおく.
このとき, 自然な準同型$\beta : \operatorname{Br}(F_U) \to \operatorname{Br}(F_{U_1}) \times_{\operatorname{Br}(F_{U_0})} \operatorname{Br}(F_{U_2})$は群の同型である.