$n$と$m$の最大公約数を$(n,m)$で表し、$n$と$m$の最小公倍数を$\{n,m\}$で表す。
$$ a(b,c)=(ab,ac) $$
$l=\{ab,ac\}$とおくと$l$は$ab$と$ac$の公倍数なので
$$
l=abc'=acb'\tag{1}\label{1}
$$
とおける。
次に$a$と$b$と$c$の積$abc$は、$ab$の倍数、かつ$ac$の倍数なので、$ab$と$ac$の公倍数。よって
$$
abc=dl \tag{2}\label{2}
$$とおける。
式(\ref{1})を式(\ref{2})に代入して、
$$
abc=dabc'=dacb'
$$この式から
$$
\BEQ
b=db'\\
c=dc'
\EEQ
$$を得る。これらの式から$d$が$b$と$c$の約数であることが分かる。よって$d$は$b$と$c$の公約数。二つ以上の整数の公約数はそれらの整数の最大公約数の約数なので、$m=(b,c)$とすると
$$m=de$$とおける。
$b$は$m$で割り切れるので、$b'$は$e$で割り切れる。同様に$c'$も$e$で割り切れる。よって
$$
\BEQ
c'=ec'' \\
b'=eb'' \\
\EEQ
$$を得る。これらの式を式(\ref{1})に代入して
$$
l=abc''e=acb''e
$$を得る。
$e>1$と仮定すると$\frac{l}{e}$は$ab$と$ac$の公倍数となるが、$\frac{l}{e}< l$となり$l$の最小性に矛盾。
よって
$e=1$
を得る。つまり$m=d$、つまり式(\ref{2})から
$$
abc=ml
$$を得る。
つぎに両辺に$\frac{a}{l}$を掛けて
$$
\frac{a^2bc}{l}=am=a(b,c)
$$を得る。
ここで、最大公約数と最小公倍数は
$$nm=(n,m)\{n,m\}$$
という性質を持つので、
$$
a^2bc=ab \cdot ac=(ab,ac)\{ab,ac\}=(ab,ac)l
$$から
$$
\frac{(ab,ac)l}{l}=a(b,c)
$$
ゆえに、
$$
(ab,ac)=a(b,c)
$$を得て、公式が示された。