0

(古典的)代数幾何の計算でよく使うテクニック

131
0
$$\newcommand{Spec}[0]{\text{Spec}} $$

!!これは自分用メモです!!

ハーツホーンI章の演習問題を解いていく中で、覚えておきたいテクニックをメモしていくもの。

生成元の行き先を決めれば代数の準同型が決まるやつ

[青雪江] 命題1.3.14と同じ。(詳しい証明はそっちを参照。)

$k$を体、$k[x_1, \dots, x_n]$$k$上の$n$変数多項式環とする。また、$A$$k$代数とする。

「生成元の行き先」$a_1, \dots, a_n \in A$を与えれば、$k$準同型 $\phi: k[x_1, \dots, x_n] \rightarrow A$で、
$$ \phi(x_1) = a_1, \phi(x_2) = a_2, \dots , \phi(x_n) = a_n $$
なるものが一意に定まる。

$\phi$は具体的には $f(x_1, \dots, x_n)$$x_1 = a_1, \dots, x_n = a_n$を代入する写像である(下の例を参照)。

$n=2$, $A = k[t]$ とする。
$\phi(x) = t, \phi(y) = t^2$ により $\phi: k[x, y] \rightarrow k[t]$ を定める。
例えば $f = x^2 + xy + 2y^2 \in k[x, y]$ に対して、
$\phi(f) = \phi(x)^2 + \phi(x)\phi(y) + 2\phi(y)^2 = t^2 + t \cdot t^2 + 2(t^2)^2 = t^2 + t^3 + 2t^4$となる。

根基イデアルで割ると冪零元を持たない(= 被約)。逆も成り立つ。
c.f.) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A2%AB%E7%B4%84%E7%92%B0

  • 0でない冪零元を持たない環を被約環と呼ぶ。
  • 自身の根基と等しいようなイデアルを根基イデアルと呼ぶ。

命題:
$A$を可換環、$J$をそのイデアルとする。このとき、
$J$が根基イデアル $\Leftrightarrow$ 剰余環$B := A/J$は0でない冪零元を持たない、すなわち被約環である。

$b \in A$が定める$B$での同値類を$\bar{b}$ と書くことにする。
($\Rightarrow$)$\bar{b} \in B$が冪零元であるとすると、$\exists n > 0, \ \ \bar{b}^n = 0$ in $B$.
これは $b^n \in J \subset A$を意味する。イデアルの根基の定義を思い出すと、$b\in \sqrt{J}$.
ところが$J$は根基イデアルなので$\sqrt{J} = J$. したがって$b \in J$.
これは$B$に移ると、$\bar{b} = 0$ in $B$を意味する。
これで$B$の冪零元は0のみであることが分かり、($\Rightarrow$)が示された。

($\Leftarrow$) $J$が根基イデアルでないとすると $J \subsetneqq \sqrt{J}$. したがって$b \notin J$かつ$b^n \in J, \ n > 1$なる$b \in A$が存在する。これを$B$に移すと$\bar{b} \neq 0$かつ$\bar{b}^n = 0$. すなわち$\bar{b}$は0でない冪零元ということになり、これは$B$が被約であることに矛盾する。したがって$J$は根基イデアルでなければならない。

Noether的位相空間の既約成分は既約閉部分集合の極大元である
ハーツホーン 命題1.5にある既約成分表示 $Y = Y_1 \cup \dots \cup Y_r$に出てくる既約成分$Y_1, \dots Y_r$$Y$の既約閉部分集合全体の族における極大元である。また、その極大元はこれらで尽きている。

$C$$Y$の既約閉部分集合とする。$C\subseteq Y$.
$C = C \cap Y$より

$$ C = \bigcup_i (C \cap Y_i). $$
$C$$Y_i$も閉集合なので$(C \cap Y_i)$は閉集合。$C$の既約性より、ある$i$について$C = C\cap Y_i$ すなわち$C \subseteq Y_i$.
したがってどんな既約閉集合$C$$Y_i$たちのどれかより真に大きい($Y_i \subsetneq C$)ということはない。のみならず、ある$Y_i$に含まれる($C \subseteq Y_i$)ので$Y_i$たちを除いては極大元は存在しない。これで題意が示された。

投稿日:512
更新日:610
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中