ここでは科学大数学系の修士課程の院試の2025午後06の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです
2025午後06
上の領域に対して
と定義する。但し
である。
- を示しなさい。
- としたとき、制限写像
は全単射であることを示しなさい。 - とする。及び実数に対し包含
が成り立つとき、不等式
を示しなさい。 - 関数列は極限
を満たしているとする。このとき
を満たすようなが存在することを示せ。
- まず平均値の定理から
である。極限をとると、任意のについてがわかるから、所望の結果が得られた。
もしくはのテイラー展開を
とおく。このときテイラー展開の広義一様収束性を考慮すると、等式
が満たされている。よってあるに対してであったとすると不等式
であり仮定に反する。よって所望の結果が得られる。 - 単射性は一致の定理から従う。以下全射性を示す。まず任意に取ったのローラン展開を
とおく。このとき(1)の後半と同様にローラン展開の広義一様収束性を考慮すると、等式
が満たされている。よってあるに対してであったとすると不等式
であり仮定に反する。よってはの除去可能特異点であるから、はの元に拡大される。 - (1)の前半と同様に平均値の定理から不等式
が得られ、これが所望の結果である。 - まずは完備位相空間なので、特に所望のが存在する。あとはこのが正則関数であることを示せばよく、そのためにはがに広義一様収束することを示せば良い。まずをコンパクト集合とし、を任意のに対してになるような実数とする。このとき(3)から任意のについて
が満たされている。これにより広義一様収束性が従い、所望の結果が示せた。