初めまして!今回が初めての記事になります!よろしくお願いします!
今回扱うのは、Mathlogで記事を書かれている Mathお さんが作った漸化式の問題です。内容は以下のようになっています。
数列$\{a_n\}$は
$\displaystyle a_1 = 2, \, a_{n+1} = 1 + \frac{\, n(n+2) \,}{a_n}$
を満たしている.数列$\{a_n\}$の一般項を$n$を用いて表せ.
(元の記事: https://mathlog.info/articles/THwbmqosZql0lDlsV54C )
解答ではなく、説明形式の解説という書き方になっています。途中式の計算は省いています。
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それでは解説をしていきます。
パッとみた感じ、数学Bで習う数列のパターンでは解けなさそうだったので、数列や整数問題のセオリーである「実験(※1)」をしてみました。
(※1 実験:与式の文字に具体的な数字を代入してみること)
結果だけ書きます。
$n$ | $a_n($仮分数表記$)$ | $a_n($小数表記$)$ | $a_n($帯分数表記$)$ |
---|---|---|---|
$1$ | $2$ | $2$ | $2$ |
$2$ | $\begin{align}\frac{\, 5 \,}{2}\end{align}$ | $2.5$ | $2\begin{align}\frac{\, 1 \,}{2}\end{align}$ |
$3$ | $\begin{align}\frac{\, 21 \,}{5}\end{align}$ | $4.2$ | $4\begin{align}\frac{\, 1 \,}{5}\end{align}$ |
$4$ | $\begin{align}\frac{\, 32 \,}{7}\end{align}$ | $4.57...$ | $4\begin{align}\frac{\, 4 \,}{7}\end{align}$ |
$5$ | $\begin{align}\frac{\, 25 \,}{4}\end{align}$ | $6.25$ | $6\begin{align}\frac{\, 1 \,}{4}\end{align}$ |
$6$ | $\begin{align}\frac{\, 33 \,}{5}\end{align}$ | $6.6$ | $6\begin{align}\frac{\, 3 \,}{5}\end{align}$ |
$7$ | $\begin{align}\frac{\, 91 \,}{11}\end{align}$ | $8.27...$ | $8\begin{align}\frac{\, 3 \,}{11}\end{align}$ |
$8$ | $\begin{align}\frac{\, 112 \,}{13}\end{align}$ | $8.61...$ | $8\begin{align}\frac{\, 8 \,}{13}\end{align}$ |
$9$ | $\begin{align}\frac{\, 72 \,}{7}\end{align}$ | $10.28...$ | $10\begin{align}\frac{\, 2 \,}{7}\end{align}$ |
$10$ | $\begin{align}\frac{\, 85 \,}{8}\end{align}$ | $10.625$ | $10\begin{align}\frac{\, 5 \,}{8}\end{align}$ |
$11$ | $\begin{align}\frac{\, 209 \,}{17}\end{align}$ | $12.29...$ | $12\begin{align}\frac{\, 5 \,}{17}\end{align}$ |
$12$ | $\begin{align}\frac{\, 240 \,}{19}\end{align}$ | $12.63...$ | $12\begin{align}\frac{\, 12 \,}{19}\end{align}$ |
$13$ | $\begin{align}\frac{\, 143 \,}{10}\end{align}$ | $14.3$ | $14\begin{align}\frac{\, 3 \,}{10}\end{align}$ |
$14$ | $\begin{align}\frac{\, 161 \,}{11}\end{align}$ | $14.63...$ | $14\begin{align}\frac{\, 7 \,}{11}\end{align}$ |
$...$ | $...$ | $...$ | $...$ |
ここまで実験してみると、各項の整数部分は、初項$2$で、奇数項$n+1$、偶数項$n$である数列$\big\{[a_n]\big\}$$\big([ \,]:$ガウス記号$\big)$だと分かります。
$$ \big\{[a_n]\big\}:2, 2, 4, 4, 6, 6, 8, 8, 10, 10, 12, 12, 14, 14, ... $$
$$ \begin{eqnarray} [a_n]= \begin{cases} n+1 (n:\text{奇数})\\ \\ n \,(n:\text{偶数}) \end{cases} \end{eqnarray} $$
$$
\begin{eqnarray}
b_n=
\begin{cases}
0, \dfrac{1}{5}, \dfrac{1}{4}, \dfrac{3}{11}, \dfrac{2}{7}, \dfrac{5}{17}, \dfrac{3}{10}, ... \,(n:\text{奇数})\\
\\
\dfrac{1}{2}, \dfrac{4}{7}, \dfrac{3}{5}, \dfrac{8}{13}, \dfrac{5}{8}, \dfrac{12}{19}, \dfrac{7}{11}, ... (n:\text{偶数})
\end{cases}
\end{eqnarray}
$$
見た感じ、等差数列でも等比数列でもなさそうです。なので、$\{b_n\}$の階差数列$\{c_n\}$について考えてみます。
$$
\begin{eqnarray}
c_n=
\begin{cases}
\dfrac{1}{5}, \dfrac{1}{20}, \dfrac{1}{44}, \dfrac{1}{77}, \dfrac{1}{119}, \dfrac{1}{170}, ... (n:\text{奇数})\\
\\
\dfrac{1}{14}, \dfrac{1}{35}, \dfrac{1}{65}, \dfrac{1}{104}, \dfrac{1}{152}, \dfrac{1}{209}, ... (n:\text{偶数})
\end{cases}
\end{eqnarray}
$$
$\{c_n\}$は分子が$1$である分数の数列になりました。しかし、これも一般項が簡単には分かりません。とりあえず、この逆数をとって、その数列$\{d_n\}$について考えてみます。
$$
\begin{eqnarray}
d_n=
\begin{cases}
5, 20, 44, 77, 119, 170, ... (n:\text{奇数})\\
\\
14, 35, 65, 104, 152, 209, ... (n:\text{偶数})
\end{cases}
\end{eqnarray}
$$
$\{d_n\}$も、見た感じでは一般項が分からなさそうなので、その階差数列$\{e_n\}$を考えてみます。
$$
\begin{eqnarray}
e_n=
\begin{cases}
15, 24, 33, 42, 51, ... (n:\text{奇数})\\
\\
21, 30, 39, 48, 57, ... (n:\text{偶数})
\end{cases}
\end{eqnarray}
$$
ここでやっと、規則性を発見できました。それは、$\{e_n\}$の項がすべて$3$の倍数であるということです。また、各項を$3$で割った数列はそれぞれ、初項を$5,\,7$、公差を$3$とする等差数列となっています。したがって、$\{e_n\}$の一般項は次のようになります。
$$
\begin{eqnarray}
e_n=
\begin{cases}
9k+6 (n=2k-1 (k=1,2,...))\\
\\
9k+12 (n=2k (k=1,2,...))
\end{cases}
\end{eqnarray}
$$
あとは逆に辿って各数列の一般項を求めていきます。結果だけ書きます。
$$
\begin{eqnarray}
d_n=
\begin{cases}
\dfrac{\, 9k^2+3k-2 \,}{2} (n=2k-1 (k=1,2,...))\\
\\
\dfrac{\, 9k^2+15k+4 \,}{2} (n=2k (k=1,2,...))
\end{cases}
\end{eqnarray}
$$
$$
\begin{eqnarray}
c_n=
\begin{cases}
\dfrac{2}{\, 9k^2+3k-2 \,} (n=2k-1 (k=1,2,...))\\
\\
\dfrac{2}{\, 9k^2+15k+4 \,} (n=2k (k=1,2,...))
\end{cases}
\end{eqnarray}
$$
$$
\begin{eqnarray}
b_n=
\begin{cases}
\dfrac{k-1}{\, 3k-1 \,}=\dfrac{n-1}{\, 3n+1 \,} (n=2k-1 (k=1,2,...))\\
\\
\dfrac{2k}{\, 3k+1 \,}=\dfrac{2n}{\, 3n+2 \,} (n=2k (k=1,2,...))
\end{cases}
\end{eqnarray}
$$
よって、$a_n=[a_n]+b_n$であるから、
$$
\begin{eqnarray}
a_n=
\begin{cases}
n+1+\dfrac{n-1}{\, 3n+1 \,} (n:\text{奇数})\\
\\
n+\dfrac{2n}{\, 3n+2 \,} \,(n:\text{偶数})
\end{cases}
\end{eqnarray}
$$
これを式変形すると、元の記事で得られた解答と一致しました。
なぜ$\{b_n\}$を奇数と偶数の項で分けて考えたのかという理由を説明します。
GeoGebraというスマホアプリを使って、小数部分の値をプロットしたのが図1です。
$\text{横軸}:n,\,\text{縦軸}:b_n\text{のグラフ}$
$(\text{上側}:\text{偶数項},\,\text{下側}:\text{奇数項})$
図1から分かるように、$\{b_n\}$の傾向は、項が奇数か偶数かで分かれています。なので、$\{b_n\}$の傾向を掴みやすくするために、奇数と偶数の項で分けて考えました。
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計算は単純でしたが、解法を思いつくのが大変でした。
よく、解ける漸化式の問題は少ないと言われています。今回の問題も、解けると分かっていなかったら$\{a_n\}$を$14$項まで求めていないと思います。解けることが分かっているから、時間を掛けて問題に取り組めました。漸化式だけでなく、他の数学の問題に対しても、解けるかどうかの判断ができるようになるために、様々な方法で解くことが大事なのかもしれないと改めて思いました。
P.S. 7時間25分かけて書いた記事が上手く保存されていなくて絶望しました。なんとか追加で8時間かけて修復+清書をすることができました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!