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行列(タイトル抽象的過ぎ)

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こんにちは。最近の生活が数学にむしばまれてきてるArsenicです。
さて、今回は、こちらの積分の解き方を解説していきます。
あくまで僕の解法であり、もっとスマートな解き方があったら教えていただきたい次第です。

問題

行列

$$I=\int_{0}^{\infty} e^{-x^2} \cos {\begin{pmatrix} 0 & x & x \\ 0 & 0 & x \\ 0 & 0 & 0 \end{pmatrix}} dx$$

えぐいです。だから記事にします。

どのように討伐すべきか

おそらくですが、読者の皆様や僕が初見で思ったことは、「行列の余弦」をどのように討伐するのかということです。
悩んでいても埒が明かないので、とりあえず$\cos$に関する式を並べてみます。(筆者はここに手惑い、twitterのほうで叫んだ)

余弦に関する有名な某展開の式

$$ \cos x=\sum_{k=0}^{\infty} \dfrac{(-1)^k x^{2k}}{(2k)!}$$

これを得た瞬間、すべてが見えました。
つまり、$x$に何が入ろうともこの式は成り立つワケです。
だから、「行列をブチ込む」という荒業をします。
あくまでも、行列指数関数と同じような作業をするだけです。

ガンマ関数

準備はできたので、解きましょう.
..の前に、登場する特殊関数に関して軽く触れます。
( 前の記事 でバンバン使いました。。)

みんな友達ガンマ関数

$$\Gamma(x)=\int_0^{\infty} t^{z-1} e^{-t} dt$$

解く

解くのに必要な道具が完全にそろったので、解きます。

$$I=\int_{0}^{\infty} e^{-x^2} \cos {\begin{pmatrix} 0 & x & x \\ 0 & 0 & x \\ 0 & 0 & 0 \end{pmatrix}} dx$$
この行列を$A$とおく。
この時、$A^0=I_3$
$A^2=AA$
$$={\begin{pmatrix} 0 & x & x \\ 0 & 0 & x \\ 0 & 0 & 0 \end{pmatrix}} {\begin{pmatrix} 0 & x & x \\ 0 & 0 & x \\ 0 & 0 & 0 \end{pmatrix}} $$
$$= {\begin{pmatrix} 0 & 0 & x^2 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \end{pmatrix}} $$
$ A^4=O_3、A^{2k}=O_3(k≧2)$
$$\therefore \cos A= {\begin{pmatrix} 1 & 0 & -\frac{1}{2} x^2 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}}$$
$$\to e^{-x^2} {\begin{pmatrix} 1 & 0 & -\frac{1}{2} x^2 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}}$$
$$\int_{0}^{\infty} e^{-x^2} {\begin{pmatrix} 1 & 0 & -\frac{1}{2} x^2 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}} $$
$$\to {\begin{pmatrix} \int_0^{\infty} e^{-x^2} dx & 0 & -\frac{1}{2} \int_0^{\infty} x^2 e^{-x^2} \\ 0 & \int_0^{\infty} e^{-x^2} dx & 0 \\ 0 & 0 & \int_0^{\infty} e^{-x^2} dx \end{pmatrix}}$$
$$={\begin{pmatrix} \frac{\sqrt{\pi}}{2} & 0 & -\frac{1}{2} \int_0^{\infty} x^2 e^{-x^2} \\ 0 & \frac{\sqrt{\pi}}{2} & 0 \\ 0 & 0 & \frac{\sqrt{\pi}}{2}\end{pmatrix}}$$
$$I_{13}=\int_0^{\infty} x^2 e^{-x^2} dx$$
$x^2=u\to x=\sqrt{u} \to dx=\frac{1}{2} u^{-\frac{1}{2} } du$
$$=I_{13}=\dfrac{1}{2} \int_{0}^{\infty} u e^{-u} u^{-\frac{1}{2}} du$$
$$=\dfrac{1}{2} \int_0^{\infty} u^{\frac{1}{2}} e^{-u} du$$
$$=\dfrac{1}{2} \Gamma\left(\frac{1}{2}+1\right)$$
$$\therefore I_{13}=\dfrac{1}{4} \sqrt{\pi}$$
$$\therefore I=\dfrac{\sqrt{\pi}}{2} \begin{pmatrix} 1 & 0 & -\frac{1}{4} \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}$$

$I$に関して

上の証明で、$I$がたくさん出て来たので解説。
$I_3$...三次の恒等行列
$I$...最終的に求めたい積分
$I_{13}$...行列の1-3成分に残った積分

考察と感想

答えは結構きれいになりました。解いた後に、「なんでこんなに簡単なものに悩んでいたのだろう」と思ってしまう僕がいるのが結構悲しいです。
行列の余弦は、某展開によって考えることができたので、正弦でもうまくいきそうですし、何なら漸化式まで立てられそうです。

最後に

今回の記事は以上です。なんか新しい発見ができたら筆をとろうと思います。
誤植等を発見したかもしれない場合は、コメントにてお知らせください。
from Arsenic

投稿日:20231224
更新日:20231224
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投稿者

Arsenic
Arsenic
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わかりやすい記事を目指しています。 積分、級数 間違えてたら遠慮なく指摘してネ!

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