0
大学数学基礎解説
文献あり

環論2(環の準同型・同型)

25
1
$$$$

環論について記事を書くのが久々です。最近は群論ばっかり触れていたので、空気を換えるという意味でも少し環論についてまとめていきたいと思います。今回は、環の準同型・同型などをまとめていこうと思います。ルーズリーフに書き散らかしていたものを整理するために書いたものなので、証明等は結構端折りながら書いていきます。

環の準同型・同型

まずは、環の準同型・同型の定義から書いていきます。

(環の準同型・同型)

$A,B$を環、$\phi : A \rightarrow B$を写像とする。

(1)$\phi(x + y) = \phi(x) + \phi(y) \hspace{2mm},\hspace{2mm} \phi(xy) = \phi(x)\phi(y)$がすべての$x,y\in A$に対して成り立ち、$\phi(1_A) = 1_B$であるとき、$\phi$を(環の)準同型という。

(2)$\phi$が準同型で逆写像を持ち、逆写像も準同型であるとき、$\phi$同型であるという。また、このとき、$A,B$は同型であるといい、$A \cong B$と書く。

(3)$A,B$が体で、写像$\phi : A \rightarrow B$が環としての準同型・同型であるとき、体の準同型・同型であるという。

$ \phi : A \rightarrow B$が環の準同型なら、$\phi(0_A) = \phi(0_A + 0_A) = \phi(0_A) + \phi(0_A)$なので、$\phi(0_A) = 0_B$となる。

$A = B$なら、準同型・同型を自己準同型・自己同型という。

$A,B,C$を環、$\phi:A \rightarrow B \hspace{2mm},\hspace{2mm} \psi:B \rightarrow C$を準同型とするとき、その合成$\psi \circ \phi:A \rightarrow C$の準同型である。$\psi , \phi$が同型ならば、その合成写像$ \psi \circ \phi$も同型である。

$A$の自己同型全体の集合を$Aut^{alg}A$と書く。$\phi , \psi \in Aut^{alg}A$なら$\psi\phi$を写像の合成$ \psi \circ \phi$とする。$\psi \circ \phi \in Aut^{alg}A$より$Aut^{alg}A$に演算が定義でき、この演算で$Aut^{alg}A$は群になる。この群$Aut^{alg}A$$A$自己同型群という。

本によっては、自己同型群を$Aut(A)$と書くこともあるそうですが、『代数学2 環と体とガロア理論』では、$Aut^{alg}A$と書いてあったので、こっちを採用しましたが、個人的には、$Aut(A)$が好みです。今後はもしかしたら、こっちを使うかもしれません。

多項式環・整域

$A$係数の、あるいは$A$上の多項式とは、$\mathbb{N}$から$A$への写像で、有限個の$i \in \mathbb{N}$を除いて値が0になるものと、変数$x$の組のことである。この写像の$i \in \mathbb{N}$での値が$a_i$$i > n$での値が0なら、この多項式は$a_0 + a_1x + \cdots + a_nx^n$と書く。すべての$a_n$が0である多項式を0と書く。

上の定義は多項式の定義です。$n$より大きい係数$a_i$がすべて0であると$a_0 + a_1x + \cdots + a_nx^n$と書け、係数がすべて0の多項式はただ単に0とします。

$A$係数の、変数$x$の多項式全体の集合を$A[x]$と書く。$A$の元は定数項以外の項がない多項式として、$A[x]$の部分集合とする。

(次数)

$f(x) = a_0 + a_1x + \cdots + a_nx^n \in A[x] \hspace{2mm},\hspace{2mm} a_n \ne 0$なら、$deg\hspace{2mm}f(x) = n$と定義し、$f(x)$次数という。$a_ix^i$$f(x)$の次数$i$の項という。$f(x) = 0$なら、$deg\hspace{2mm}f(x) = - \infty$と定義する。

(整域)

$A$を環とする。

  1. $A \ne \{0\}$で、任意の元$a , b \in A \setminus \{0\}$に対し、$ab \ne 0$なら、$A$整域という。
  2. $a\in A$$b \in A \setminus \{0\}$があり、$ab = 0$となるとき、零因子という。$a$が零因子でなければ、非零因子という。

$A$が整域ならば、$A$は零環ではなく、零因子は0のみである。$A$が体ならば、$A$は整域である。

※零環の0は単元で、零環には零因子はない。

$a,b$が環$A$の非零因子ならば、$ab$も非零因子である。

証明
$c \in A$で、$(ab)c = 0$とする。$A$は環なので、結合法則が成立する。
$(ab)c = a(bc) = 0$.
$a$は非零因子なので、$bc = 0$である。$b$もまた非零因子であるから、$c = 0$であることが分かる。よって、$ab$は非零因子である。

$A$を環、$f(x) , g(x) \in A[x]\setminus \{0\}$とするとき、次の(1)~(3)が成り立つ。

  1. $deg (f(x) + g(x)) \leqq \max\{deg\hspace{2mm}f(x) , deg\hspace{2mm}g(x)\}$
  2. $f(x)$または$g(x)$の最高次係数が零因子でなければ、$f(x)g(x) \ne 0$で、$deg (f(x)g(x)) = deg\hspace{2mm}f(x) + deg\hspace{2mm}g(x)$
  3. $A$が整域ならば、$A[x]$も整域である。

今回は以上です。

参考文献

[1]
雪江明彦, 代数学2 環と体とガロア理論
投稿日:1日前
更新日:5時間前
数学の力で現場を変える アルゴリズムエンジニア募集 - Mathlog served by OptHub

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

主に、高校数学から大学以降の数学について理解を深めるために記事を書いています。自主的に勉強した内容をまとめているだけですが。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中