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できる限り簡単に位数16の群を分類したい

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$$\newcommand{Ai}[2]{\mathrm{Ai}^{#1}_{#2}} \newcommand{BarG}[5]{G^{#1}_{#2}\left(#3\Biggl|\begin{matrix}#4\\#5\end{matrix}\right)} \newcommand{Bi}[2]{\mathrm{Bi}^{#1}_{#2}} \newcommand{Gi}[2]{\mathrm{Gi}^{#1}_{#2}} \newcommand{Hi}[2]{\mathrm{Hi}^{#1}_{#2}} \newcommand{hyF}[5]{{}_{#1}F_{#2}\left[\begin{matrix}#3\\#4\end{matrix};#5\right]} \newcommand{Om}[2]{\Omega^{#1}_{#2}} \newcommand{Ombar}[2]{\bar{\Omega}^{#1}_{#2}} $$

はじめに

お久しぶりです。先月群論を初めて楽しさが分かってきました。
この記事では私のように群論を学び始めた人にもわかるように、できる限り簡単な道具だけを使って位数16の群を分類していきます。
具体的には、共役作用・生成元と関係式で定義された群をなんとなく理解できていれば大丈夫なようにするつもりです。
変な表現・冗長な表現が大いにあると思います!初心者なので許して!

$G$を位数16の群とし、$C_n$を位数$n$の巡回群、$D_{2n}$を位数$2n$の二面体群とします。
有名な定理は証明を省略します。

アーベル群

まずアーベル群を分類します。

有限アーベル群の構造定理

$G$を有限アーベル群とすると、1より大きい整数$a_1,...,a_n$$a_i|a_{i+1}\;(i=1,...,n-1)$となるようなものが一意に存在し、$G\simeq C_{a_1}\times...\times C_{a_n}$となる。

この定理において各$C_{a_i}$$C_{a_1}\times...\times C_{a_n}$の部分群なので、すべての$|C_{a_i}|=a_i$$|G|=|C_{a_1}\times...\times C_{a_n}|$の約数になります。
ここでは$|G|=16$なのですべての$a_i$$2$べきであり、正整数$\lambda_i\;(i=1,...,n)$により$a_i=2^{\lambda_i}$となります。
$G\simeq C_{2^{\lambda_1}}\times...\times C_{2^{\lambda_n}}$となりますが、$16=2^4=|G|=|C_{2^{\lambda_1}}\times...\times C_{2^{\lambda_n}}|=2^{\lambda_1+...+\lambda_n}$なので、$\lambda_i$の選択肢は$4$の分割に対応します。$4$の分割は
$4=4$
$4=3+1$
$4=2+2$
$4=2+1+1$
$4=1+1+1+1$
の5つで、それぞれ$C_{16},C_8\cross C_2,C_4^2,C_4\cross C_2^2,C_2^4$に対応します。よって位数16のアーベル群はこれらで全てです。
これらが全て互いに同型ではないことは次のように元の位数を見ればわかります:
$C_{16}$には位数16の元があるが、他の群にはない。
$C_8\times C_2$には位数8の元があるが、$C_4^2,C_4\times C_2^2,C_2^4 $にはない。
$C_4^2,C_4\times C_2^2$には位数4の元があるが、$C_2^4$にはない。
$C_4^2$には位数2の元が3つあり、$C_4\times C_2^2$には7つある。

以下$G$を非可換群とします。

$G$の元の位数は$|G|$の約数なので、$G$の元の位数は$1,2,4,8,16$のいずれかです。
位数$16$$x$があると$\langle x \rangle$$G$の位数$16$の部分群です。よって$G=\langle x\rangle \simeq C_{16}$となります。
よって$G$が可換ではないという過程から、$G$には位数16の元が存在しないとしていいです。

位数8の元がある場合

$G$に位数8の元がある場合について考察しましょう。$x$を位数8の元とすると、$N= \langle x \rangle $は指数2の部分群です。
次の定理により、$N$が正規部分群であることがわかります。

指数2の部分群は正規部分群である。

$H$$G$の指数2の部分群とする。$|G/H|=2$なので、$g \notin H$とすると$G=H\,\sqcup gH$となる。
同様に$|H \setminus G|=2$なので$G=H\,\sqcup Hg$である。$gH,Hg$は共に$H$の補集合になるので$gH=Hg$である。
よって任意の$g\in G$に対して$gHg^{-1}=H$となるので、$H$は正規部分群である。

$N$に含まれない位数2の元$y$が存在すると仮定してみます。$H=\langle y \rangle$とすると、$N\cap H=\{1_G\}$です。
$NH$を考えると、$|NH|$は8と2の公倍数であり16以下なので、$|NH|=8$または$|NH|=16$です。
$N\subset NH$なので$8\leq|NH|$ですが、$y\in NH,y\notin N$なので$8<|NH|$です。したがって$|NH|=16$であり、$NH=G$になります。よって、$G$は下で定義する内部半直積になります。

半直積

・内部半直積
$N$$G$の正規部分群、$H$$G$の正規部分群とする。$N\cap H=\{1_G\},\,NH=G$であるとき、$G$$N$$H$による内部半直積になるといい、$G= N\rtimes H$と書く。

・外部半直積
$N,H$を群、$\phi:H\to\mathrm{Aut}(N)$を群準同型とする。$N\times H$の2つの元$(n_1,h_1),(n_2,h_2)$に対して積を
$$(n_1,h_1)\cdot(n_2,h_2)=(n_1\phi(h_1)(n_2),h_1h_2)$$
と定めると、この演算により$N\times H$に群の構造が入る。この群を$N\rtimes_\phi H$と書き、$N$$H$による外部半直積という。

次の定理より、$G$が内部半直積になることが分かれば$G$を具体的に外部半直積として表せます。

内部半直積は外部半直積である。

定義1の状況で$G=N\rtimes H$とする。各$h\in H$に対して$i_h\in\mathrm{Aut}(N)$$i_h:N\ni n \mapsto hnh^{-1}\in N $となる自己同型とする。$\phi:H\to\mathrm{Aut}(N)$$\phi(h)=i_h$で定めると、$\phi$は準同型になる。
この$\phi$による外部半直積$N\rtimes_\phi H$を考える。写像$\psi:N\rtimes_\phi H\to G$$\psi:(n,h)\mapsto nh$と定めると、
$$\psi((n_1,h_1)\cdot(n_2,h_2))=\psi((n_1\phi(h_1)(n_2),h_1h_2))=n_1\phi(h_1)(n_2)h_1h_2$$
$$\psi((n_1,h_1))\cdot\psi((n_2,h_2))=n_1h_1n_2h_2=n_1h_1n_2h_1^{-1}h_1h_2=n_1i_{h_1}(n_2)h_1h_2=n_1\phi(h_1)(n_2)h_1h_2$$
となるので$\psi((n_1,h_1)\cdot(n_2,h_2))=\psi((n_1,h_1))\cdot\psi((n_2,h_2)) $であり、$\psi$は準同型である。
$G=NH$なので$\psi$は全射である。$|G|=|NH|=|N|\cdot|H|$であり、$N\rtimes_\phi H $の台集合は$N\times H$なので$|N\rtimes_\phi H|=|N|\cdot|H|$である。$\psi$は全射で$|G|=|N\rtimes_\phi H|$なので$\psi$は同型である。

要するに、$H$$N$に共役でどう作用するかを決めれば$G$の演算が決まるということですね。
$G$が内部半直積になることが分かっていれば、外部半直積を全パターン求めることで$G$に入る群構造を列挙できます。

$N$の外に位数2の元がある場合

この場合、上で見たように$G$$N$$H$による内部半直積になります。
定理3により外部半直積を考えればいいですね。
$N\simeq C_8,H\simeq C_2$なので、準同型$\phi:C_2\to \mathrm{Aut}(C_8)$を調べればいいです。$C_2,C_8$の生成元をそれぞれ$x,y$と書くことにします。
準同型は生成元での値で決まるので$\phi(x)$を決めるだけで十分です。$x$は位数2の元なので、$\phi(x)$の候補になるのは$\mathrm{Aut}(C_8)$の位数2以下の元です。
$\psi(y)=y^i$となる$C_8$の準同型を$\psi_i$と書くと、$\psi_i$が自己同型になるのは$i$$8$と互いに素なときに限るので、 $\mathrm{Aut}(C_8)=\{\psi_1,\psi_3,\psi_5,\psi_7\}$です。$\psi_3^2=\psi_5^2=\psi_7^2=\psi_1$なのでどの元も位数2以下です。
$\phi(x)=\psi_1$の時は、半直積は直積になることを示します。

$H$$N$への作用が自明なとき、半直積は直積になる。

任意の$h\in H,n\in N$について$\phi(h)(n)=n$となるので、$N\rtimes_\phi H$での演算は
$$(n_1,h_1)\cdot(n_2,h_2)=(n_1\phi(h_1)(n_2),h_1h_2)=(n_1n_2,h_1h_2)$$
であり、これは直積$N\times H$の演算と一致する。

よって$\phi(x)=\psi_1$のときは$G\simeq C_8\times C_2$となますが、$G$は非可換だと仮定しているのでこれは考えなくていいです。

$\phi(x)=\psi_7$

$G$$x,y$で生成され、$x,y$$x^2=y^8=1,\,xyx^{-1}=y^7=y^{-1}$という関係式を満たします。
次の定理は生成元と関係式で定義された群に関して基本的です。

生成元と関係式で定義された群からの全射

$G$$n$個の生成元$y_1,...,y_n$を持ち、関係式$R_1(y_1,...,y_n)=...=R_m(y_1,...,y_n)=1_G$を持つ群とする。
このとき、$\langle x_1,...,x_n|R_1(x_1,...,x_n)=...=R_m(x_1,...,x_n)=1 \rangle$から$G$への全射準同型で$\phi(x_i)=y_i\,(i=1,...,n)$となるものがある。

二面体群

$$D_{2n}\simeq\langle R,F\,|\,R^n=F^2=1,FRF=R^{-1}\rangle$$
また、$x,y$をそれぞれ$C_2,C_n$の生成元、準同型$\phi:C_2\to\mathrm{Aut}(C_n)$$\phi(x)=\psi_{n-1}$となる準同型とすると、
$D_{2n}\simeq C_n\rtimes_\phi C_2$

二面体群の定義と定理5より、全射準同型$K=\langle R,F\,|\,R^n=F^2=1,FRF=R^{-1}\rangle\to D_{2n} $が存在する。したがって$|K|\geq2n$
$K$の任意の元は$FR=R^{n-1}F$を繰り返し用いることで$F^iR^j\,(i\in\{0,1\},j\in\{0,...,n-1\})$という形に書けるので、$|K|\leq2n$である。よって$|K|=2n$であり、$K$から$G$への全射準同型があるので、$G\simeq K$である。
$C_n\rtimes_\phi C_2 $$x,y$で生成され、関係式$x^2=y^n=1,xyx^{-1}=y^{n-1}=y^{-1}$を満たすので、定理5より全射準同型$K\to C_n\rtimes_\phi C_2 $が存在する。$C_n\rtimes_\phi C_2$の台集合は$C_n\times C_2$なので、$|C_n\rtimes_\phi C_2|=2n=|K|$なので、$C_n\rtimes_\phi C_2\simeq K\simeq D_{2n}$である。

よってこの場合は命題6より、$G\simeq D_{16}$となる。

$\phi(x)=\psi_3$

$G$$x,y$で生成され、$x,y$$x^2=y^8=1,\,xyx^{-1}=y^3$という関係式を満たします。
$K=\langle x,y\,|\,x^2=y^8=1,xyx=y^3\rangle$とすると、定理5より$K$から$G$への全射準同型があるので$|K|\geq16$であり、命題6の証明同様$|K|\leq16$も示せるので$|K|=|G|$であり、$G\simeq \langle x,y\,|\,x^2=y^8=1,xyx=y^3\rangle$が言えます。

準二面体群

$SD_{2^n}=\langle a,x\,|\,a^{2^{n-1}}=x^2=1,xax=a^{2^{n-2}-1}\rangle$

定義はgrouppropsのものを使っています。
この定義によると、この$G$$n=4$の場合に該当し、$G\simeq SD_{16}$です。

$\phi(x)=\psi_5$

$G$$x,y$で生成され、$x,y$$x^2=y^8=1,\,xyx^{-1}=y^5$という関係式を満たします。
$K=\langle x,y\,|\,x^2=y^8=1,xyx=y^5\rangle$とすると、定理5より$K$から$G$への全射準同型があるので$|K|\geq16$であり、命題6の証明同様$|K|\leq16$も示せるので$|K|=|G|$であり、$G\simeq \langle x,y\,|\,x^2=y^8=1,xyx=y^5\rangle$が言えます。

Modular maximal-cyclic group

$M_{2^n}=M_n(2)=\langle a,x\,|\,a^{2^{n-1}}=x^2=1,xax=a^{2^{n-2}+1}\rangle$

定義はgrouppropsのものを使っています。
この定義によると、この$G$$n=4$の場合に該当し、$G\simeq M_{16}$です。

以上より$G$$C_8$$C_2$による非自明な半直積になる場合は$G\simeq D_{16},SD_{16},M_{16}$です。

$N$の外に位数2の元がない場合

$N$の外に位数2の元が存在しないと仮定します。$x$$N$の生成元とします。
$y\notin N$とすると$G=N\sqcup Ny$なので、$N$に含まれない$G$の元は全て$x^iy\,(i=0,...,7)$という形で書けます。
$G/N\simeq C_2$なので$y^2\in N$で、$y^2=x^a$となる$a\in\{0,.,..,7\}$が存在します。
$N$は正規部分群なので、$y$による共役は$N$の自己同型を定め、$yxy^{-1}=x^k\,(k=1,3,5,7)$となります。
$yx^iy^{-1}=x^{ki}$なので$(x^iy)^2=x^iyx^iy=x^i(yx^iy^{-1})y^2=x^{(1+k)i+a}$となりますが、仮定より$x^iy$は位数2ではないのですべての$i=0,...,7$に対して$a+i(1+k)\neq0\mod8$となります。

$k=1$とすると、$G$$x,y$で生成されますが$x,y$が可換になってしまうので$G$がアーベル群になり不適です。

$k=3$とすると$(x^iy)^2=x^{a+4i}$となり、$i=0,1$とすることで$a\neq0,4\mod8$が分かります。
一方$y^2=x^a$であり、$y$$y^2$は可換なので$x^a=yx^ay^{-1}=(yxy^{-1})^a=x^{3a}$、つまり$x^ {2a}=1$すなわち$a=0,4\mod8$となり矛盾します。よって$k\neq3$です。

$k=5$とすると$(x^iy)^2=x^{a+6i}$となり、$i=0,1,2$とすることで同様に$a\neq0,2,4\mod8$、であることがわかります。
一方$y^2=x^a$であり、$y$$y^2$は可換なので$x^a=yx^ay^{-1}=(yxy^{-1})^a=x^{5a}$、つまり$x^ {4a}=1$すなわち$4a=0\mod8$となり、$a=0,2,4\mod8$。よって$k\neq5$です。

よって残るのは$k=7$であり、同様に$x^a=yx^ay^{-1}=x^{7a}$つまり$x^{6a}=1$$6a=0\mod8$
したがって$a=0,4\mod8$ですが、$a=0\mod8$では$y$が位数2の元になってしまい矛盾するので$a=4$です。

よってこの場合、$G$$x,y$で生成され関係式$x^8=1,y^2=x^4,yxy^{-1}=x^7=x^{-1}$を満たします。

一般四元数群

$$Q_{4n}=\langle a,b\,|\,a^{2n}=1,b^2=a^n,bab^{-1}=a^{-1}\rangle$$

一般四元数群$Q_{4n}$の位数は$4n$であることが知られています。上の議論と定理5より全射準同型$Q_{16}\to G$が存在し、$|G|=|Q_{16}|=16$であることから$G\simeq Q_{16}$が分かります。

以下$G$には位数8の元が存在しないと仮定します。次の定理から$G$には位数4の元があることが分かります。

$G$の全ての元$g$$g^2=1_G$を満たすなら、$G$はアーベル群である。

$a,b\in G$とすると、$(ab)^2=1_G$なので$ab=(ab)^{-1}=b^{-1}a^{-1}$である。
$a^2=b^2=1$なので$a^{-1}=a,b^{-1}=b$がわかり、$ab=ba$が任意の$a,b$に対して成り立つことがわかる。

よって、定理7と$G$が非可換群であるという過程から、最低一つは位数4の元があります。

位数8の元がない場合

残りの分類をするための命題を示すために、いくつかの準備をします。

中心化群・中心

$G$を群、$x\in G$とする。$x$と可換な$G$の元全体からなる部分群を$Z_G(x)$と書き、$x$の中心化群という。
また、すべての$G$の元と可換になる$G$の元全体からなる部分群を$Z(G)$と書き、$G$の中心という。

これらが部分群になることは簡単にわかります。
次の定理は証明を省略します。

軌道・安定化群定理

$x\in G$とするとき、$x$と共役な全体の集合を$C(x)$と書く。
この時、$|C(x)|=|G|/|Z_G(x)|$が成り立つ。

さらに、位数が素数べきの群については次が言えます。

$p$-群の中心

$p$を素数とする。位数が$p$べきの群を$p$-群という。$p$-群の中心は非自明、すなわち$Z(G)\neq\{1_G\}$

$G$の類等式を調べる。$|G|=p^n\,(n\geq1)$とする。
類等式に現れる数は$|G|$の約数なので、すべて$p^a$という形の数である。
類等式に現れる$1$の個数は$|Z(G)|$に等しい。よってもし$|Z(G)|=1$なら類等式は
$$p^n=|G|=1+pの倍数$$
という形にならなければならないが、$p^n-1$$p$の倍数ではないので矛盾する。
よって$Z(G)$$1_G$以外の元を含む。

準備が整ったので次の命題を示しましょう。

位数16の非可換群$G$が位数8,16の元を持たなければ、$G$$C_4\times C_2$に同型な正規部分群$N$を含む。

$G$$2$-群なので、定理9より非自明な中心を持ち、位数2の元$z\in Z(G)$を取ることができる。
(ここで仮定より$Z(G)$は位数1,2,4の元のみからなるが、位数4の元$z'\in Z(G) $があれば$z'^2\in Z(G)$であり、$z'^2$は位数2の元なので、$Z(G)$に位数2の元がないということはありえない)
もし$G$の位数4の元$x$$x^2\neq z$を満たすなら、$\langle x,z\rangle \simeq C_4\times C_2$となる。
$G$のすべての位数4の元$x$$x^2=z$をみたすのであれば、$G/Z(G)$がアーベル群になることが次のようにわかる:$G$の元の位数は1,2,4のどれかである。$x$が位数4の元なら$x^2=z$なので、$G/Z(G)$では$(xZ(G))(xZ(G))=x^2Z(G)=zZ(G)=Z(G)$となる。よって任意の元が二乗すると単位元になるので、定理7より$G/Z(G)$はアーベル群。
したがって$g\in G$とすると、$gxg^{-1}x^{-1}Z(G)=Z(G)$であり、$gxg^{-1}\in Z(G)x$
よって$a\in Z(G)$があり、$gxg^{-1}=ax$となる。$a$$1_G$または位数2の元であることは
$$x^2=z=zgg^{-1}=gzg^{-1}=gx^2g^{-1}=(gxg^{-1})^2=(ax)^2=axax=a^2x^2\implies a^2=1_G$$
からわかる。$Z(G)$$z$以外の位数2の元$b$が存在するなら$\langle x,b\rangle\simeq C_4\times C_2$となるので、$z$$Z(G)$の唯一つの位数2の元と仮定していい。
よって$gxg^{-1}=x$または$gxg^{-1}=zx$なので$|C(x)|\leq2$がわかる。定理8より
$$2\geq|C(x)|=16/|Z_G(x)|\implies|Z_G(x)|\geq8$$
がわかる。よって$Z_G(x)$から$1,x,z$以外の元$y$を取ることができる。$y$が位数2なら$\langle x,y\rangle\simeq C_4\times C_2$となる。
$y$が位数4なら$(xy)^2=x^2y^2=z^2=1$となるので$\langle x,xy\rangle\simeq C_4\times C_2$となる。
これらの$C_4\times C_2$に同型な部分群は指数2なので正規部分群である。

あらためて$N$$C_4\times C_2$に同型な$G$の部分群とします。

$N$の外に位数2の元がある場合

$y\notin N$を位数2の元とし、$H=\langle y\rangle$とおきます。前の場合同様$N\cap H={1_G},\,NH=G$となるので、$G$$N$$H$による内部半直積になります。
$N\simeq C_4\times C_2,H\simeq C_2$なので、外部半直積$(C_4\times C_2)\rtimes_\phi C_2$を全て列挙すればいいですね。
その為には準同型$C_2\to\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)$を考える必要があります。

$\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)$

$$\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)\simeq D_8$$

命題6より$D_8\simeq\langle R,F\,|\,R^4=F^2=1,FRF=R^3\rangle$である。
$\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)$の元は生成元の行先で決定される。$a,b$$C_4\times C_2$の生成元で$a^4=b^2=1$となるものとする。
$C_4\times C_2$の元は$1,a,a^2,a^3,b,ab,a^2b,a^3b$の8つで、うち位数4の元は$a,a^3,ab,a^3b$の4つなので、$a$の行先は4パターンある。位数3の元は$b,a^2b,a^2$の3つあるが、$a^2$は位数4の元が生成する部分群に常に含まれるので$b$の行先の候補にはならない。($\phi(b)=a^2\in\langle\phi(a)\rangle$となるので$\phi(C_4\times C_2)=\langle\phi(a)\rangle$となり$\phi$は同型ではなくなる)一方$\phi(b)=b,a^2b$の時は同型になることもわかるので、$|\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)|=4\times2=8$である。

$a \mapsto ab,b\mapsto a^2b$となる同型を$r$$a\mapsto a,b\mapsto a^2b$となる同型を$f$と書くことにする。
計算すると$r^4=f^2=1,frf=r^3$がわかる。よって定理5より$D_8$から$\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)$への全射準同型があることがわかるが、$|D_8|=|\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)|=8$なので$\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)\simeq D_8 $である。

以下$\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)$$ D_8$を同一視して$\mathrm{Aut}(C_4\times C_2) $の元を$r,f$の語で表します。
各元は次の表にあるように対応します。

$b$の行先\$a$の行先$a$$ab$$a^3$$a^3b$
$b$$\mathrm{id}$$fr^3$$r^2$$fr$
$a^2b$$f$$r$$fr^2$$r^3$

次の定理は調べるべき候補を減らす上で重要です。

半直積2

$N,H$を群、$\phi,\psi:H\to\mathrm{Aut}(N)$を群準同型とし、全ての$h\in H$に対して$\psi(h)=\tau\phi(h)\tau^{-1}$となる$\tau\in\mathrm{Aut}(N)$が存在するとする。このとき$N\rtimes_\phi H\simeq N\rtimes_\psi H$が成り立つ。

$G_1=N\rtimes_\phi H,\,G_2=N\rtimes_\psi H$とおく。$G_1,G_2$での演算はそれぞれ次のように定義されていた。
$$(n_1,h_1)\cdot(n_2,h_2)=(n_1\phi(h_1)(n_2),h_1h_2)\in G_1\;\;\;\;\;\;\;(n_1,h_1)\cdot(n_2,h_2)=(n_1\psi(h_1)(n_2),h_1h_2)\in G_2$$

写像$\Phi:G_1\to G_2$$\Phi(n,h)=(\tau(n),h)$で定める。$(n_1,h_1),(n_2,h_2)\in G_1$とすると、
$$\Phi((n_1,h_1)\cdot(n_2,h_2))=\Phi(n_1\phi(h_1)(n_2),h_1h_2)=(\tau(n_1\phi(h_1)(n_2)),h_1h_2)=(\tau(n_1)\tau(\phi(h_1)(n_2)),h_1h_2)$$
$$\Phi(n_1,h_1)\cdot\Phi(n_2,h_2)=(\tau(n_1),h_1)\cdot(\tau(n_2),h_2)=(\tau(n_1)\psi(h_1)(\tau(n_2)),h_1h_2)$$
となるが、$\psi(h_1) \circ \tau=\tau\circ\phi(h_1)$なのでこの二つの式は等しくなる。よって$\Phi$は準同型である。
任意の$(n,h)\in G_2$に対して$\Phi(\tau^{-1}(n),h)=(n,h)$なので$\Phi$は全射である。$G_1$$G_2$の台集合は同じなので$|G_1|=|G_2|$である。よって$\Phi$は同型写像になる。

$H$が巡回群$\langle y\rangle$だとします。$\phi,\psi$をそれぞれ$\phi(y)=f_1,\psi(y)=f_2$となる準同型$H\to\mathrm{Aut}(N)$とし、$f_2=gf_1g^{-1}$とすると、$\psi(y^k)=f_2^k=(gf_1g^{-1})^k=gf_1^kg^{-1}=g\phi(y^k)g^{-1}$となるので任意の$h\in H$について$\psi(h)=g\phi(h)g^{-1}$となり、定理12の条件を満たします。

要するに$H$が巡回群であるときは、生成元の行先の候補は$\mathrm{Aut}(N)$のすべての元を見ずとも、共役類の完全代表系から選ぶだけでいいのです。

$D_8$の共役類

$$D_8=\{\mathrm{id}\}+\{r^2\}+\{r,r^3\}+\{f,fr^2\}+\{fr,fr^3\}$$

$r^i$という形の元は計算すると$r^jr^ir^{-j}=r^i,\,fr^jr^i(fr^j)^{-1}=fr^if=r^{3i}$となることから$\{\mathrm{id}\}+\{r^2\}+\{r,r^3\}$という3つの共役類に分かれることが分かる。
同様に$fr^i$という形の元の共役を計算すると$r^jfr^ir^{-j}=ffr^jfr^{i-j}=fr^{i+2j},\,fr^jfr^i(fr^j)^{-1}=r^{i+2j}f=fr^{3i+2j}$となることから$\{f,fr^2\}+\{fr,fr^3\} $という二つの共役類に分かれることが分かる。

$\phi:C_2\to\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)$を群準同型とします。$y$は位数2の元なので$\phi(y)$は位数2以下の元ですが、$\phi(y)=\mathrm{id}$では定理4より半直積が直積になるので、$\phi(y)$が位数2の元であるときのみを考えればいいです。
$\mathrm{Aut}(C_4\times C_2)$の共役類の完全代表系は$\{\mathrm{id},r,r^2,f,fr\}$であり、うち位数2のものは$r^2,f,fr$の3つです。
よってこれらの3つのケースを調べればいいですね。

$\phi(y)=r^2$

次の定理を準備します。

半直積3

$H$$N_1$に自明に作用するとき、$(N_1\times N_2)\rtimes H\simeq N_1\times(N_2\rtimes H)$

$\phi:H\to\mathrm{Aut}(N_1\times N_2)$を準同型ですべての$h\in H,n_1\in N_1,n_2\in N_2$に対して$\phi(h)(n_1)=n_1,$となるものとする。$G_1=(N_1\times N_2)\rtimes H,\,G_2=N_1\times(N_2\rtimes H)$とおいて、写像$\Phi:G_1\to G_2$$\Phi((n_1,n_2),h)=(n_1,(n_2,h))$で定める。$((n_1,n_2),h),((n_1',n_2'),h')\in G_1$とすると、
$$\Phi(((n_1,n_2),h)\cdot((n_1',n_2'),h'))=\Phi((n_1,n_2)\phi(h)(n_1',n_2'),hh')=\Phi((n_1n_1',n_2\phi(h)(n_2')),hh')=(n_1n_1',(n_2\phi(h)(n_2'),hh'))$$
$$\Phi((n_1,n_2),h)\Phi((n_1',n_2'),h')=(n_1,(n_2,h))\cdot(n_1',(n_2',h'))=(n_1n_1',(n_2,h)(n_2',h'))=(n_1n_1',(n_2\phi(h)(n_2'),hh')) $$
となるので$\Phi$は準同型である。明らかに$\Phi $は全射かつ$|G_1|=|G_2|$なので、$\Phi$は同型である。

つまり自明に作用する部分があれば半直積と直積は順番を入れ替えられるということですね。

今回の場合$\phi(x)=r^2$$a\mapsto a^3,b\mapsto b$となる同型なので、$x$での共役は$C_4$の元を反転し$C_2$の元を動かしません。
よって定理14と命題6により$G\simeq(C_4\times C_2)\rtimes_\phi C_2\simeq C_2\times(C_4\rtimes_\phi C_2)\simeq C_2\times D_8$が分かります。

$\phi(y)=f$

この場合の演算は$x^2=a^4=b^2=1,ab=ba,xa=ax,xb=a^2bx$で定まります。
試しに$A=ax$と置くと計算により$A$が位数4の元であることが分かります。
また、$bAb=baxb=aba^2bx=a^3x=A^{-1}$となるので、$D_8$から$\langle A,b\rangle$への全射準同型があります。
$|\langle A,b\rangle |$は16の約数ですが、例えば$a\notin\langle A,b\rangle$なので16ではなく、$\langle A\rangle$を含みかつ$b\notin \langle A\rangle$を含むことから$|\langle A,b\rangle|=8$が言えます。よって$\langle A,b\rangle\simeq D_8$です。これは指数2なので正規部分群です。

$K_1=\langle A,b\rangle,K_2=\langle a\rangle$とおくと、$K_1$が正規部分群なので$K_1K_2$は部分群であり、上と同様の議論により$K_1K_2=G$となることがわかります。ただし$a^2\in K_1,K_2$なのでこれらは半直積の条件は満たしません。
ですが、次のように既知の群の組み合わせで書けることが分かっています。

中心的積

・内部中心的積
$H,K$$G$の部分群で$G=HK$となるものとし、任意の$h\in H,k\in K$に対して$hk=kh$となるとする。
このとき$G$$H,K$の内部中心的積になるといい、$G=H\circ K$と書く。

・外部中心的積
$H,K$を群、$H_1,K_1$をそれぞれ$Z(H),Z(K)$の部分群で$H_1\simeq K_1$となるものとし、$\theta:H_1\to K_1$を同型写像とする。$H\times K$の正規部分群$C=\{(h,k)\,|\,h\in H_1,k\in K_1,\theta(h)k=1\}$による商$(H\times K)/C$を、$H,K$$H_1,K_1,\theta$による外部半直積といい、$H\circ_\theta K$と書く。

要するに中心的積は二つの群の中心の一部を同一視して得られる群です。
次の定理により$G$が内部中心的積になることが分かれば具体的に外部中心的積として表せます。

内部中心的積は外部中心的積

定義6の状況で$G=H\circ K$とする。$H\subset Z(K),\,K\subset Z(H)$なので$H\cap K\subset Z(H),Z(K)$である。
よって$H,K$$H_1=K_1=H\cap K,\,\theta=\mathrm{id}$による外部中心的積$H\circ_\theta K$を考えることができて、この場合に対応する正規部分群は$C=\{(x,y)\,|\,x,y\in H\cap K,xy=1\}=\{(x,x^{-1})\,|\,x\in H\cap K\}$になる。

写像$\Phi:H\times K\to G$$\Phi(h,k)=hk$で定めると、$H,K$の元は可換なので
$$\Phi((h_1,k_1)\cdot(h_2,k_2))=\Phi(h_1h_2,k_1k_2)=h_1h_2k_1k_2$$
$$\Phi(h_1,k_1)\Phi(h_2,k_2)=h_1k_1h_2k_2=h_1h_2k_1k_2$$
となり、$\Phi$は準同型である。$G=HK$なので$\Phi$は全射になる。$\mathrm{Ker}(\Phi)$の元$(h,k)$$h=k^{-1}$を満たすので$\mathrm{Ker}(\Phi)=\{(x,x^{-1})\,|\,x\in H\cap K\}=C$となる。よって準同型定理より$G\simeq (H\times K)/C=H\circ_\theta K$となる。

上で見たように$G=K_1K_2$であり、$K_1,K_2$の任意の元は可換なので、$K_1,K_2$は内部中心的積の条件を満たします。$K_1\simeq D_8,\,K_2\simeq C_4$なので$D_8\circ C_4$を考えればいいですね。
$|Z(D_8)|=2$であり、$C_4$には位数2の部分群が一つしかないので$D_8$$C_4$の非自明な中心的積($H_1=K_1=\{1\}$となる場合を自明な中心的積を呼んでいる)は一種類しかないです。この中心的積を$D_8\circ C_4$と書くことにします。

したがって、この場合は$G\simeq D_8\circ C_4$です。この群はパウリ群なんて呼ばれることもあるみたいです。

$\phi(y)=fr$

この場合の$G$の演算は$x^2=a^4=b^2=1,ab=ba,xax=a^3b,xb=bx$で定まります。
残念ながらこのケースはほかの有名な群で表せないみたいです...
他の$C_4\times C_2$$C_2$による半直積は有名な群を使って表せることから、この群のことを$(C_4\times C_2)\rtimes C_2$と書くことにします。

一応生成元と関係式による表示を考えておきます。
$L=\langle x,a,b\,|\,x^2=a^4=b^2=1,ab=ba,xax=a^3b,xb=bx\rangle $とすると、定理5より$L$から$G$への全射準同型があるので$|L|\geq 16$となります。$L$の元は$x^ia^jb^k\,(i=0,1,\,j=0,1,2,3,\,k=0,1)$という形に書けるので$|L|\leq 16$。したがって$|L|=|G|=16$であり、$G\simeq L$です。

この群はGrouppropsではSmallGroup(16,3)と呼ばれているようです。

$N$の外に位数2の元がない場合

$N$の外に位数2の元がないと仮定します。
$y\notin N$とすると、これまでの仮定より$y$は位数4の元です。$G/N\simeq C_2$なので$y^2\in N$であり、$y^2$は位数2の元なので$y^2$$a^2,b,a^2b$のどれかになります。
$G$の元は$n\in N$$k=0,1$によって$ny^k$と書けます。$n_1y^{k_1},n_2y^{k_2}\in G$として、$\phi\in\mathrm{Aut}(N)$があって任意の$n\in N $に対して$yny^{-1}=\phi(n)$になるとします。$G$の元の積は次の4パターンです。
-$k_1=k_2=0:$この場合は$N$での積になる
-$k_1=0,k_2=1:$$n_1(n_2y)=(n_1n_2)y$
-$k_1=1,k_2=0:$$(n_1y)n_2=n_1yn_2y^{-1}y=(n_1\phi(n_2))y$
-$k_1=k_2=1:$$(n_1y)(n_2y)=n_1yn_2y^{-1}y^2=n_1\phi(n_2)y^2$
よって$y$の共役作用と$y^2$の値を決定すれば$G$の演算は全てきまり、$G$は群として決定されます。

$y^2\in N$であり、$N$はアーベル群なので$y^2$による共役は恒等写像になります。よって$\phi$$\mathrm{Aut}(N)$の位数2以下の元ですが、$\phi=\mathrm{id}$とすると$y$が全ての$N$の元と可換になり、$N,y$$G$を生成することから$G$がアーベル群になってしまいます。よって$\phi$は位数2の元です。

よって次の15個の群が考えられます。ここから頑張って考えるべき候補を絞っていきます。

$y^2$$\phi$$r^2$$f$$fr^2$$fr$$fr^3$
$a^2$(1)(4)(7)(10)(13)
$b$(2)(5)(8)(11)(14)
$a^2b$(3)(6)(9)(12)(15)

まずは定理12の類似があるかを考えましょう。

$\phi,\psi\in\mathrm{Aut}(N)$が共役、すなわち$\tau\in\mathrm{Aut}(N)$があり$\psi=\tau\phi\tau^{-1}$とする。$y_1,y_2\notin N$とし、$G_1$$y_1^2=x_1\in N,y_1ny_1^{-1}=\phi(n)$で定めた群、$G_2$$y_2^2=x_2=\tau(x_1)\in N,y_2ny_2^{-1}=\psi(n)$で定めた群とする。
このとき$G_1\simeq G_2$である。

$\Phi:G_1\to G_2$$ny_1^k\,(n\in N,k=0,1)$$\tau(n)y_2^k$に送る写像とすると、上の4パターンの積について
$$\Phi(n_1n_2)=\tau(n_1n_2)=\tau(n_1)\tau(n_2)=\Phi(n_1)\Phi(n_2)$$
$$\Phi(n_1n_2y_1)=\tau(n_1n_2)y_2=\tau(n_1)\tau(n_2)y_2=\Phi(n_1)\Phi(n_2y_1)$$
$$\Phi(n_1y_1n_2)=\Phi(n_1\phi(n_2)y_1)=\tau(n_1\phi(n_2))y_2=\tau(n_1)(\tau\circ\phi)(n_2)y_2=\tau(n_1)(\psi\circ\tau)(n_2)y_2=\tau(n_1)\psi(\tau(n_2))y_2=\tau(n_1)y_2\tau(n_2)=\Phi(n_1y_1)\Phi(n_2)$$
$$\Phi(n_1y_1n_2y_1)=\Phi(n_1\phi(n_2)y_1^2)=\tau(n_1\phi(n_2)x_1)=\tau(n_1)(\tau\circ\phi)(n_2)x_2=\tau(n_1)(\psi\circ\tau)(n_2)x_2=\tau(n_1)\psi(\tau(n_2))y_2^2=\tau(n_1)y_2\tau(n_2)y_2=\Phi(n_1y_1)\Phi(n_2y_1)$$
となるので$\Phi$は準同型である。$\Phi(ny_1^k)=1$となるのは$n=1,k=0$のときに限るので$\mathrm{Ker}(\Phi)=\{1\}$であり$\Phi$は単射。$|G_1|=|G_2|$なので$\Phi$は同型になる。

共役に加えて$y^2$の値も対応している必要があるんですね。
$rfr^{-1}=fr^2,rfrr^{-1}=fr^3,r(b)=a^2b,r(a^2b)=b$なので$(5)\simeq (9),(6)\simeq(8),(11)\simeq(15),(12)\simeq(14)$です。これでひとまず候補を11個に減らせましたね。

$y$による共役は$y^2$を動かさないはずなので、当然$\phi(y^2)=y^2$が成り立っている必要があります。
しかし$(5)$の場合は$\phi(y^2)=f(b)=a^2b\neq b=y^2$$(6)$の場合は$\phi(y^2)=f(a^2b)=b\neq a^2b=y^2$なのでこれらは除外されます。

さらに、$N$の外に位数2の元が存在しないという仮定からある$n\in N$に対して$(ny)^2=1$となるようなものがある場合を除外していきます。$(ny)^2=nyny=n\phi(n)y^2$です。
$(4)$の場合は$(ay)^2=af(a)a^2=a^4=1$となるので除外します。
$(7)$の場合は$(aby)^2=abfr^2(ab)a^2=aba^3a^2ba^2=1$となるので除外します。
$(11)$の場合は$(ay)^2=afr(a)b=aa^3bb=1$となるので除外します。

よって考えるべき候補を$(1),(2),(3),(10),(12),(13)$の6つまで減らせました。
$(10)$においては$(ay)^2=afr(a)a^2=aa^3ba^2=a^2b$なので、$y'=ay$$N$の外にある位数4の元で$y'^2=a^2b$となるものです。よって$y$$y'$に置き換えて考えることで$(10)\simeq(12)$がわかります。
同様に$(13)$では$(ay)^2=b$なので$(13)\simeq(14)\simeq(12)$が言えて、$(10)\simeq(12)\simeq(13)$がわかります。

最後に$(2)$から$(3)$への準同型を$\Phi$$\Phi(a)=a,\Phi(b)=a^2b,\Phi(y)=y$で定めると、$\Phi(a^ib^jy^k)=a^{i+2j}b^jy^k=1\implies i=j=k=0$から単射性がわかり、$(2),(3)$は位数が同じなので同型になります。

以上より$(1),(2),(10)$の3つの場合を考えればいいことが分かります。

$(1):\phi=r^2,\,y^2=a^2$

このケースでは部分群$H=\langle a,y \rangle$$\langle a\rangle$を真に含むので位数は4よりも大きく、さらに$b$を含まないことから位数が16未満であることが分かり、$|H|=8$が分かります。
$a^4=1,y^2=a^2,yay^{-1}=r^2(a)=a^3=a^{-1}$なので定理5より$Q_8$から$H$への全射準同型がありますが、$|Q_8|=8$なのでこれは同型になります。$H$は指数2の部分群なので正規部分群です。
さらに$ab=ba$であり、$yby^{-1}=r^2(b)=b$であることから$K=\langle b\rangle $は中心に含まれ、したがって正規部分群です。
明らかに$HK=G$であり、$H\cap K=\{1\}$です。よって$G\simeq H\times K\simeq Q_8\times C_2$となります。

$(2):\phi=r^2,y^2=b$

このケースでは$ab=ba,yay^{-1}=r^2(a)=a^3$であることから$H=\langle a\rangle$は正規部分群です。
$K=\langle y\rangle=\{1,y,b,by\}$なので$HK=G,H\cap K=\{1\}$であり、$G=K\rtimes H$になります。
$H\simeq K\simeq C_4$なので$G$$C_4$$C_4$の半直積になります。$\mathrm{Aut}(C_4)=\{\psi_1,\psi_3\}$なので、非自明な半直積は$x^4=y^4=1,yxy^{-1}=x^{-1}$となるケースの一つしかありません。
この半直積を$C_4\rtimes C_4$と書くことにすると、この場合は$G\simeq C_4\rtimes C_4$となります。

$(10):\phi=fr,y^2=a^2$

$(10)\simeq(13)$なので、$(13)$の表示、すなわち$\phi=fr^3,y^2=a^2$を使うことにします。
この場合の演算は$a^4=b^2=y^4=1,y^2=a^2,yay^{-1}=ab,yby^{-1}=b,ab=ba$で定まります。
$y'=ay$は位数4の元であり、$bayb^{-1}=ay,aaya^{-1}=aby=(ay)^3,yayy^{-1}=aby=(ay)^3$となることから$H=\langle ay\rangle$は正規部分群です。$K=\langle a\rangle$とおくと$HK=G,H\cap K=\{1\}$なので$G=K\rtimes H$となります。
$H\simeq K\simeq C_4$なので、前のケース同様$G\simeq C_4\rtimes C_4$となります。

非同型性

これまでの議論により位数16の群は
$$C_{16},C_8\times C_2, C_4^2,C_4\times C_2^2,C_2^4,D_{16},SD_{16},M_{16},Q_{16},D_8\times C_2,D_8\circ C_4,(C_4\times C_2)\rtimes C_2,Q_8\times C_2,C_4\rtimes C_4$$
の14個の群のどれかと同型なことが分かりました。あとはこれらが互いに同型ではないことを示せれば分類は完了します。

$C_{16},C_8\times C_2, C_4^2,C_4\times C_2^2,C_2^4 $はアーベル群ですが他の群は非可換群なのでこれらと同型になることはありません。この5つが互いに同型ではないことは最初に示しました。

$D_{16},SD_{16},M_{16},Q_{16} $には位数8の元が存在しますが、ほかの群にはないのでこれらと同型になることはありません。
これらが互いに同型ではないことを示すためにすべての元の位数を調べます。計算は省略しますが、結果は下のグラフのようになります。

!FORMULA[780][-2014837221][0]のcicle graphe $D_{16},SD_{16},M_{16},Q_{16} $のcicle graphe
これはcicle grapheと言って、群の全ての巡回部分群を可視化したものです。ここではそれぞれ青・赤・黄系統の色で位数8・4・2の元と巡回部分群を表しています。
たとえば位数2の元の個数に注目すれば、$D_{16},SD_{16},M_{16},Q_{16} $にはそれぞれ9,5,3,1個の位数2の元があることが分かるので、これらは互いに同型ではありません。

よって、あとは$D_8\times C_2,D_8\circ C_4,(C_4\times C_2)\rtimes C_2,Q_8\times C_2,C_4\rtimes C_4$が互いに同型ではないことを示せれれいいです。$D_8\times C_2,D_8\circ C_4,(C_4\times C_2)\rtimes C_2 $$C_4\times C_2$に同型な部分群の外にも位数2の元を持つので位数2の元を4つ以上持ち、$Q_8\times C_2,C_4\rtimes C_4 $$C_4\times C_2$に同型な部分群の中にしか位数2の元を持たないので位数2の元をちょうど3つ持ちます。
よって$D_8\times C_2,D_8\circ C_4,(C_4\times C_2)\rtimes C_2 $$Q_8\times C_2,C_4\rtimes C_4 $と同型にはなりません。
再び各元の位数を計算してcicle grapheを書くと次のようになります。
!FORMULA[789][-1097299460][0]のcicle graphe $D_8\times C_2,D_8\circ C_4,(C_4\times C_2)\rtimes C_2 $のcicle graphe
見て取れるように、$D_8\times C_2,D_8\circ C_4,(C_4\times C_2)\rtimes C_2 $にはそれぞれ4,8,8個の位数4の元があります。
$D_8\circ C_4$では位数4の元は2乗すると全て等しくなりますが、$(C_4\times C_2)\rtimes C_2$ではそうなりません。
よって$D_8\times C_2,D_8\circ C_4,(C_4\times C_2)\rtimes C_2 $は互いに同型ではありません。
!FORMULA[794][-1018019046][0]のcicle graphe $Q_8\times C_2,C_4\rtimes C_4 $のcicle graphe
見て取れるように$Q_8\times C_2$ではすべての位数4の元が2乗すると等しくなりますが、$C_4\rtimes C_4$ではそうなりません。
よって$Q_8\times C_2,C_4\rtimes C_4 $は同型ではありません。

以上より位数16の群の分類が完了しました。

おわりに

どうだったでしょうか...?群論の記事を書くのは初めてなので何か変なところ・間違っているところがあるかもしれません。気になるところがあれば遠慮なくコメントで教えてください。

個人的にはいろいろは新しい群と出会えて楽しかったです。

投稿日:5日前
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