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ある漸化式とその解法について

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ある漸化式

以下の漸化式は筆者がmathlogで記事を見ていた際に見かけたものになります。
元記事
$$a_{1}=2,a_{n+1}=1+ \frac{n(n+2)}{a_{n}}$$
以下の解法として元の記事では$n(n+2)$に注目し、1を$(n+2)-(n+1)$として平方完成し、種々の整理、計算を行い解を求めていました。※詳しくは 元の記事 をご覧ください。

他の解法

元の記事を覗いてみたところ、既に3つの別解がとられており、どれも興味深いものでした。ここでは、それらとはまた違った視点からの考察について述べていきます。

オリジナル解法

以下は私が分数を含む漸化式を無理やり解くときによく使う手段になります。もちろん厳密性などは考えていないので、問題点などあればご指摘お願いします。
まず、今回の漸化式の場合で考えると、この漸化式が表す数列はどれも分数になりそうです。もちろん分母を1にすることで、整数も表せますし、分子を0にすれば0も表せます。分母に0がある場合のみ考えられないため、分母に0が来ないことは確認しなければなりませんが、今回はおこらなそうなので、分数で表せるものとします。次に、漸化式を以下のように変形します。
$a_{n+1}-1=b_{n+1}$この変形により漸化式は$b_{n+1}=\frac{n(n+2)}{b_{n}+1}$のように表せ、この漸化式について考えます。
次に数列の要素の分子を$A_{n}$、分母を$B_{n}$という一般項をもつ数列として適切に選び、考えます。これをもとの漸化式にあてはめると、
$$b_{n+1}=\frac{A_{n+1}}{B_{n+1}}=\frac{n(n+2)}{\frac{A_{n}}{B_{n}}+1}=\frac{n(n+2)}{b_{n}+1}$$
となり、これを整理し、
$$\frac{A_{n+1}}{B_{n+1}}=\frac{B_{n}n(n+2)}{A_{n}+B_{n}}$$
そして、$A_{n}$$B_{n}$が適切に設定されたものとすると、
$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} A_{n+1}=B_{n}n(n+2) \\ B_{n+1}=A_{n}+B_{n} \end{array} \right. \end{eqnarray}$
となり、
$$B_{n+1}-B_{n}=B_{n-1}(n-1)(n+1)$$
のような三項間漸化式となります。
ここで、$B_{0}$は未定義なので、
$n\geq2$として
これを整理します。
$$B_{n+1}+nB_{n}=(n+1)(B_{n}+(n-1)B_{n-1})$$
なので、
$$B_{n+1}+nB_{n}=\frac{(n+1)!}{(2+1-1)!}(B_{2}+B_{2-1}) $$
ここで、$b_{1}=2-1$より、定義から、任意の実数$\alpha$$B_{1},A_{1}=\alpha$とおける、
また、同様に定義より、$B_{1+1}=A_{1}+B_{1}=2\alpha$
なので、
$$B_{n+1}=-nB_{n}+\frac{3(n+1)!}{2}\alpha$$
これを無理やり整理して、
$$B_{n+1}-\alpha(\frac{3}{4}(n+1)+\frac{3}{8})(n+1-1)!=-n(B_{n}-\alpha(\frac{3}{4}n+\frac{3}{8})(n-1)!)$$
そして、$B_{2}$について、0!を定義できないので、
$$B_{n}=(-1)^{n-2}(n-1)!(B_{2}-\alpha(2\frac{3}{4}+\frac{3}{8}))+\alpha(\frac{3}{4}n+\frac{3}{8})(n-1)!$$
整理と代入をして、
$$B_{n}=\alpha(n-1)!(\frac{3}{4}n+\frac{3}{8}+\frac{(-1)^{n-2}}{8})$$
ここで仮に$B_{2},B_{1}$を考え、式に代入すると、$B_{2}=2\alpha,B_{1}=\alpha$であるので、この式は$n\geq1$で成り立つ。
次に、$A_{n}$について考えると、定義より、$$A_{n+1}=B_{n}n(n+2)$$であり、代入して、
$$A_{n+1}=\alpha(n+2)(n)!(\frac{3}{4}n+\frac{3}{8}+\frac{(-1)^{n-2}}{8})$$
ここで、$B_{0}$は未定義なので、この式は$n\geq2$で成立する。
最後に、$\frac{A_{n}}{B_{n}}=b_{n}$を考え
$$\frac{A_{n}}{B_{n}}=b_{n}=\frac{\alpha(n+1)(n-1)!(\frac{3}{4}(n-1)+\frac{3}{8}+\frac{(-1)^{n-3}}{8})}{\alpha(n-1)!(\frac{3}{4}n+\frac{3}{8}+\frac{(-1)^{n-2}}{8})}=(n+1)\frac{6n-(3+(-1)^{n-2})}{6n+3+(-1)^{n-2}}$$
$b_{n}=a_{n}-1$より、
$$a_{n}=1+(n+1)\frac{6n-(3+(-1)^{n-2})}{6n+3+(-1)^{n-2}}$$
また、仮に$a_{1}$を考え、
$$a_{1}=1+(1+1)\frac{6-(3+(-1)^{1-2})}{6+3+(-1)^{1-2}}=2$$
なので、この式は$n\geq1$で成立する
よって、解は
$$a_{n}=1+(n+1)\frac{6n-(3+(-1)^{n-2})}{6n+3+(-1)^{n-2}}$$

最後に

今回この記事を書くにあたり、 前回の記事 で使った方法を使ったのですが、前回の記事でも書いたように、この方法に数学的な厳密性はあまり考慮していないので、指摘などあればお願いします。

追記
というか、$0!$って普通に定義されてますよねw、その後の$-1!$を意識しすぎて、未定義にしちゃってますね

投稿日:1019
更新日:1020
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tokara
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