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約数関数を成分に持つ行列の行列式

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行列に約数関数が入っていたらどうなるだろう?と考え遊んでいた結果,次の結果を得ました.

n×n行列A

A(n,x)=(σ1+x(1)σn+x(1)σ1+x(n)σn+x(n))

とすると,次の等式が成り立つ.
det A(n,x)=(n!)1+xk=0n1k!

見る人によっては当たり前だと感じるかもしれません.

自然数nの正の約数はn以下であるため,行列A2n行目から1行目を引く.(22以上の2の倍数)行目から2行目を引く.... という操作を行うと,次の行列Aに変形できる.

A(n,x)=(11+x1n+xn1+xnn+x)

以上の操作で行列式は変化しない(det A(n,x)=det A(n,x)).よってdet A(n,x)を求めればよいわけなのだが,これはヴァンデルモンドの行列式にそっくりである.利用しない手はない.

det A(n,x)=det(101n1n0nn1)k=1nk1+x=(n!)1+x1i<jn(ji)=(n!)1+x2jni=1j1(ji)=(n!)1+x2jn(j1)!=(n!)1+xk=0n1k!

以上により

det A(n,x)=(n!)1+xk=0n1k!

を得る.

面白い結果なので,もしかしたら既出なのかもしれません.

ここまで読んでいただきありがとうございます.

投稿日:20231028
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約数関数、数列関係の記事を中心に書いていきます。 記事の内容に間違いがあれば教えてくれるとありがたいです。

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