行列に約数関数が入っていたらどうなるだろう?と考え遊んでいた結果,次の結果を得ました.
$n\times n$行列$A$を
$$ A(n, x)= \begin{pmatrix} \sigma_{1 +x}(1) & \cdots & \sigma_{n +x}(1) \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ \sigma_{1 +x}(n) & \cdots & \sigma_{n +x}(n) \end{pmatrix} $$
とすると,次の等式が成り立つ.
$$
\mathrm{det}\ A(n, x)=(n!)^{1 +x}\prod_{k=0}^{n -1} k!
$$
見る人によっては当たり前だと感じるかもしれません.
自然数$n$の正の約数は$n$以下であるため,行列$A$の$2 \sim n$行目から$1$行目を引く.($2\cdot 2$以上の$2$の倍数)行目から$2$行目を引く.... という操作を行うと,次の行列$A^{\prime}$に変形できる.
$$ A^{\prime}(n, x)= \begin{pmatrix} 1^{1 +x} & \cdots & 1^{n +x} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ n^{1 +x} & \cdots & n^{n +x} \end{pmatrix} $$
以上の操作で行列式は変化しない($\mathrm{det}\ A(n, x)=\mathrm{det}\ A^{\prime}(n, x)$).よって$\mathrm{det}\ A^{\prime}(n, x)$を求めればよいわけなのだが,これはヴァンデルモンドの行列式にそっくりである.利用しない手はない.
\begin{align} \mathrm{det}\ A^{\prime}(n, x)&=\mathrm{det} \begin{pmatrix} 1^0 & \cdots & 1^{n -1} \\ \vdots & \ddots & \vdots \\ n^0 & \cdots & n^{n -1} \end{pmatrix}\prod_{k=1}^n k^{1 +x} \\ &=(n!)^{1 +x}\prod_{1\leq i\lt j\leq n} (j -i) \\ &=(n!)^{1 +x}\prod_{2\leq j\leq n} \prod_{i=1}^{j -1} (j -i) \\ &=(n!)^{1 +x}\prod_{2\leq j\leq n} (j -1)! \\ &=(n!)^{1 +x}\prod_{k=0}^{n -1} k! \end{align}
以上により
$$ \mathrm{det}\ A(n, x)=(n!)^{1 +x}\prod_{k=0}^{n -1} k! $$
を得る.
面白い結果なので,もしかしたら既出なのかもしれません.
ここまで読んでいただきありがとうございます.