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大学数学基礎解説
文献あり

部分分数分解が簡単にできる場合

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いざという時に思い出して使えるかもしれないということで,部分分数分解が簡単にできる場合をメモしておこうと思います.

パターン1 AA2B2の形のとき

AA2B2=12(1AB+1A+B)であることを利用します.すると,分母の次数が高い場合でも何回か代入して連立方程式を解くというようなことをせずに済みます.

1x41を部分分数分解せよ.

1x41=1(x2)21=12(11x2+11+x2)
=12(12(11x+11+x)+11+x2)
=1411x+1411+x+1211+x2

x2+1x4+1を部分分数分解せよ.

x2+1x4+1=x2+1(x2+1)2(2x)2
=12(1x22x+1+1x2+2+1)

パターン2 分子が1で(分母)=0が異なるn解をもつとき

この場合は普通に代入して連立方程式を解くだけなので,実は特別扱いすることにあまり意味はありません.αiαj(ji)として
1(xα1)(xαn)=a1xα1++anxαnとおくと,分母を払って
1=iaiki(xαk)
x=αi(i=1,,n)を代入することで
ai=1ki(αiαk)

n,m,lRをどの二つも異なる実数とする.1(xn)(xm)(xl)を部分分数分解せよ.

1(xn)(xm)(xl)=axn+bxm+cxlとおく.分母を払ってx=n,m.lとすることで
a=1(nm)(nl),b=1(mn)(ml),c=1(ln)(lm).よって
1(xn)(xm)(xl)=1(nm)(nl)(ml)(mlxm+lnxm+nmxl).

1x31を部分分数分解せよ.

1の原始3乗根の一つをωとし,
1x31=ax1+bxω+cxω2とおく.分母を払ってx=1,ωとすることで
a=1(1ω)(1ω2)=11ωω2+ω3=13,
b=1(ω1)ω(1ω)=(1+ω)ω(1ω)(1ω2)=ω3.
最初の等式で両辺の共役をとったものと元の式で係数を比較してc=b¯=ω23.よって
1x31=13(1x1+ωxω+ω2xω2)
=13(1x1+x2x2+x+1)

これは通常通り1x31=ax1+bx+cx2+x+1とおいてxに値を代入してa,b,cを求めた方が早そうですね.
一般に1xn1の部分分数分解が同様に可能です.

参考文献

投稿日:329
更新日:329
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qq_pp
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  1. パターン1 AA2B2の形のとき
  2. パターン2 分子が1で(分母)=0が異なるn解をもつとき
  3. 参考文献