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東大数理院試2025年度専門B問12解答

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東大数理の院試(2025年度専門B問12)の解答です.
自分が作った解答は ここ に置いてあります.

(東大数理2025年専門B問12)

実数値関数uC(R×(0,))
{ut(x,t)+u(x,t)ux(x,t)=uxxx(x,t)(x,t)R×(0,)u(x+1,t)=u(x,t)(x,t)R×(0,)
を満たすとする.以下の問に答えよ.

  1. t(0,)に対して,
    I1(t)=01u(x,t)2dx
    とおく.I1(t)tによらないことを示せ.
  2. aR,t(0,)に対して,
    I2(t)=01(ux(x,t)2+au(x,t)3)dx
    とおく.I2(t)tによらないようなaを一つ求めよ.
  3. 関数uR×(0,)上で有界であることを示せ.ただし必要ならば,ある定数M0が存在して任意のt(0,)に対して
    maxx[0,1]u(x,t)2M01(u(x,t)2+ux(x,t)2)dx
    が成り立つことを用いて良い.

(1)
I1の積分区間が有限であることとuCより,I1は積分記号下で微分できる.よって部分積分とuの周期性により
I1(t)=012uutdx=012u(uxxxuux)dx=012(uxuxxu2ux)dx=((ux)223u3)|01=0.
(2)
(1) と同様にして
012uxuxtdx=012ux(uxxxuux)xdx=012uxx(uxxxuux)dx=012uuxuxxdx,013u2utdx=013u2(uxxxuux)dx=01(3u2)xuxxdx34u4|01=016uuxuxxdx
だから
I2(t)=01(2uxuxt+3au2ut)dx=(26a)01uuxuxxdx.
よってa=1/3.
(3)
M(t)=maxx[0,1]|u(x,t)|とおくと,各t>0に対しM(t)<である.また定数C>0があって任意のt>0に対し
CM(t)201(u2+(ux)2)dx=I1(1)+I2(1)1301u3dxI1(1)+I2(1)+1301M(t)u2dx=I1(1)+I2(1)+I1(1)3M(t)
となる.よってある有限な閉区間[a,b]があってM(t)[a,b]となるから示された.

(補足)
(3) にある不等式は,例えばEvansのPDE本のP302, Theorem2 にある.
またv(x,t)=u(ix,it)とおけばvvt+vvx+vxxx=0を満たすが,
maxxI{|v|,|v|,,|v(n1)|},01|v(n)|2dx
(微分はxについての偏微分)は (1), (2) のようなn+1個の保存量を用いて上から抑えられるらしい.
(P.D.Lax, Periodic solutions of the KdV equation, Commun.Pure Appl.Math.28, 141-188 (1975), Theorem 3.1.)

投稿日:28日前
更新日:28日前
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delta
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