ここでは東大数理の修士課程の院試の2018B04の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
奇素数$p$をとり、$\zeta:=\exp\left(i\frac{2\pi}{p^2}\right)$及び$\alpha:=\sqrt[p]{p}\zeta$とおく。
(2)の$\mathbb{Q}(\alpha)$の拡大次数を求める方法として、本記事では$\mathrm{Gal}(\mathbb{Q}(\zeta,\alpha)/\mathbb{{Q}})$のガロア群を(集合として)求めて、そのうち$\alpha$を固定する元の個数を求める方法を取りました。ただ所望の拡大次数を求めるに当たっては、$\alpha$が
$$
X^{p(p-1)}+pX^{p(p-2)}+\cdots+ p^{p-2}X^{p}+p^{p-1}
$$
の根であるから
$$
[\mathbb{Q}(\alpha):\mathbb{Q}]\leq p(p-1)
$$
である一方、$\sqrt[p]{p}$は
$$
X^p-p
$$
の根なので
$$
[\mathbb{Q}(\zeta,\alpha):\mathbb{Q}(\alpha)]=[\mathbb{Q}(\sqrt[p]{p},\alpha):\mathbb{Q}(\alpha)]\leq p
$$
であり、事前に示していた$[\mathbb{Q}(\zeta,\alpha):\mathbb{Q}]=p^2(p-1)$と併せて
$$
[\mathbb{Q}(\alpha):\mathbb{Q}]=p
$$
といった議論もできます。
この方法は本記事の誤りを指摘してくださった方から参考として見せていただいたものです。この場を借りて厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。