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大学数学基礎議論
文献あり

ランダウの記号を集合として解釈する(スモールオーダー)

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注意 
この記事は、大学数学を学びたての人間が自己満足の一環として書いているものであり、間違っている箇所や重大な勘違いがあってもおかしくないです。もし気になるところ等あれば、何らかの手段で私に伝えてください。また、数式がデカいのでPCで見ることをおすすめします(スマホでも数式を横にスワイプすれば見れます)

0. 導入

二変数関数の全微分の定義には、普通ランダウの記号(スモールオーダー)が用いられる。

全微分

f(x,y)が点(a,b)で全微分可能
def十分小さいh,k>0  ((h,k)(0,0))に対してA,Bが存在して、
       f(a+h,b+k)f(a,b)=hA+kB+o(h2+k2)  ((h,k)(0,0))

スモールオーダーとは、このo( )の部分のことで、n変数関数 f(x),g(x)  において以下で定義される。

f(x)=o(g(x))(xa) deflimxaf(x)g(x)=0

とここで、ひとつ物申したい。普通、方程式や恒等式に用いられる等号は同値関係であるため、以下の性質(対称律)をもつ。

a=b b=a

だが、実はオーダーが絡むとこれが一般的には成り立たない。

o(x2)=o(x)
o(x)o(x2)

このせいで普通なら等号でできるような論述ができない例が結構ある。例えばx2=o(x),x3=o(x)(x0)は成り立つが、ここからx2=x3を導いては当然いけない。 また、この記号ではまるで関数のように書いているが、o(x)o(x)=o(x)といったキモ式が成り立つことからわかるように、この記号は関数でも何でもなく、強いていうなら「記号『=』(等号ではない)を用いて表す状態」としてとるべきなはずだ。
しかし、このオーダーの記号において(等号では当たり前に使える)移項や代入みたいな「ほんとにそれっていいの??」みたいな変形をゴリゴリに使った証明もあり、今までの私はどこか納得のいかないまま証明終了のちっちゃい四角を書き続けてきた。
そこで、「一旦、自分が納得できる証明をかけるようにしよう!」という理念のもと、オーダー自体の定義を書き換えて厳密に議論できるものを作ってみたので、同じところで詰まっている数学科生の方は是非参考にしてみてはいかがだろうか。

1. 定義

スモールオーダーNEO

集合ordxa f(x)を「f(x)より早く0に収束する関数全体の集合」とする。つまり、
ordxa f(x):={g(x)|limxag(x)f(x)=0}
とする。また、ord 0は考えないとする。

このとき、本来のスモールオーダーの定義に沿った書き方をするならば
limxaf(x)g(x)=0f(x)ordxa g(x)
となる。 この定義のもと、以下の定理が成り立つ

2. 定理(証明は別記事)

f,g,hn変数関数、aRnをいい感じにとると、以下のようにいろんなことが成り立つ。 実際に使うかわからないものもあるがとりあえずまとめてみよう
(1) limxaf(x)=0  f(x)ordxa 1(2) limxag(x)=c  (c  0 でない定数) ordxa g(x)=ordxa 1(3) f(x)ordxag(x) f(x)h(x)ordxa g(x)h(x)  (h(x)  0 でない関数)(4) f(x),g(x)ordxa h(x)f(x)+g(x)ordxa h(x)(5) f(x),g(x)ordxa h(x)f(x)g(x)ordxa (h(x))2(6) f(x)ordxa g(x) , g(x)ordxa h(x)f(x)ordxa h(x)
また、ord xnの元に対して、
(7) m,nN (mn) , ordx0 xnordx0 xm(8) f(x,y)ord(x,y)(0,0)xn , g(x,y)ord(x,y)(0,0)ynf(x,y)+g(x,y)ord(x,y)(0,0)(x2+y2)n(8) x0,y0 のとき,f(x,y)ordx0 xn , g(x,y)ordy0 ynf(x,y)+g(x,y)ord(x,y)(0,0)(x2+y2)n

いい感じに設備が揃ってきたところで、実際に用いていろいろしてみよう

3. 実用

まず、全微分を次で定義する。

全微分NEO

f(x,y)が点(a,b)で全微分可能
def十分小さいh,k>0  ((h,k)(0,0))に対してA,Bが存在して、
            f(a+h,b+k)f(a,b)hAkBord(h,k)(0,0)(h2+k2)n

この定義の上で、次を証明してみる。

fx ,fyが存在し、どちらか片方が点(a,b)で連続ならば
f(a,b)で全微分可能

(証明)
十分小さいh>0,k>0をとる。 fxが連続とすると、
limk0fx(a,b+k)fx(a,b)=0 fx(a,b+k)fx(a,b)ordk0 1   
また、x偏微分の定義より
limh0f(a+h,b+k)f(a,b+k)h=fx(a,b+k) f(a+h,b+k)f(a,b+k)hfx(a,b+k)ordh0 1   
ここではh,k0としているので、定理(8)より、➀と➁から
f(a+h,b+k)f(a,b+k)hfx(a,b)ord(h,k)(0,0)1定理(3)f(a+h,b+k)f(a,b+k)hfx(a,b)ord(h,k)(0,0)h   
一方、y偏微分の定義より
limk0f(a,b+k)f(a,b)k=fy(a,b)
いま、k0なので極限のk0をまんま(h,k)(0,0)に書き換えてよい。よって、
lim(h,k)(0,0)f(a,b+k)f(a,b)k=fy(a,b) f(a,b+k)f(a,b)kfx(a,b)ord(h,k)(0,0)k   
となる。ここで定理(8)より、➂と➃から
f(a+h,b+k)f(a,b)hfx(a,b)kfy(a,b)ord(h,k)(0,0)h2+k2
ということで、十分小さいh>0,k>0において
f(a+h,b+k)f(a,b)hAkBord(h,k)(0,0)h2+k2
をみたすA=fx(a,b),B=fy(a,b)がある。
以上によりfは点(a,b)で全微分可能、、、と言いたいところだが、正確には上のことを十分小さいh,k>0((h,k)(0,0))に対して言えなければいけないので、h,kのうちどちらか片方までは0でもよい前提で進めなければいけない。と言っても、実はこれは単純で、h=0とすると、
f(a,b+k)f(a,b)0AkBordk0 k
となるA,Bが存在するかという問いになるのだが、fy偏微分可能だからB=fy(a,b)で、Aは任意の実数でこれが成立している。 同様にk=0となるパターンも大丈夫で、結果的に
{h>0,k>0h=0,k>0h>0,k=0
の全てのケースにおいてA, Bの存在を示せるため、fは点(a,b)で全微分可能である。
(また、ここではfxが連続という仮定のもと進めたが、fyが連続であるとしても似たように証明できる。)(終)

ひとこと

一応、この記号を用いてシュワルツの定理や連鎖律なども証明することができたので、書く気力があれば書きますといったところでしょうかね、、、
また、mathlogを初めて触ったので数式の始まる場所が大変おキショくなっております。お許しください。あとどうすればキショくならないのか知ってる人は教えてください。

参考文献

投稿日:2024124
更新日:2024126
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数学

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  1. 0. 導入
  2. 1. 定義
  3. 2. 定理(証明は別記事)
  4. 3. 実用
  5. 参考文献