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素微分友愛数の性質を弱めたかった話

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前提

素微分についての記事(数学を愛する会Wiki)

素微分の定義などはこちら

piを0から数えてi番目の素数とする。またqiは有理数とする。
n=i=0piqiと書けるとき、素微分Dを以下のように定義する。
D(n):=ni=0qipi
また対数素微分ldを次のように定義する。
ld(n):=i=0qipi
以下の関係式は明らか。

D(n)=nld(n)

※また、本記事の内容は 素微分友愛数となる相異なる自然数同士は互いに素 を前提としています。

導入

素微分友愛数を探す、または非存在を証明する方法がまるっきり分からないので、素微分友愛数なら満たすような弱い性質を考えることにした。
着目したのは、素微分友愛数における対数素微分の性質である、

aが素微分友愛数であることと、ld(a)ld(D(a))=1は同値

という性質である。

ここから正整数nの素微分上の知り合い(?)を定義する。

nmが知人同士であるとは、以下が成り立つこと。

n,mが知人同士 nm=D(n)D(m)

ちなみに知り合い要素は、素微分友愛数を弱めたものだからである。
(思い付きでの命名であるので、単語の衝突などがあれば申し訳ない。)

定義中の式を変形することで、1=ld(n)ld(m)が得られるため、m=D(n)とすれば、素微分友愛数の場合になる。

知人同士の例を挙げる。

知人同士となる組
  • (6,20)は知人同士D(6)D(20)=524=620

  • (27,4)は知人同士D(4)D(27)=427

知人同士の組には例があるので、自然数の条件を制限することで、素微分友愛数の性質も考えられるのではないかと思った。

ただ後述するが素微分友愛数の知人は少ない。

知人同士の関係について分かること。
  • a,bが素微分友愛数なら、a,bは知人同士。
  • abが知人同士でb=D(a)が成り立つならa=D(b)
    (つまりa,bは素微分友愛数)
  • abが知人同士でaが素微分完全数なら、bも素微分完全数


上記はほぼ自明であるので、本題に入る。

本題

非自明な素微分友愛数に関して、知人同士となる数はただ一つ

aが非自明な素微分友愛数、つまりは素微分完全数でない素微分友愛数であるとする。

まず素微分友愛数aについてはD(a)がその知人として存在している。

知人同士の定義より、

ab=D(a)D(b)

について、bの性質を考える。

aは非自明な素微分友愛数なので、a,D(a)は互いに素であり、また式の両辺が等しいことから、ある正整数cが存在して、

caD(a)=ab=D(a)D(b)

とできる。
これにより、2つの式を得る。

{cD(a)=b(1)ca=D(b)(2)

ここから、c=1を示す。

式(1)を素微分し、式(2)と比較することで、
D(c)D(a)+cD(D(a))=ca

aは素微分友愛数であったから、D(D(a))=aより、
D(c)D(a)+ca=ca
D(c)D(a)=0
D(c)=0(3)またはD(a)=0(4)

式(3)(4)について、素微分すると0になる正整数は1だけであり、1は素微分友愛数ではないので、式(3)よりc=1が分かる。

c=1を式(1)(2)に代入することでD(a)=bかつa=D(b)となり、素微分友愛数aと知人同士になるのはD(a)のみであることが分かった。

証明終

コメント

素微分友愛数と関係のある自然数を増やしたかったが、思ったより素微分友愛数としての性質が強いことが分かった。

なお、知人同士については以下のことが分かっている。

  • a,bが知人同士であり、かつa,bが共に平方因子を持たない場合は、
    aは素微分友愛数
  • 256に知人はいない。(実数の範囲では2が知人に当たる)
投稿日:215
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