この記事はゲーム『8番出口』のパロディです!要するに間違い探しです!
ルール:以下の第1章から第8章までのうち異変を含む章番号を全て挙げてください。
(異変の厳密な定義はしませんが、それが数学書に書いてあったら間違いだと指摘したくなるものが異変だと思ってください。)
知識ゲーにならないように、ヒントを置いておきます。
ヒント:非可換環の最小位数は8である。
$A$は集合とする.$B$は1点集合で$B=\{*\}$とする.$f:A\to B$は写像とする.
このとき,$f$は全射である.
ここでは空集合を$\varnothing$と表すことにする.
$B$は集合とする.$f:\varnothing\to B$は写像とする.
このとき,$f$は単射である.
$a_1,a_2,a_3,b_1,b_2,b_3$は実数とする。このとき,
$\displaystyle(\prod_{i=1}^{3}a_i)(\prod_{j=1}^3b_j)=\prod_{1≤i,j≤3}(a_ib_j)$.
2つの$4\times 4$行列$A=(a_{i,j}),B=(b_{i,j})$が与えられたとき,積$AB$の(2,3)-成分は次のように書かれる.
$\displaystyle\sum_{k=1}^4a_{2,k}b_{k,3}$.
(何の関係もない画像)
実数や複素数で成り立つような性質でも,一般の環では成り立たないことがあるから注意が要る.例えば,平方根の個数について考えてみよう.
$0$でない複素数が1個与えられたとき,その平方根は2個存在する.
ところが,このことは一般の環では必ずしも成立しない.例えば$\mathbb{Z}/8\mathbb{Z}$では$1^2=3^2=5^2=7^2=1$であるから,$\mathbb{Z}/8\mathbb{Z}$に$1$の平方根は4個存在する.
$a,b,x,y$は整数とし,$ax+by=1$とする.
このとき,$2=2^{ax+by}=(2^{ax})^{by}$.
各素数が代数体$K$で分岐するかどうかどうかは,判別式によってによって完全に記述できる.
$p$は素数とする.次の(1),(2)は同値である.
(1)$p$は$K$で分岐する.
(2)$p\mid \Delta_K$.
非可換環の最小位数は8である.
この命題を示すには,次の(1)と(2)を示せば十分である.
(1)位数が8未満の任意の環は可換環である
(2)位数が8の非可換環が存在する
ではまず(1)を示そう....
終わりです.異変を見つけられましたか?
解答
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異変を含む章番号は、1,3,6,7です。それぞれの章を見てみましょう。
異変あり。
命題1は偽です。
実際、$A$が空集合$\varnothing$のとき、写像$f:\varnothing\to \{*\}$がただ1つ存在しますが、これは全射でないです。
異変なし。
正しいです。
異変あり。
命題3は偽です。左辺は$a_1a_2a_3b_1b_2b_3$、右辺は$(a_1b_1)(a_1b_2)(a_1b_3)(a_2b_1)(a_2b_2)(a_2b_3)(a_3b_1)(a_3b_2)(a_3b_3)=(a_1a_2a_3b_1b_2b_3)^3$なので、一般にこれらは等しいとは限りません。
命題の$\prod$を$\sum$に置き換えると成り立ちますが。
異変なし。
添え字の扱いは時にややこしいですが、ここは問題ないです。
異変なし。
問題ないです。体や整域でない環においては、実数や複素数で慣れ親しんでいるのとは違う現象が起こることがあります。
異変あり。
$2^{ax+by}=(2^{ax})^{by}$は成り立ちません。
$2^{ax+by}=2^{ax}2^{by}$なら成り立ちます。
異変あり。
数学は関係ないのですが、「どうかどうか」や「によってによって」となっているところが異変です。なお命題4は真です。
異変なし。
記事冒頭のヒントにある通り、命題5は真です。証明の手順も問題ないです。
「$8$」に関係する題材を載せたくて、この命題を書きました。$\mathbb{F}_2$成分の$2\times 2$行列のうち上三角行列全体からなる環($M_2(\mathbb{F}_2)$の部分環)の位数は$8$で、この環は非可換環になります。これが位数が最小の(単位的)非可換環になります。
位数7以下では、$\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}$という形の環と、
$\mathbb{F}_2^2,\quad \mathbb{F}_4,\quad \mathbb{F}_2[x]/(x^2)$ (dual numberの環)
で全てで、いずれも可換環になります。