0

8番定理(令和8年8月8日)

185
1
$$$$

この記事はゲーム『8番出口』のパロディです!要するに間違い探しです!

ルール

ルール:以下の第1章から第8章までのうち異変を含む章番号を全て挙げてください。

(異変の厳密な定義はしませんが、それが数学書に書いてあったら間違いだと指摘したくなるものが異変だと思ってください。)

知識ゲーにならないように、ヒントを置いておきます。

ヒント:非可換環の最小位数は8である。

第1章

$A$は集合とする.$B$は1点集合で$B=\{*\}$とする.$f:A\to B$は写像とする.

このとき,$f$は全射である.

第2章

ここでは空集合を$\varnothing$と表すことにする.

$B$は集合とする.$f:\varnothing\to B$は写像とする.

このとき,$f$は単射である.

第3章

$a_1,a_2,a_3,b_1,b_2,b_3$は実数とする。このとき,

$\displaystyle(\prod_{i=1}^{3}a_i)(\prod_{j=1}^3b_j)=\prod_{1≤i,j≤3}(a_ib_j)$.

第4章

2つの$4\times 4$行列$A=(a_{i,j}),B=(b_{i,j})$が与えられたとき,積$AB$の(2,3)-成分は次のように書かれる.

$\displaystyle\sum_{k=1}^4a_{2,k}b_{k,3}$.

(何の関係もない画像) (何の関係もない画像)

第5章

実数や複素数で成り立つような性質でも,一般の環では成り立たないことがあるから注意が要る.例えば,平方根の個数について考えてみよう.

$0$でない複素数が1個与えられたとき,その平方根は2個存在する.

ところが,このことは一般の環では必ずしも成立しない.例えば$\mathbb{Z}/8\mathbb{Z}$では$1^2=3^2=5^2=7^2=1$であるから,$\mathbb{Z}/8\mathbb{Z}$に$1$の平方根は4個存在する.

第6章

$a,b,x,y$は整数とし,$ax+by=1$とする.
このとき,$2=2^{ax+by}=(2^{ax})^{by}$.

第7章

各素数が代数体$K$で分岐するかどうかどうかは,判別式によってによって完全に記述できる.

$p$は素数とする.次の(1),(2)は同値である.

(1)$p$は$K$で分岐する.
(2)$p\mid \Delta_K$.

第8章

非可換環の最小位数は8である.

この命題を示すには,次の(1)と(2)を示せば十分である.

(1)位数が8未満の任意の環は可換環である
(2)位数が8の非可換環が存在する

ではまず(1)を示そう....

終わりです.異変を見つけられましたか?

解答
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓

解答

異変を含む章番号は、1,3,6,7です。それぞれの章を見てみましょう。

第1章

異変あり。

命題1は偽です。
実際、$A$が空集合$\varnothing$のとき、写像$f:\varnothing\to \{*\}$がただ1つ存在しますが、これは全射でないです。

第2章

異変なし。

正しいです。

第3章

異変あり。

命題3は偽です。左辺は$a_1a_2a_3b_1b_2b_3$、右辺は$(a_1b_1)(a_1b_2)(a_1b_3)(a_2b_1)(a_2b_2)(a_2b_3)(a_3b_1)(a_3b_2)(a_3b_3)=(a_1a_2a_3b_1b_2b_3)^3$なので、一般にこれらは等しいとは限りません。

命題の$\prod$を$\sum$に置き換えると成り立ちますが。

第4章

異変なし。

添え字の扱いは時にややこしいですが、ここは問題ないです。

第5章

異変なし。

問題ないです。体や整域でない環においては、実数や複素数で慣れ親しんでいるのとは違う現象が起こることがあります。

第6章

異変あり。

$2^{ax+by}=(2^{ax})^{by}$は成り立ちません。
$2^{ax+by}=2^{ax}2^{by}$なら成り立ちます。

第7章

異変あり。

数学は関係ないのですが、「どうかどうか」や「によってによって」となっているところが異変です。なお命題4は真です。

第8章

異変なし。

記事冒頭のヒントにある通り、命題5は真です。証明の手順も問題ないです。

「$8$」に関係する題材を載せたくて、この命題を書きました。$\mathbb{F}_2$成分の$2\times 2$行列のうち上三角行列全体からなる環($M_2(\mathbb{F}_2)$の部分環)の位数は$8$で、この環は非可換環になります。これが位数が最小の(単位的)非可換環になります。

位数7以下では、$\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}$という形の環と、

$\mathbb{F}_2^2,\quad \mathbb{F}_4,\quad \mathbb{F}_2[x]/(x^2)$ (dual numberの環)

で全てで、いずれも可換環になります。

投稿日:8月7日
更新日:9日前
数学の力で現場を変える アルゴリズムエンジニア募集 - Mathlog served by OptHub

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

ことり
ことり
138
36160

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中