M(n,R)を実n次正方行列全体の集合とする.R上で定義されたC∞級の行列値関数Φ:R→M(n,R)を考える.対称行列Φ(s)+tΦ(s)の最大固有値をλ(s)とする.また,C∞級のベクトル値関数X:R→Rnは微分方程式dXds(s)=Φ(s)X(s)を満たすものとする.λ(s)が条件∫0∞|λ(s)|ds<∞を満たせば,X(s)(s≥0)は有界であることを示せ.
w(A)=sup{|⟨Ax,x⟩|;||x||=1}をAの数域半径と呼ぶ.
n次行列Aの固有値をλ1,⋯,λnとし,ρ(A)=maxi|λi|とおく.ρ(A)をAのスペクトル半径と呼ぶ.
明らかに,ρ(A)≤w(A)が成り立ちます.
A∗をAの共役転置とする.行列AがAA∗=A∗Aを満たすとき,Aを正規行列という.
行列UがU∗U=UU∗=Iを満たすとき,Uをユニタリ行列という.
実は次の定理が成り立ちます.
Aが正規行列のとき,ρ(A)=w(A)が成り立つ.
正規行列はユニタリ行列で対角化できるので,ユニタリ行列Uが存在してA=U∗ΛUと書ける.この時,||x||=1について,⟨Ax,x⟩=⟨U∗ΛUx,x⟩=⟨ΛUx,Ux⟩で,Uがユニタリ行列であることからsup{|⟨Ax,x⟩|;||x||=1}=sup{|⟨Λx,x⟩|;||x||=1}≤ρ(A)最後の不等式は⟨Λx,x⟩=λ1x12+λ2x22+⋯+λnxn2で,x12+⋯+xn2=1であることから導かれる.よってρ(A)≤w(A)と合わせてρ(A)=w(A)が分かる.
||X(s)||2=tX(s)X(s)を考える.微分すると,d||X||2ds=⟨(tΦ+Φ)X,X⟩=|λ(s)|||X||2である(最大固有値という言葉を絶対値が最大の固有値と解釈した).よってこの微分方程式を解くと,||X(s)||2=||X(0)||2exp(∫0s|λ(t)|dt)が分かるので,問題の条件からX(t)(t≥0)は有界.
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