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最近解いた漸化式の問題

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はじめに

私が最近解いた漸化式の問題の中から,解いていて楽しかったものを2問紹介します.独自の解答付きです.
また,ここに載せている解法と異なるものを見つけたなら,ぜひコメントに書いてください.あなたは満足感と優越感を得られることでしょう.そして中の人は新しい解法に喜びます.Win-Win というやつです.

最後に,解法は折り畳まれていませんので,自分の力だけで解きたいという方はご注意ください.

第1問

nN{0}に対してfn:[a,b]Rは連続であるとする.
任意のnN,x[a,b]に対して
fn(x)=axfn1(t) dt
が成り立つとき,
fn(x)=1(n1)!ax(xt)n1f0(t) dt
となることを示せ.

解答

n=1のときは明らかであるため,以降ではn2のときを考える.
mNに対して,新たな関数fn,mを次のように定める.
fn,m(x)=(1)maxtmfn1(t) dt
fn,0=fnである.
部分積分して整理すると

fn,m(x)=(1)max1m+1(tm+1)fn1(t) dt=(1)m([1m+1tm+1fn1(t)]t=at=xax1m+1tm+1fn1(t))=(1)mm+1([tm+1fn1(t)]t=at=xaxtm+1fn2(t))=(1)mm+1xm+1fn1(x)+1m+1fn1,m+1(x)

となる.ここで1kn1なる整数をとると,

fnk+1,m+k1(x)=(1)m+k1m+kxm+kfnk(x)+1m+kfnk,m+k(x)m!(m+k1)!fnk+1,m+k1(x)=m!(m+k)!fnk,m+k(x)+m!(m+k)!(1)m+k1xm+kfnk(x)fn,m(x)=m!(m+n1)!f1,m+n1(x)+k=1n1m!(m+k)!(1)m+k1xm+kfnk(x)fn(x)=(1)n1(n1)!axtn1f0(t) dt+k=1n11k!(1)k1xkfnk(x)=(1)n1(n1)!axtn1f0(t) dt+k=1n1(1)nk1(nk)!xnkfk(x)(1)n1(n1)!axtn1f0(t) dt=k=1n(1)nk(nk)!xnkfk(x)   (1)

となる.これはn=1でも成り立つ.次の操作でこの複雑な式が綺麗に整理されるのでもうしばらく我慢してほしい.

次のような和を考える.
k=1n(1)k1(k1)!(nk)!xnkaxtk1f0(t) dt
これは二項定理により

k=1n(1)k1(k1)!(nk)!xnkaxtk1f0(t) dt=1(n1)!axf0(t)(k=1n(n1nk)xnk(t)k1) dt=1(n1)!ax(xt)n1f0(t) dt

となる.一方で,(1)式を用いると

k=1n(1)k1(k1)!(nk)!xnkaxtk1f0(t) dt=k=1n1(nk)!xnki=1k(1)ki(ki)!xkifi(x)=i=1n1(ni)!xnifi(x)k=in(niki)(1)ki=i=1n1(ni)!xnifi(x)k=0ni(nik)(1)k=i=1n1(ni)!xnifi(x)0ni=fn(x)

となる.以上により,
fn(x)=1(n1)!ax(xt)n1f0(t) dt
が示せた.

第2問

mを自然数とし,数列{an}を漸化式
a0=m , an+1=1n+2((m+1)n+21k=0nn+2Ckak)
で定める.数列{an}の一般項を求めよ.

解答

a0=mのときの一般項をam,nと書くことにすると,
am,0=m , am,n+1=1n+2((m+1)n+21k=0nn+2Ckam,k)
となる.まず,m=0のときを考える(問題文でmは自然数と書いており正の整数だと捉えた人もいるだろうが,今回の解法ではm=0の場合を考えたほうが楽である).
a0,0=0 , a0,n+1=1n+2k=0nn+2Cka0,k
となる.一般項はすぐにわかるようにa0,n=0である.

さて,ここからがこの漸化式の面白いところである.am,nnに関しての漸化式を式変形し整理していく.
am,n+1=1n+2((m+1)n+21k=0nn+2Ckam,k)=1n+2(k=0n+2n+2Ck mk1k=0nn+2Ckam,k)=1n+2(mn+2+(n+2)mn+11+k=0nn+2Ck mkk=0nn+2Ckam,k)=1n+2(mn+2+(n+2)mn+11k=0nn+2Ck (am,kmk))
bm,n=am,nmnとおくと,bm,0=m1であり,
bm,n+1=1n+2(mn+2+(n+2)mn+11k=0nn+2Ckbm,k)mn+1=1n+2(mn+21k=0nn+2Ckbm,k)
となり,bm,n=am1,nであるとわかる.よって次の等式が成り立つ.
am,nam1,n=mn
これでmに関する階差数列を求めることができた.よって数列{an}の一般項は
an=a0,n+k=1m(ak,nak1,n)=k=1mkn
によりan=k=1mknとなる.

投稿日:2024323
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約数関数、数列関係の記事を中心に書いていきます。 記事の内容に間違いがあれば教えてくれるとありがたいです。

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