体の拡大次数や素イデアルかどうかの判定の際に多項式の既約性の判別は避けては通れない.そこで,今回は既約多項式かどうかを示す(あるいは判別する)際に有用なテクニックを紹介する.
$\mathbb{C}[X]$で考える.$X^{2}+1=(X+i)(X-i)$が成り立っており,$\mathbb{C}[X]$は一意分解整域なので,その部分環である$\mathbb{Q}[X]$上での分解も存在すれば,上のようになるはずである.したがって,$X^{2}+1$が$\mathbb{Q}[X]$の既約多項式である.
これは,判定に用いるよりも既約であることを示すときに用いる.特に高次の多項式に対していちいち,確かめるのはめんどくさい.体の拡大の問題の最小多項式をもとめる際に活用すると楽.
整数係数の多項式$f(X)=\sum_{i=0}^{n}a_iX^i$において,ある素数$p$が存在して,
$$pはa_nを割り切らず,$$
$$pはa_i(i=1,...,n)を割り切り,さらにp^2はa_0を割り切らない$$
をみたすとき,$f(X)$が$\mathbb{Q}[X]$上の既約多項式になる.
証明は可約として矛盾を導く.
これは一般の環の一変数多項式環にも拡張される!