6
大学数学基礎解説
文献あり

3200記念問題

223
0

はじめに

 この記事は私のX(旧Twitter)のフォロワー数が 3200 人を突破したことを記念して作った問題の解説記事です。

 まず問題を紹介し、それから解答を解説します。

フォロワー 3200 人突破記念問題

 次のように、正方形のタイルを規則的に並べていくことを考えます。
 つまり、自然数 n に対し、一辺の長さが 2n1 の正方形の内部に、一片の長さが 4 つずつ少ない正方形を並べます。
 このとき、必要なタイルの枚数を a(n) で表すことにします。

正方形のタイルを規則的に並べる 正方形のタイルを規則的に並べる

 このとき、以下の (1),(2) を解いてください。

(1) a(40) を求めてください。

(2) n=11a(n) を求めてください。

解答編

(1) の解答

(1) a(40) を求めてください。

解法1

3200個の正方形 3200個の正方形

 実際に並べると図 2 のようになります。頑張って数えれば 3200 個であることがわかります。
 ……冗談です。
 各正方形に使われるタイルの数が等差数列になっていることから、等差数列の和の公式で求めるのが一番簡単だと思います。

 a(40)=8+24+40++312=20(8+312)2=3200

(2) の解答

(2) n=11a(n) を求めてください。

 まず、a(n)n の式で表します。
 偶数のときと奇数のときで場合分けします。

n が偶数のとき】

  a(n)=8+24+40++(8n8)=n2(8+(8n8))2=2n2

n が奇数のとき】
 一辺が 1 の正方形だけは等差数列を構成しないので例外処理が必要です。

  a(n)=1+(0+16+32++(8n8))=1+n+12(0+(8n8))2=2n21

まとめるとこうなります。

  a(n)={2n2(n:even)2n21(n:odd)

 まず、n=11a(n)が収束することを確認しましょう。

 n1 のとき a(n)n2 ですから

  n=11a(n)n=11n2=π26

 となります。
 すなわち、この級数は上に有界で単調増加しますので、収束します。各項は正ですから、絶対収束します。
 絶対収束する級数は和の順番を変えても同じ値に収束しますので、級数を「偶数項の和」と「奇数項の和」に分けます。

 n=11a(n)=n=112(2n)2+n=112(2n1)21

「偶数項の和」はゼータ関数の特殊値に帰結して

 n=112(2n)2=ζ(2)8=π248

「奇数項の和」はちょっと面倒ですが以下のように計算できます。

まず次の補題を示します。

n=11n2π2z2=12z212zcot(z)

 sin の無限積表示から始めます。

 sinz=zn=1(1z2n2π2)

 (この表示自体、sin z を†因数分解†したみたいで素敵ですね!それはともかく)両辺の対数をとります。

 logsinz=logz+n=1log(1z2n2π2)

 両辺を微分します。

 cotz=1z+n=12zn2π21z2n2π2=1z2zn=11n2π2z2

 整理すると

 n=11n2π2z2=12z212zcot(z)

 補題 1z=πx を代入して両辺に 2π2x を乗じます。
 n=12xn2x2=1xπcotπx

 n=12xn2x2=1xπcotπx

 補題 2x=12 を代入してから、次のように変形していきます。

 n=12n212=2πcotπ2

 n=1222n21=2πcotπ2

 n=112n21=12π22cotπ2

 n=112n21=12π22cotπ2

 補題 2x=122 を代入してから、次のように変形していきます。

 n=112n218=22πcotπ22

 n=1428n21=22πcotπ22

 n=1422(2n)21=22πcotπ22

 n=112(2n)21=12π42cotπ22

 n=112(2n)21=12π42cotπ22

 補題 3 の両辺から補題 4 の両辺を引くと次のようになります。

 n=112n21n=112(2n)21=(12π22cotπ2)(12π42cotπ22)

 左辺に注目します。左辺第 2 項は左辺第 1 項の偶数項の和ですから、引き算の残りは奇数項の和となります。つまり

 n=112n21n=112(2n)21=n=112(2n1)21

 後は、右辺を整理していきます。

 n=112(2n1)21=π42cotπ22π22cotπ2=π42cotπ22π2212(cotπ22tanπ22)=π42tanπ22

2 行目の変形に cot の倍角公式
 cot(2x)=12(cot(x)tan(x))

を使いました。

 n=112(2n1)21=π42tanπ22

 これで問題の級数の和を求める準備ができました!

 n=11a(n)=n=112(2n)2+n=112(2n1)21=π248+π42tanπ22

問題の答え

 n=11a(n)=π248+π42tanπ22

おわりに

 あらためて、a(n) の成長の様子を観察してみましょう。

画像の名前 画像の名前

 まるで花火のようにも見えておめでたいですね。
 これからもどんどんフォロワーさんの輪がこんな風に広がっていったらいいな、と思います。
 今後ともよろしくお願いします!

参考文献

投稿日:20231228
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

apu_yokai
apu_yokai
490
68376

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. はじめに
  2. フォロワー 3200 人突破記念問題
  3. 解答編
  4. (1) の解答
  5. (2) の解答
  6. おわりに
  7. 参考文献