早稲田大学教育学部第2問(2024)
3つの複素数に関する条件を次のように定める。
次の問いに答えよ。
3つの複素数が条件を満たしているとする。このとき, であることを示せ。また集合の要素の個数は有限であることを示せ。
条件を満たす3つの複素数のうち, 集合の要素の個数が最小となるものを考える。このとき, 集合を求めよ。
前提知識や記号の注意
- 群論の知識はある程度もっている読者を想定しています。
- 群の位数をで表します。
- は我々が習ってきた「掛け算の積」を「積」として群になります。
- 群の任意の元に対し, とします。
- 加法群と元を簡単な表記にします。
- は虚数単位とします。
- はネイピア数とします。
はの部分群である。なぜなら
- は演算について閉じている(明らか)
- は結合法則が成り立つ(明らか)
- はの単位元をもつ。
- 任意のは, 逆元をもつ。
だから。
しかし, は実は成り立たない。これを背理法で示そう。と仮定する。群同型を考える。とすると
だから
となるにはでなければならないが, これはが群同型であることに矛盾。よって, は成り立たない。
よって, ラグランジュの定理を用いると
以下の方針でを求めます。
から, のとき
を満たすと互いに素なが存在。これは条件から
を満たすと互いに素なが存在に主張を強めることができ, その上が相異なるのでは相異なる。ゆえにであるは存在しない。しかしのとき, が条件を満たす。
が求めるである。