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大学数学基礎解説
文献あり

金融数学の基礎

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金融の数学には、複利、抵当貸付、ローン、年金といった概念が含まれる。いくつかの基本原則を確立するために、まず様々な利率での複利計算を確認する。これらの基本原則は、抵当貸付、ローン、年金で発生する、より複雑なプロセスを開発するために使用される。これらのトピックの探求においては、離散過程と連続過程が検討され、導かれる。

利子の基本

$P_o$を当初の投資額、$r$を年あたりの名目金利とする。$P(t)$$t$年後の累積額を表すとすると、$P_o$を金利$r$で数年運用すると、次のような結果が得られる:

$$P(t) = P_o(1+r)^t$$

これを期間ごとに$m$分割する場合(例えば12ヶ月で分離する等)、以下のように書き換えることができる:

$$P_m(t) = P_o\left( 1+\frac{r}{m} \right)^{mt}$$

これを連続期間に置き換える場合は以下。

$$P_c(t) = \lim_{m \rightarrow \infty}P_m(t) = P_{o}e^{rt}$$

抵当貸付

1期間において$x$の支払いが行われることを仮定する。

$P(0)=P_o$
$P(1)=P(0)(1+r)-x$
$P(2)=P(1)(1+r)-x$

任意$T \in \mathbb{N}$において、
$$P(T)=P_o(1+r)^{T}-x\left( \sum_{i=0}^{T-1}(1+r)^i \right)$$

数学的帰納法を用いる

$P(1)$はすでに示してあるため、$T=n$の場合に成り立つとして、$T=n+1$を示す。
$$P(n+1)=P(n)(1+r)-x$$
$$P(n+1)=\left\{ P_o(1+r)^{n}-x\left( \sum_{i=0}^{n-1}(1+r)^i \right)\right\} (1+r)-x$$
単純化すると、
$$P(n+1)=P_o(1+r)^{n+1}-x\left( \sum_{i=0}^{n}(1+r)^i \right)$$

支払い部分に注目すれば、

$$\sum_{i=0}^{T-1}(1+r)^i=\frac{(1+r)^T -1}{r}$$

よって、

$$P(T) = P_{o}(1+r)^{T} - \left( (1+r)^{T}-1 \right)\frac{x}{r}$$

$P(T)=0$として$x$について解くと、

$$x_1 = \frac{P_{o}r(1+r)^{T}}{(1+r)^{T}-1}$$
$$x_m = \frac{P_{o}\frac{r}{m}(1+\frac{r}{m})^{mT}}{(1+\frac{r}{m})^{mT}-1}$$

ここで連続値版について考えてみると、

$$P(t) = P_{o}e^{\rho t}$$

定期レート$r_{eff}$を使えば、

$$e^{\rho} = 1+r_{eff} = \left( 1+\frac{r}{m} \right)^m$$

支払いが率 $x > 0$で連続支払いできるとすると、

$$P(t + \Delta t) \thickapprox P(t) + \left( \rho P(t)-x \right) \Delta t$$

または

$$\frac{P(t + \Delta t) - P(t)}{\Delta t} \thickapprox \rho P(t) -x$$

$\Delta t \rightarrow 0$とし、$P'(t)$を使えば線型微分方程式を使うことができる。

$$P'(t) - \rho P(t) = -x$$

$P(T)$について解くと、

$$P(T) = P_{o}e^{\rho T} - \frac{x}{\rho}(e^{\rho T} -1)$$

これは$T$時点で残っている負債である。支払い$x$を決定するために、$P(T)=0$を仮定して解くと、

$$x_c = \frac{P_{o}\rho e^{\rho T}}{e^{\rho T} -1}$$

$x=x(t)$としてパラメータ化すると、

$$x(t) = P(t)\frac{\rho (t) e^{\rho (t)(T-t)}}{e^{\rho(t)(T-t)}-1}$$

この式を線型微分方程式に代入する。

$$P'(t) - \rho(t) P(t) + P(t) \frac{\rho(t)}{1-e^{-\rho(t)(T-t)}} = 0$$

$$\alpha(t) = \rho(t) \frac{e^{-\rho(t)(T-t)}}{1-e^{-\rho(t)(T-t)}}$$

とすると、

$$P'(t) + \alpha(t)P(t) = 0$$

$P(t)$について解くと、

$$P(t) = P_{o} \exp \left\{ -\int_{0}^{t} \frac{ \rho(\tau) e^{-\rho(\tau)(T-\tau)} }{ 1-e^{-\rho(\tau)(T-\tau)} } d\tau \right\}$$

$P(T)=0$として構成すれば、支払い完了期間がわかる。

ローン支払い

$$P'(t) - \rho(t)P(t)=-x$$という形式は、以下のように置き換えられる。

$$P(t)e^{-\int_{0}^{t}\rho(\tau)d\tau}=P_{o}-x\int_{0}^{t}e^{-\int_{0}^{\tau}\rho(\sigma)d\sigma}d\tau$$

支払い完了時点$P(T)=0$を使えば、

$$P_{o} = x\int_{0}^{T}e^{-\int_{0}^{\tau}\rho(\sigma)d\sigma}d\tau$$

現在価値

離散的には、$$PV = P_o = \frac{P_{12}(t)}{(1+r/12)^{12t}}$$ 連続的には、$$PV = P(t)e^{\rho t}$$ 微分方程式を解けば以下となる。

$$PV = P(t)e^{-\int_{0}^{t}\rho(\tau)d\tau}$$

保険

抵当貸付とローン支払いはどちらも保険の特殊型である。死亡するまで一定のキャッシュフローが利率xで支払われるのが保険という。保険が一定の量$K_o$で売れたとして、これは現在価値よりも高くなければならない。現在価値は、$$K_o \geq PV = \int_{0}^{T}xe^{-\rho t}dt = \frac{x}{\rho}(1-e^{-\rho T})$$ ここで、$T$は死亡する時間であり、$\rho$は利率である。ここで問題がある、平均余命が確率変数であるということである。この問題はハザードレート関数で解決できる。

ハザードレート関数

$$h(t) = \lim_{\Delta t \rightarrow 0} \frac{1}{\Delta t}Prob\{A|B\}$$

ここで、Aは$(t, t+\Delta t)$内で死亡するイベントで、Bは$t$で生きているというイベントである。個人が$t$において生きている確率はサバイバー関数といい、$S(t)$で表す。$$S(t+\Delta t)=Prob\{\bar{A} \; and \; B\}$$条件付き確率を用いれば、$$S(t+\Delta t) = Prob\{\bar{A}|B\}Prob\{B\}$$

ハザード関数とサバイバー関数を結びつけるために以下の関係から導出する。$$S(t+\Delta t)-S(t)=Prob\{\bar{A}|B\}Prob\{B\}-Prob\{B\}$$ $$S(t+\Delta t)-S(t)=(Prob\{\bar{A}|B\}-1)S(t)=-(Prob\{A|B\})S(t)$$ $$S(t+\Delta t)-S(t)=(-h(t)\Delta t)S(t)+o(\Delta t)$$

整理すると、$$\frac{S(t+\Delta t)-S(t)}{S(t)\Delta t}=-h(t)+\frac{o(\Delta t)}{\Delta t}$$

$\Delta t \rightarrow 0$において、$$\frac{S'(t)}{S(t)} = -h(t)$$ $$\ln S(t) - \ln S(0) = -\int_{0}^{t}h(\tau)d\tau$$ 明らかに$S(0) = 1$なので、$$S(t) = \exp\left(-\int_{0}^{t}h(\tau)d\tau \right)$$

$$1-S(t) = Prob \{ 個人がtの前に死ぬ \}$$ $$F(t) = Prob\{T \leq t\} = 1-S(t)$$ $$f(t) = F'(t) = -S'(t)$$ $$f(t) = h(t)S(t)$$

期待寿命

$$E(T) = \int_{0}^{\infty} tf(t)dt$$ $$E(T) = -\int_{0}^{\infty} tS'(t)dt$$ $$E(T) = \int_{0}^{\infty} S(t)dt$$

年金保険問題

現在価値は以下で与えられるのだった。$$Y = \frac{x}{\rho}(1-e^{-\rho T})$$ ここから確率関数に代入すると、$$Prob\{Y \leq y\} = Prob\left\{ T \leq - \frac{1}{\rho}\ln\left( 1-\frac{\rho y}{x} \right) \right\}$$ ここでCDF$F_Y(y)$とすると、$$F_{Y}(y) = Prob\{Y \leq y\} = \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 1-S(-\frac{1}{\rho}\ln \left( 1-\frac{\rho y}{x} \right))) \; \cdots \; \rho y \leq x\\ 1 \; \cdots else\; \end{array} \right. \end{eqnarray}$$ 確率密度関数$f_Y(y)$は、$$f_{Y}(y) = \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} -\frac{1}{x-\rho y}S'\left( -\frac{1}{\rho}\ln(1-\frac{\rho y}{x}) \right)\;\cdots\; \rho y \leq x \\ 0 \;\cdots\; else \end{array} \right. \end{eqnarray}$$ ここで$f(t)=-S'(t)$であったことを使えば、$$f_{Y}(y) = \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \frac{1}{x-\rho y}f\left( -\frac{1}{\rho}\ln(1-\frac{\rho y}{x}) \right)\;\cdots\; \rho y \leq x \\ 0 \;\cdots\; else \end{array} \right. \end{eqnarray}$$ ここで適切な関数$f(y)=\lambda e^{-\lambda y}$をつかうと、$$f_{Y}(y) = \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \frac{\lambda}{x}\left(1-\frac{\rho y}{x} \right)^{\frac{\lambda}{\rho}-1}\;\cdots\; \rho y \leq x \\ 0 \;\cdots\; else \end{array} \right. \end{eqnarray}$$ この関係を用いれば、$E(Y)$について、$$E(Y)=\frac{\lambda}{x}\int_{0}^{\frac{x}{\rho}}y\left(1-\frac{\rho y}{x} \right)^{\frac{\lambda}{\rho}-1}dy$$ $z = \rho y/x$を代入し、部分積分すると$$E(Y) = \frac{x}{\lambda + \rho}$$ リスク評価のために分散$V(Y)$を導入すると、$$V(Y) = \int_{0}^{x/\rho}y^2 f_Y(y)dy-\left( \frac{x}{\lambda + \rho} \right)^2$$ $$V(Y) = \frac{\lambda x^2}{(\lambda + \rho)^2(\lambda + 2 \rho)}$$

参考文献

[1]
Reinhard Illner, C. Sean Bohun, Samantha McCollum, Thea van Roode, Mathematical Modelling: A case studies approach
[2]
Richard Durrett, Essentials of Stochastic Processes
投稿日:20231010
OptHub AI Competition

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投稿者

sugi
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