0

東大数理院試過去問解答例(2013B01)

202
0

ここでは東大数理の修士課程の院試の2013B01の解答例を解説していきます(ただし解説の都合で少し改変しています)。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2013B01(改)

2次の一般線型群GL2(Fp)の元ggp=1なるものの個数を求めなさい。

このgの固有値は1のみであるから、gは単位行列であるか、行列
(1101)
に共役なもののいずれかである。よって後者の個数を考えれば良い。いま(1,1)成分と(2,2)成分が等しい上三角行列からなるG=GL2(Fp)の部分群Hをとる。ここで左剰余類集合からの写像
f:G/H{AG|RG s.t. A=R(1101)R1}PP(1101)P1
を考える。これは左剰余類の代表元の取り方に依らないwell-definedな写像であり、定義から全射である。またP,QGについて同値関係
f(P)=f(Q)(P1Q)(1101)=(1101)(P1Q)P1QHPH=QH
が成り立っているから、これによってfは全単射写像である。ここで|G|=p(p1)2(p+1)及び|H|=(p1)pであるから、|G/H|=p21である。よってgp=1なる元の個数はこれらに単位元の分を足したp2個である。

投稿日:20231013
更新日:202446
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中