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ここでは京大RIMS数学教室の修士課程の院試の1990I04の解答例を解説していきます(但し今回は解説の都合で問題を改変しています)。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
1990I04(改)
以下の問いに解答しなさい。
- $f(\mathbb{Q})\subseteq\mathbb{R}\backslash\mathbb{Q}$を満たす連続関数$f:\mathbb{R}\to\mathbb{R}$を定数関数以外で一つ挙げなさい。
- $g(\mathbb{R}\backslash\mathbb{Q})\subseteq\mathbb{Q}$を満たす連続関数$g:\mathbb{R}\to\mathbb{R}$は定数関数のみであることを示しなさい。
- ${\color{red}f(x)=\sqrt{2}x+\sqrt{3}}$が所望の例になっている。
- 背理法で示す。所望の非定数関数$g$が存在したとする。$g(a)< g(b)$なる$a,b\in\mathbb{R}$を取ったとき、中間値の定理から$f(\mathbb{R})$は区間$[g(a),g(b)]$を含み、特に非可算集合である。これは$g(\mathbb{R})=g(\mathbb{Q})\cup g(\mathbb{R}\backslash\mathbb{Q})$が可算集合$g(\mathbb{Q})\cup\mathbb{Q}$の部分集合であることに矛盾する。よって$g$としてあり得るのは定数関数のみである。