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東大数理院試2024年度専門B問9解答

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東大数理の院試(2024年度専門B問9)の解答です.
自分が作った解答は ここ に置いてあります.

(東大数理2024年度専門B問9)

(X,F,μ)を測度空間とする.また,N={1,2,,}とする.

  1. X上のμ可積分である実数値関数hは,任意のAFに対して
    Ah(x)dμ(x)0
    を満たすものとする.このとき,ほとんど至るところh(x)0であることを示せ.
  2. X上のμ可積分な実数値関数列{fn}nNが,以下の2条件 (a), (b) を満たすとする.
    (a) X上の可測関数fが存在し,ほとんど至るところ
    limnfn(x)=f(x)
    が成り立つ.
    (b) X上のμ可積分な実数値関数glimnan=0を満たす実数列{an}nNが存在し,任意のnNについて,ほとんど至るところ
    |fn(x)|g(x)+an
    が成り立つ.
    このとき,
    limnXfn(x)dμ(x)=Xf(x)dμ(x)
    が成り立つかどうかを答えよ.さらに,成り立つならば証明を与え,成り立たないならば反例となる(X,F,μ){fn}nNを一組あげよ.
  3. 可測集合列{An}nNF{Bn}nNFを,それぞれ単調減少列とする.すなわち,A1A2A3かつB1B2B3とする.このとき,
    limklimμ(AkB)limlimkμ(AkB)
    が存在することを示せ.ここで,極限が+となる場合も,極限が存在するということとする.さらに,
    limklimμ(AkB)=limlimkμ(AkB)
    となることを示せ.
  4. 可測集合列{An}nNF{Bn}nNFを,それぞれ単調増大列,単調減少列とする.すなわち,A1A2A3かつB1B2B3とする.このとき,
    limklimμ(AkB)limlimkμ(AkB)
    が存在することを示せ.ここで,極限が+となる場合も,極限が存在するということとする.さらに,
    limklimμ(AkB)=limlimkμ(AkB)
    が成り立つかどうかを答え,成り立つならば証明を与え,成り立たないならば反例となる(X,F,μ),{An}nN,{Bn}nNを一組あげよ.

(1)
B:={xX;h(x)<0}Fとおく.μ(B)>0とするとBh(x)dμ(x)<0となって矛盾するからμ(B)=0.すなわちh(x)0 a.e..

(2)
成り立たない.X=[0,),F=B(X)としμをLebesgue測度とする.fn(x)=enx+1nχ[0,n](x)とするとf(x)=0,g(x)=enx,an=1/nとして (a), (b) が成り立つ.ところが
Xfn(x)dμ(x)=1n+11(n),Xf(x)dμ(x)=0
である.

(3)
を任意に固定すると{μ(AnB)}nnについて単調減少で下に有界だからL:=limkμ(AkB)が存在する.さらにAnBAnB+1より{L}は下に有界な単調減少列であるから,L:=limLも存在する.同様にしてL:=limklimμ(AkB)も存在する.今μ(AkB)LLだから,とした後にkとすればLL.同様にLLとなるからL=L.

(4)
2つの極限が存在することは (3) と同様の議論で示せる.これらは等しいとは限らない.X=[0,),F=B(X)とし,μをLebesgue測度とする.
An=[0,n),Bn=i0[i,i+1n)
とすると
μ(AkB)=μ(i=0k1[i,i+1))=k
だから
limklimμ(AkB)=0=limlimkμ(AkB).

(補足)
(3) の極限は,A=n1An,B=n1Bnとおいた時のμ(AB)とは限らない.例えばAn=[n,),Bn=Rとすると (3) の極限はだがμ(AB)=μ()=0.

投稿日:2024330
更新日:2024330
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