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現代数学解説
文献あり

代数的束について

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$$\newcommand{atom}[0]{\mathrm{Atom}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{comp}[0]{\mathrm{Comp}} \newcommand{dotge}[0]{\dot\ge} \newcommand{F}[0]{\mathbb{F}} \newcommand{i}[0]{\ \ \ \ } \newcommand{id}[0]{\mathrm{id}} \newcommand{ii}[0]{\i\i} \newcommand{iii}[0]{\i\i\i} \newcommand{im}[0]{\mathrm{Im}} \newcommand{ker}[0]{\mathrm{Ker}} \newcommand{mapsdown}[0]{\overline{\downarrow}} \newcommand{mapsup}[0]{\underline{\uparrow}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{set}[1]{\left\{#1\right\}} \newcommand{setmid}[0]{\ \middle|\ } \newcommand{simeqw}[1]{\simeq_{\mathrm{#1}}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

コンパクト元など: https://mathlog.info/articles/hr0oN6skfGM4JGmEFXxo

定義

完備束$L$のコンパクト元全体を$\comp(L)$と書き、原子元全体を$\atom(L)$と書く。

完備束$L$$a \in L$に対し、以下は同値。

  1. $a = \bigvee ↓^{\comp(L)}a$
  2. $\exists C \subset \comp(L);\ a = \bigvee C$

任意の元がこれを満たすとき、$L$代数的であると言う。

[1 ⇒ 2]
$C = ↓^{\comp(L)}a$とすればよい。

[2 ⇒ 1]
$a = \bigvee C$と表す。($C \subset \comp(L)$)

両辺に$↓^{\comp(L)}a$との結びを取ると、
$a = \bigvee ↓^{\comp(L)}a$

有界束$L$において、$x,y \in L$が互いに補元であるとは、以下を満たすことを言う。

$x \vee y = 1$かつ$x \wedge y = 0$

一般には補元は一意でない。

任意の元が補元を持つ有界束を可補束と呼ぶ。

直既約分解

完備束$L$において$(c_i)_{i \in I} \subset L$互いに素とは、以下を満たすことを言う。

  • $\forall j \in I, c_j \wedge \bigvee_{i \in I \setminus \set{j}}c_i = 0$

完備束$L$において$x \in L$が互いに素な族$(c_i)_{i \in I}$によって、
$$ x = \bigvee_{i \in I}c_i$$
と書けるとき、$(c_i)_{i \in I}$$x$直和因子と呼び、
$$ x = \bigsqcup_{i \in I}c_i$$
と書く。

特に、各$c_i$が直既約であるとき、$(c_i)_{i \in I}$直既約因子と呼ぶ。

$c \in L$が直既約であることは直和を使って言い換えられる。

$c$が直既約 ⇔ $\forall x,y \in L, (c = x \sqcup y \implies x = 0$または$y = 0)$

直和の結合律

モジュラー束 $L$ において、$a, b, c, d, e \in L$ とする。
$a = b \sqcup c$ かつ $b = d \sqcup e$ が成り立つならば、$a = \bigsqcup \set{d,e,c}$ である。

直和の定義より、結びが $a$ になることと、$\{d, e, c\}$ が互いに素であることを示せばよい。
まず、結びの結合法則より $a = b \vee c = (d \vee e) \vee c = d \vee e \vee c$ は明らかである。

次に、互いに素であること、すなわち以下の3点を示す。
(1) $c \wedge (d \vee e) = 0$
(2) $d \wedge (e \vee c) = 0$
(3) $e \wedge (d \vee c) = 0$

(1)について:
$d \vee e = b$ であり、$a = b \sqcup c$ より $b \wedge c = 0$ であるため、$c \wedge (d \vee e) = 0$ である。

(2)について:
$b = d \sqcup e$ より $d \leq b$ であり、ゆえに $d = d \wedge b$ である。これを用いると、
$$d \wedge (e \vee c) = (d \wedge b) \wedge (e \vee c) = d \wedge (b \wedge (e \vee c))$$
ここで、$e \leq b$ であるため、モジュラー則を適用すると、
$$b \wedge (e \vee c) = (e \vee c) \wedge b = e \vee (c \wedge b)$$
$a = b \sqcup c$ より $c \wedge b = 0$ であるため、
$$e \vee (c \wedge b) = e \vee 0 = e$$
となる。これを元の式に戻すと、
$$d \wedge (e \vee c) = d \wedge e$$
$b = d \sqcup e$ より $d \wedge e = 0$ であるため、(2)が示された。

(3)について:
(2)の $d$$e$ の役割を入れ替えることで同様に示される。

以上より、$\{d, e, c\}$ は互いに素であり、$a = \bigsqcup \set{d,e,c}$ が成り立つ。

$L$:完備束
$(c_i)_{i \in I} \subset L$: 互いに素
$J \subset I$

このとき、$(c_i)_{i \in J}$も互いに素

$j \in J$を取る。

このとき、$\bigvee_{i \in J \setminus \set{j}}c_i \le \bigvee_{i \in I \setminus \set{j}}c_i$

よって、
$c_j \wedge \bigvee_{i \in J \setminus \set{j}}c_i \le c_j \wedge \bigvee_{i \in I \setminus \set{j}}c_i = 0$

$x \in L$が有限個の元で構成される直既約因子を持つとき、$x$はFIDを満たすと呼ぶことにする。

完備モジュラー束$L$がACCまたはDCCを満たすならば、$1 \in L$はFIDを満たす。

$L$が1点集合の場合、$1 \in L$はFIDを満たす。

$L$が2点以上含むとする。(すなわち$1 \not= 0$とする。)

対偶を示す。

$1$がFIDを満たさないとする。

このとき、$1$が直既約であると仮定すると、$\set{1}$$1$の直既約因子となり、$1$がFIDを満たさないことに矛盾。
よって、$1$は直既約でない。

$1 \not= 0$であるから、このとき、$1 = x_0 \sqcup x_0'$となる$x_0,x_0' \in L \setminus \set{0}$が取れる。

$x_0,x_0'$の両方が直既約であると仮定すると、$\set{x_0,x_0'}$$1$の直既約因子となり、$1$がFIDを満たさないことに矛盾。
よって、$x_0,x_0'$のどちらかは直既約でない。
$x_0$が直既約でないとしても一般性を失わない。

$x_0 \not= 0$であるから、同様に、$x_0 = x_1 \sqcup x_1'$となる$x_1,x_1' \in L \setminus \set{0}$が取れる。

$x_1,x_1'$の両方が直既約であると仮定すると、$L$はモジュラー束だから、$\set{x_1,x_1',x_0'}$$1$の直既約因子となり、$1$がFIDを満たさないことに矛盾。
よって、$x_1,x_1'$のどちらかは直既約でない。
$x_1$が直既約でないとしても一般性を失わない。

これを繰り返して、族$(x_n)_{n \in \N},(x_n')_{n \in \N}$を取る。


このとき、任意の$n \in \N$に対し、$(x_k')_{k=0}^{n}$は互いに素。

$n \in \N$を取る。

いま、$1 = \bigsqcup \set{x_0,x_0'} = \bigsqcup \set{x_1,x_1',x_0'} = \bigsqcup \set{x_2,x_2',x_1',x_0'} = \dots = \bigsqcup \set{x_n,x_n',\dots,x_0'}$が成り立っている。

よって、$\set{x_n,x_n',\dots,x_0'}$は互いに素。
ゆえに、$\set{x_n',\dots,x_0'}$は互いに素。


[狭義減少列を作る]
[$\forall n \in \N, x_n > x_{n+1}$]
$\i$$n \in \N$を取る。
$\i$$x_n = x_{n+1} \vee x_{n+1}'$であるから、$x_n \ge x_{n+1}$

$\i$$x_n = x_{n+1}$と仮定する。
$\i$両辺に$x_{n+1}'$との交わりを取ることで、$x_n \wedge x_{n+1}' = x_{n+1} \wedge x_{n+1}'$となる。

$\i$左辺を変形する。
$\i$$x_n = x_{n+1} \vee x_{n+1}'$だから、$(x_{n+1} \vee x_{n+1}') \wedge x_{n+1}' = x_{n+1}'$

$\i$右辺を変形する。
$\i$$x_{n+1} \wedge x_{n+1}' = 0$

$\i$よって、$x_{n+1}' = 0$
$\i$これは$x_{n+1}' \not= 0$に矛盾。
$\i$従って、$x_n \not= x_{n+1}$

これにより、$1 > x_0 > x_1 > \dots$ という狭義減少列が得られる。


[狭義増加列を作る]
次に、各$n \in \N$について$S_n = \bigvee_{k=0}^{n-1} x_k'$ とおく。

[$\forall n \in \N, S_n < S_{n+1}$]
$\i$$n \in \N$を取る。

$\i$構成より $S_{n+1} = S_{n} \vee x_{n}'$ であり、$S_{n} \leq S_{n+1}$ である。

$\i$$S_{n} = S_{n+1}$ であると仮定する。

$\i$$S_{n} = S_{n} \vee x_{n}'$だから、$x_{n}' \le S_n$、すなわち、$x_n' \wedge S_n = x_n'$

$\i$$(x_k')_{k=0}^{n}$は互いに素であるから、$S_{n} \wedge x_{n}' = 0$ である。

$\i$これらより、$x_n' = x_n' \wedge S_{n} = 0$ となるが、これは $x_n' \in L \setminus \{0\}$ であることに矛盾する。

$\i$ゆえに$S_{n} \not= S_{n+1}$

これにより、$S_0 < S_1 < S_2 < \dots$ という狭義増加列が得られた。


よって、$L$ はACCもDCCも満たさない。

完備モジュラー束$L$がACCまたはDCCを満たすならば、任意の元がFIDを満たす。

$x \in L$を取る。
$x$がFIDを満たすことを示す。

区間$[0,x]$$L$の部分完備束である。

ACC/DCCとモジュラー性は部分束へ遺伝するから、$[0,x]$の最大元$x$はFIDを満たす。

$L$:完備モジュラー束
$(a_i)_{i \in J}$:互いに素な原子元の族
$b = \bigvee_{i \in J} a_i$

この時、原子元$a_t \notin (a_i)_{i \in J}$$a_t \wedge b = 0$を満たすならば、族$(a_i)_{i \in J \cup \{t\}}$も互いに素である。

$J' = J \cup \set{t}$と置く。

[示すこと:$\forall j \in J', a_j \wedge \bigvee_{i \in J' \setminus \set{j}} a_i = 0$]

$j \in J'$をとる。

[$j=t$の場合]
$\i$$a_t \wedge \bigvee_{i \in J}a_i = 0$は仮定より成立。

[$j \not = t$の場合]
$x = \bigvee_{i \in J \setminus \{j\}} a_i$とおく。

いま、$(a_i)_{i \in J}$は互いに素だから、
$\i$(1)$a_j \wedge x = a_j \wedge \bigvee_{i \in J \setminus \set{j}}a_i = 0$

さらに$x \vee a_j = b$かつ$a_t \wedge b = 0$だから、
$\i$(2)$a_t \wedge (x \vee a_j) = 0$

$a_j \wedge (x \vee a_t) \neq 0$と仮定する。

このとき、
$\i$$0 < a_j \wedge (x \vee a_t) \le a_j$

$a_j$は原子元だから、
$\i$$a_j = a_j \wedge (x \vee a_t)$

モジュラー則を用いる。$x \leq x \vee a_t$だから
$\i$$x \vee (a_j \wedge (x \vee a_t)) = (x \vee a_j) \wedge (x \vee a_t)$

$a_j = a_j \wedge (x \vee a_t)$より左辺は$x \vee a_j$に等しい。よって
$\i$(A)$x \vee a_j = (x \vee a_j) \wedge (x \vee a_t)$

また、$x \leq x \vee a_j$だからモジュラー則より、
$\i$$x \vee (a_t \wedge (x \vee a_j)) = (x \vee a_t) \wedge (x \vee a_j)$

(2)より左辺は$x$に等しい。よって
$\i$(B)$x = (x \vee a_t) \wedge (x \vee a_j)$

(A)(B)の右辺は同一だから、
$\i$$x \vee a_j = x$

よって、
$\i$$a_j \leq x$

このとき、$a_j \wedge x = a_j > 0$

これは(1)の$a_j \wedge x = 0$に矛盾する。

従って、$a_j \wedge (x \vee a_t) = 0$でなければならない。

代数的束$L$の任意の原子元の族$(a_i)_{i \in I}$に対し、
$$\mathcal{A} = \set{J \subset I \mid (a_i)_{i \in J} \text{は互いに素}}$$
は包含関係に関して極大元を持つ。

例えば一点集合などは互いに素だから$\mathcal{A}$は空でない。

$\mathcal{T} \underset{total}{\subset} \mathcal{A}$を取る。
$J = \bigcup\mathcal{T}$と置く。

$(a_i)_{i \in J}$が互いに素でないと仮定する。
この時、ある$j \in J$が存在して、$a_j \ge a_j \wedge \bigvee_{i \in J \setminus \{j\}} a_i \gt 0$となる。

$a_j$は原子元だから、$a_j = a_j \wedge \bigvee_{i \in J \setminus \{j\}} a_i$
即ち、$a_j \le \bigvee_{i \in J \setminus \{j\}} a_i$が成り立つ。

代数束において原子元はコンパクト元だから、ある$F \underset{fin}{\subset}J \setminus \set{j} $が存在して、$a_j \le \bigvee_{i \in F}a_i$

$F\cup\set{j}$の各元$i$についてそれを含む$T_i \in \mathcal{T}$を取る。($i \in J = \bigcup \mathcal{T}$だから取れる。)
$F\cup\set{j}$は有限集合であり、$\mathcal{T}$は全順序だから、$(T_i)_{i \in F \cup\set{j}}$の最大元$T$が取れる。

この時、$F\cup\set{j} \subset T$であり、$F \subset T\setminus \set{j}$である。

従って、$a_j \le \bigvee_{i \in F} a_i \le \bigvee_{i \in T \setminus \{j\}} a_i$が成り立つ。
即ち、$a_j \wedge \bigvee_{i \in T \setminus \{j\}} a_i = a_j \not= 0$
これは$T \in \mathcal{A}$に矛盾。

従って、$J \in \mathcal{A}$
明らかに$J$$\mathcal{T}$の上界である。
よって、Zornの補題より$\mathcal{A}$は極大元を持つ。

代数的モジュラー束$L$の任意の原子元の族$(a_i)_{i \in I}$に対し、ある$J \subset I$が存在して、$\bigvee_{i \in I}a_i = \bigsqcup_{i \in J}a_i$となる。

$\mathcal{A} = \set{J \subset I \mid (a_i)_{i \in J} \text{は互いに素}}$と置く。
補題より、$\mathcal{A}$の極大元$J_0$が取れる。

$a = \bigvee_{i \in I}a_i$と置く。

$b = \bigsqcup_{i \in J_0}a_i$と置く。

$a \not\le b$と仮定する。

この時、$\forall i \in I, a_i \le b$と仮定すると、$a = \bigvee_{i \in I}a_i \le b$ となり$a \not\le b$に矛盾する。
よって、ある$t \in I$が存在して、$a_t \not\le b$ となる。

ここで、$t \in J_0$と仮定すると、$b = \bigvee_{i \in J_0}a_i \ge a_t$より、$a_t \le b$となり矛盾。
よって、$t \not\in J_0$である。

この時、$a_t \wedge b = a_t$と仮定すると、$a_t \le b$となり矛盾。
よって、$a_t \wedge b < a_t$である。

$a_t$は原子元だから、$a_t \wedge b = 0$

よって、補題より$(a_i)_{i \in J_0 \cup \set{t}}$は互いに素。

これは$J_0$の極大性に矛盾。
従って、$a \le b$であり、自明な関係$b \le a$と合わせて$a = b$となる。

補題

原子元の性質

$L$:有界束
$a \in \atom(L)$
$y \in L$

このとき、
$a \not\le y ⇔ a \wedge y = 0$

$$ \xymatrix{ a & & y \\ & 0 \ar@{-}[lu]^{\prec} \ar@{-}[ru] & } $$

[⇒]
$a \wedge y \le a$であり、$a$は原子元だから、$a \wedge y = 0$または、$a \wedge y = a$

$a \wedge y = a$と仮定すると、$a \le y$となり、仮定に矛盾。

よって、$a \wedge y = 0$

[⇐]
対偶を示す。
$a \wedge y = a > 0$

モジュラー束における原子元と被覆

$L$:有界モジュラー束
$a \in \atom(L)$
$y \in L$
$y \wedge a = 0$

このとき、
$y \prec y \vee a$

$$ \xymatrix{ & y \vee a & \\ a \ar@{-}[ru] & & y \ar@{-}[lu]^{\prec} \\ & 0 \ar@{-}[lu]^{\prec} \ar@{-}[ru] & } $$

モジュラー束のダイヤモンド同型定理より、
$[0,a] = [y \wedge a,a] \simeqw{Ord} [y, y \vee a]$

$0 \prec a$だから、$y \prec y \vee a$

$L$:モジュラー束
$x,y \in L$
$a \in \atom(L)$

$x \wedge y = 0$
$a \not\le x \vee y$

このとき、$(y \vee a) \wedge x = 0$

$$ \xymatrix@R=2pc@C=1pc{ & & (x\vee y)\vee a & & \\ & x\vee y \ar@{-}[ur] & & y\vee a \ar@{-}[ul] & \\ x \ar@{-}[ur] & & y \ar@{-}[ul] \ar@{-}[ur]^{\prec} & & a \ar@{-}[ul] \\ & & 0 \ar@{-}[ull] \ar@{-}[u] \ar@{-}[urr]^{\prec} & & } $$

まず、仮定 $a \not\le x \vee y$ と最初の補題(原子元の性質)から
$a \wedge (x \vee y) = 0$ であり、$y \le x \vee y$ だから
$a \wedge y = 0$ となる。

よって命題(モジュラー束における原子元と被覆)より
$y \prec y \vee a$ である。

いま $z = (y \vee a) \wedge x$ とおき、$z > 0$ と仮定して矛盾を導く。

$0 \le z \le y \vee a$ なので $y \le z \vee y \le y \vee a$ が成り立つ。

$y \prec y \vee a$ より、$z \vee y = y$ または $z \vee y = y \vee a$ のいずれかである。

$z \vee y = y$ ならば $z \le y$ となるが、$z \le x$ でもあるから
$z \le x \wedge y = 0$ となり、$z > 0$ に反する。
したがって $z \vee y = y \vee a$ でなければならない。

このとき $z \vee y = y \vee a$ である。
このとき $z \le x$ より
$y \vee a = z \vee y \le x \vee y$ となり、$a \le y \vee a \le x \vee y$ を得る。

これは仮定 $a \not\le x \vee y$ に矛盾する。

以上より $z = 0$ 、すなわち $(y \vee a) \wedge x = 0$ である。

原子論的(半単純性)

$L$を代数的束とし、$x \in L$$(a_i)_{i \in I} \subset L$とする。

$$\mathcal{S} = \left\{ J \subset I \;\middle|\; x \wedge \bigvee_{i \in J}a_i = 0 \right\}$$

と定めると、$\mathcal{S}$は包含関係に関して極大元を持つ。

$\varnothing \in \mathcal{S}$ より $\mathcal{S}$ は空ではない。

$\mathcal{T} \underset{total}{\subset} \mathcal{S}$を取る。

$K = \bigcup \mathcal{T}$ と置く。

$x \wedge \bigvee_{i \in K}a_i > 0$ と仮定する。

$L$は代数的束なので$L$はコンパクト根的だから、あるコンパクト元$c \in \comp(L)$ が存在して、$0 < c \le x \wedge \bigvee_{i \in K}a_i$

$c \le \bigvee_{i \in K}a_i$ であり $c$ はコンパクトだから、ある有限集合 $F \underset{fin}{\subset} K$ が存在して $c \le \bigvee_{i \in F}a_i$

$i \in F$に対し、それを含む$T_i \in \mathcal{T}$が取れる。

$F$は有限集合で、$\mathcal{T}$ は全順序だから、$(T_i)_{i \in F}$の最大元$T \in \mathcal{T}$が取れる。

この時、$F \subset T$である。

よって、$c \le \bigvee_{i \in T}a_i$ となり、もともと$c \le x$であるから、結びを取って、
$0 < c \le x \wedge \bigvee_{i \in T}a_i$ となる。

しかし $T \in \mathcal{S}$ であるから $x \wedge \bigvee_{i \in T}a_i = 0$ であり矛盾。

従って、$x \wedge \bigvee_{i \in K}a_i = 0$、即ち $K \in \mathcal{S}$ である。

$K$$\mathcal{T}$ の上界であるから、Zornの補題より $\mathcal{S}$ は極大元を持つ。

代数的モジュラー束$L$において、以下は同値。

  1. $1 \in L$が原子論的
  2. $L$が原子論的
  3. $L$が可補

[(1) ⇒ (3)]

$$1 = \bigvee_{i \in I}a_i$$と表す。

$x \in L$を取る。
$x$に補元が存在することを示す。

$$\mathcal{S} = \set{J \subset I \setmid x \wedge \bigvee_{i \in J}a_i = 0}$$
と定める。
補題より $\mathcal{S}$ は極大元 $J_0$ を持つ。


$y = \bigvee_{i \in J_0}a_i$ と置くと、$J_0$ の取り方より、$x \wedge y = 0$ である。
$x \vee y \not\ge 1$ と仮定する。

$\forall i \in I, a_i \le x \vee y$ と仮定すると、$\bigvee_{i \in I}a_i = 1 \le x \vee y$ となり矛盾。
よって、$a_k \not\le x \vee y$ となる $k \in I$ が存在する。

$k \in J_0$ と仮定すると、$a_k \le \bigvee_{i \in J_0}a_i = y \le x \vee y$ となり、$a_k \not\le x \vee y$ に矛盾するため、$k \notin J_0$ である。

$x \wedge y = 0$ であり、原子元 $a_k$$a_k \not\le x \vee y$ を満たすため、補題より直ちに以下が成り立つ。
$(y \vee a_k) \wedge x = 0$

$y \vee a_k = \bigvee_{i \in J_0 \cup \{k\}} a_i$ であるから、この式は $J_0 \cup \{k\} \in \mathcal{S}$ を意味する。
しかし、$k \notin J_0$ であるため、これは $J_0$ の極大性に矛盾する。

従って、自明な関係 $x \vee y \le 1$ と合わせて $x \vee y = 1$ となり、$y$$x$ の補元であることが示された。

[(3) ⇒ (2)]
$L$を可補代数的モジュラー束とする。

$x \in L$を取る。
$x$が原子論的であることを示す。
$y = \bigvee \downarrow^{\atom(L)}x$ と置く。
$y = x$を示せばよい。

$y \le x$である。
$y \not= x$と仮定する。

$y$の補元$y' \in L$を取る。
$z = x \wedge y'$と置く。

$y \le x$だから、モジュラー律より、
$x = x \wedge 1 = x \wedge (y' \vee y) = (x \wedge y') \vee y = z \vee y$

$z = 0$と仮定すると、$x = y$となり矛盾するから、$z > 0$

$L$は可補代数的モジュラー束だから、原子根的であり、$p \le z$ となる原子元 $p$ が取れる。

このとき、$p \le z = x \wedge y'$ であるから、$p \le y'$ である。

また、$p$$x$以下の原子元であるから、$y$の定義より、$p \le y$である。

従って、$p \le y' \wedge y = 0$ これは$p$が原子であることに矛盾。

従って、$x = y$

[(2) ⇒ (1)]
明らか。

勉強中。。。

参考文献

[1]
岩永 恭雄、佐藤 眞久, 環と加群のホモロジー代数的理論
投稿日:14日前
更新日:10日前
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