この記事ではI. J. Zucker(1974)にてまとめられているテータ関数
テータ関数とは
と定義される関数のことを言います。
テータ関数はそれ単体では指数部分が
のように比較的簡便な見た目に書き換えられるようです。
そしてこれを
と二通りに表すことでJacobiの二平方定理
やLattice Sumの分解公式
のような非自明な等式が得られることとなります。ただし
と表すものとしました。
ちなみに下で紹介する公式の証明はZucker(1974)に書かれているわけではなく、同論文にはこれらの公式はほぼ全てJacobiの"Fundamenta Nova Theoriae Functionum Ellipticarum"(1829)から引用したものだと書かれています。このJacobiの論文は邦訳"ヤコビ楕円関数原論"(高瀬正仁 訳)が出ており、私は以前にもその一節(楕円関数の変換)にお世話になったことがありますがまさかこんなことまで書いてあるとは、さすが楕円関数論の祖たるJacobi、恐るべし。
以下では
の
の分解公式についてまとめていきます。
いま
が成り立つこと、およびそのことから上のLattice Sumはテータ関数のメリン変換
と表せることに注意しましょう。
またテータ関数の積には
などの関係があることにも注意しましょう(これらの関係式は
この記事
にて紹介しています)。
以下
とします。