1

自然数において, 1の次が2である証明

206
0

自然数は, なぜ1のあとに 2,3,4, と続くのか? これは, 「1を足せばいいから」と答える人が多いと思うが, それはなぜ成り立つのか? 成り立つ理由は, 自然数と足し算(加法)の定義によるものであり, 今回は「自然数の次の数を得るためには, 1を足せばよい」, 代表例として「1の次は 1+1 で2である」ことを示す.

「公理」というのは一番最初に行う定義であり, ペアノの公理で自然数の全体が定義されている. 以下にペアノの公理を書く.

ペアノの公理
  1. 0は自然数である.
  2. 任意の自然数の後者 (次の数) は自然数である.
  3. 違う自然数は違う後者を持つ.
  4. 0が後者である自然数はない.
  5. 0がある条件を満たし, 任意の自然数がその条件を満たせばその後者が条件を満たすとき, すべての自然数はその条件を満たす. (数学的帰納法の公理)
  6. 0の後者を1とする.
ペアノの公理(論理記号版)

Nを自然数の集合とする. また, 自然数 a の後者を s(a) と表すとする.

  1. 0N
  2. nN:s(n)N
  3. nN,mN,s.t.nm:s(n)s(m)
  4. ¬nNs.t.s(n)=0
  5. PN:PnN:(nP(n+1)P))nN:nP)
  6. s(0)=1

これで自然数を定義できた. 「1の次に2がくる」ことを示すために, 1の後者が2であることを証明すれば良い. 足し算の定義(加法の公理)からこれを示す.

加法の公理

このとき, 足し算は次のように定義されている.

  1. a+0=a
  2. a+s(b)=s(a+b)

これを踏まえ,
a+1=a+s(0)ペアノの公理(vi)より=s(a+0)加法の公理(ii)より=s(a)加法の公理(i)より

ここから, 自然数 a の後者を求めるためには, 1を足せば良い. これを使い, s(1)=1+1=2 であり, 1の後者が2であることが証明できたため, 自然数において, 1の次は2であることが示された.

投稿日:2023527
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中