自然数は, なぜ1のあとに と続くのか? これは, 「1を足せばいいから」と答える人が多いと思うが, それはなぜ成り立つのか? 成り立つ理由は, 自然数と足し算(加法)の定義によるものであり, 今回は「自然数の次の数を得るためには, 1を足せばよい」, 代表例として「1の次は で2である」ことを示す.
「公理」というのは一番最初に行う定義であり, ペアノの公理で自然数の全体が定義されている. 以下にペアノの公理を書く.
ペアノの公理
- 0は自然数である.
- 任意の自然数の後者 (次の数) は自然数である.
- 違う自然数は違う後者を持つ.
- 0が後者である自然数はない.
- 0がある条件を満たし, 任意の自然数がその条件を満たせばその後者が条件を満たすとき, すべての自然数はその条件を満たす. (数学的帰納法の公理)
- 0の後者を1とする.
ペアノの公理(論理記号版)
を自然数の集合とする. また, 自然数 の後者を と表すとする.
これで自然数を定義できた. 「1の次に2がくる」ことを示すために, 1の後者が2であることを証明すれば良い. 足し算の定義(加法の公理)からこれを示す.
これを踏まえ,
ここから, 自然数 の後者を求めるためには, 1を足せば良い. これを使い, であり, 1の後者が2であることが証明できたため, 自然数において, 1の次は2であることが示された.