自然数は, なぜ1のあとに $2, 3, 4, \cdots$ と続くのか? これは, 「1を足せばいいから」と答える人が多いと思うが, それはなぜ成り立つのか? 成り立つ理由は, 自然数と足し算(加法)の定義によるものであり, 今回は「自然数の次の数を得るためには, 1を足せばよい」, 代表例として「1の次は $1+1$ で2である」ことを示す.
「公理」というのは一番最初に行う定義であり, ペアノの公理で自然数の全体が定義されている. 以下にペアノの公理を書く.
$\mathbb{N}$を自然数の集合とする. また, 自然数 $a$ の後者を $s(a)$ と表すとする.
これで自然数を定義できた. 「1の次に2がくる」ことを示すために, 1の後者が2であることを証明すれば良い. 足し算の定義(加法の公理)からこれを示す.
このとき, 足し算は次のように定義されている.
これを踏まえ,
\begin{align*}
a+1&=a+s(0) \;\;\;\;\; \text{ペアノの公理(vi)より}\\
&=s(a+0) \;\;\;\;\; \text{加法の公理(ii)より}\\
&=s(a) \;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\; \text{加法の公理(i)より}
\end{align*}
ここから, 自然数 $a$ の後者を求めるためには, 1を足せば良い. これを使い, $s(1)=1+1=2$ であり, 1の後者が2であることが証明できたため, 自然数において, 1の次は2であることが示された.