0

【図形】調和平均と台形

368
0

はじめに

二つの数の平均を求める方法の1つに調和平均という求め方があります。よく聞く平均の種類は相加平均、相乗平均かと思いますが、調和平均とはどのような平均なのでしょうか。
(調和平均については別途まとめたいと思います。)

調和平均

調和平均(2変数の場合)

21a+1b(=2aba+b)

この記事では調和平均を台形の中から探してみます。下図のような台形ABCDを考えることとします。AB//DCで線分ABの長さはa、線分DCの長さはbです。
台形!FORMULA[7][1092711038][0] 台形ABCD

ここで唐突ですが、台形ABCDの対角線ACBDの交点をHとします。そして点Hをとおり線分ABと並行な直線を考え、線分ADBCとの交点をそれぞれIJとします。すると、なんと線分IJが調和平均の値となるのです。
台形!FORMULA[19][1092711038][0](補助線つき) 台形ABCD(補助線つき)

線分IJの値を確かめてみる

線分!FORMULA[21][1144959][0]の確認1 線分IJの確認1
ACDAHIについて、CAD=HAIです。CD/ HIより同位角は等しいので、ACD=AHIADC=AIHとなります。これより3つの角がそれぞれ等しいことが分かったので、ACDAHIとなります。このことよりCD:HI=AC:AHですが、この時点でわかっていることはCD=bということだけです。

線分!FORMULA[31][1144959][0]の確認2 線分IJの確認2
別の三角形ABHCDHを見てみましょう。対頂角は等しいのでAHB=CHDです。またAB/ DCより錯角は等しいので、ABH=CDHBAH=DCHです。3つの角がそれぞれ等しいことが分かったので、ABHCDHとなります。これよりAH:CH=AB:CD=a:bということが分かりました。

AH:CH=a:bよりAH:AC=AH:(AH+HC)=a:(a+b)です。先ほどのACDAHIに戻ってみると、CD:HI=AC:AHよりb:HI=AC:AH=(a+b):a、よってHI=aba+bとなります。BCDBJHで同様に考えてみると、HJ=aba+bとなります。よって線分IJ=IH+JH=aba+b+aba+b=2aba+bとなり、調和平均の値となることを導くことができました。
線分!FORMULA[51][1144959][0]の確認3 線分IJの確認3

相加平均と調和平均

相加平均も台形の中にあることが分かります。見つけ方は 【図形】相加相乗平均と台形 を参照ください。調和平均と相加平均を台形の中に見つけることができたので、2つの平均を図示してみます。図から見て分かるとおり「調和平均相加平均」となることが分かります。数式を変形していくことによっても導くことができますが、図形を利用すると視覚的に捉えることができ分かりやすいですね。
台形の中にある調和平均と相加平均 台形の中にある調和平均と相加平均

まとめ

台形の中に調和平均を見つけることができ、相加平均との大小関係も視覚的に捉えることができました。調和平均の式はぱっと見、少し複雑そうに見えますが、このように台形の中にきれいに現れるのですね。

投稿日:2023529
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

くっく
くっく
11
56368
趣味数学家。 大学院時代には凸解析学を専攻。 多くの人が数学を好きになるためのサポート。 アイコンはdesmosを使用した関数アート。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. はじめに
  2. 調和平均
  3. 線分IJの値を確かめてみる
  4. 相加平均と調和平均
  5. まとめ