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【図形】調和平均と台形

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はじめに

二つの数の平均を求める方法の1つに調和平均という求め方があります。よく聞く平均の種類は相加平均、相乗平均かと思いますが、調和平均とはどのような平均なのでしょうか。
(調和平均については別途まとめたいと思います。)

調和平均

調和平均(2変数の場合)

21a+1b(=2aba+b)

この記事では調和平均を台形の中から探してみます。下図のような台形ABCDを考えることとします。AB//DCで線分ABの長さはa、線分DCの長さはbです。
台形!FORMULA[7][1092711038][0] 台形ABCD

ここで唐突ですが、台形ABCDの対角線ACBDの交点をHとします。そして点Hをとおり線分ABと並行な直線を考え、線分ADBCとの交点をそれぞれIJとします。すると、なんと線分IJが調和平均の値となるのです。
台形!FORMULA[19][1092711038][0](補助線つき) 台形ABCD(補助線つき)

線分IJの値を確かめてみる

線分!FORMULA[21][1144959][0]の確認1 線分IJの確認1
ACDAHIについて、CAD=HAIです。CD/ HIより同位角は等しいので、ACD=AHIADC=AIHとなります。これより3つの角がそれぞれ等しいことが分かったので、ACDAHIとなります。このことよりCD:HI=AC:AHですが、この時点でわかっていることはCD=bということだけです。

線分!FORMULA[31][1144959][0]の確認2 線分IJの確認2
別の三角形ABHCDHを見てみましょう。対頂角は等しいのでAHB=CHDです。またAB/ DCより錯角は等しいので、ABH=CDHBAH=DCHです。3つの角がそれぞれ等しいことが分かったので、ABHCDHとなります。これよりAH:CH=AB:CD=a:bということが分かりました。

AH:CH=a:bよりAH:AC=AH:(AH+HC)=a:(a+b)です。先ほどのACDAHIに戻ってみると、CD:HI=AC:AHよりb:HI=AC:AH=(a+b):a、よってHI=aba+bとなります。BCDBJHで同様に考えてみると、HJ=aba+bとなります。よって線分IJ=IH+JH=aba+b+aba+b=2aba+bとなり、調和平均の値となることを導くことができました。
線分!FORMULA[51][1144959][0]の確認3 線分IJの確認3

相加平均と調和平均

相加平均も台形の中にあることが分かります。見つけ方は 【図形】相加相乗平均と台形 を参照ください。調和平均と相加平均を台形の中に見つけることができたので、2つの平均を図示してみます。図から見て分かるとおり「調和平均相加平均」となることが分かります。数式を変形していくことによっても導くことができますが、図形を利用すると視覚的に捉えることができ分かりやすいですね。
台形の中にある調和平均と相加平均 台形の中にある調和平均と相加平均

まとめ

台形の中に調和平均を見つけることができ、相加平均との大小関係も視覚的に捉えることができました。調和平均の式はぱっと見、少し複雑そうに見えますが、このように台形の中にきれいに現れるのですね。

投稿日:2023529
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くっく
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趣味数学家。 大学院時代には凸解析学を専攻。 多くの人が数学を好きになるためのサポート。 アイコンはdesmosを使用した関数アート。

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