ここでは東大数理の修士課程の院試の2021B05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
$\mathbb{R}^3$の同値関係$(x,y,z)\sim (x',y',z')$を、ある整数$m,n,\ell$で
$$
(x+\ell,y+m,z+mx+n)=(x',y',z')
$$
を満たすものが存在することとして定義する。ここで商空間$X=\mathbb{R}^3/\sim$を考え、$\pi:\mathbb{R}^3\to X$を自然な射影遠する。
(1) $X$は、$\pi$が$C^\infty$になるような$C^\infty$級多様体の構造を持つことを示せ。
(2) $\mathbb{R}^3$上の$2$次形式$\omega=dx\wedge dy$を考える。このとき、$\omega=\pi^\ast(d\eta)$を満たすような$X$上の$1$次形式は存在しないことを示せ。
(3) $\mathbb{R}^3$上の$2$次形式$\omega=dy\wedge dz$を考える。このとき、$\omega=\pi^\ast(d\eta)$を満たすような$X$上の$1$次形式$\eta$は存在しないことを示せ。