ここでは東大数理の修士課程の院試の2021B05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2023B05
の同値関係を、ある整数で
を満たすものが存在することとして定義する。ここで商空間を考え、を自然な射影遠する。
(1) は、がになるような級多様体の構造を持つことを示せ。
(2) 上の次形式を考える。このとき、を満たすような上の次形式は存在しないことを示せ。
(3) 上の次形式を考える。このとき、を満たすような上の次形式は存在しないことを示せ。
- まずは局所的に同相であるから、各の充分小さい近傍をで送ることでのに於ける近傍が定義できる。ここでに対してとおき、の近傍をとる。これが級多様体であることを示すには、が級であることを示せば良いが、これは上で表されるから級である。またこの座標の下、は局所的に恒等写像、特に写像になっている。以上からはを級にするような多様体の構造を持つ。
- まずは上の微分形式の引き戻しとして表される。これもとする。ここでとすると、これはトーラスである。このとき条件を満たすが存在したとすると、
が成り立つ。しかし右辺はが境界を持たないからである一方で、左辺はトーラスの面積に等しいからでないので矛盾する。よって条件を満たすは存在しない。 - について
であるから、これはの微分形式の引き戻しとして表せない。特に条件を満たすは存在しない。