京大数学系の院試(2003年度専門問1,2)の解答です.
自分が作った解答は
ここ
に置いてあります.
(京大数学系2003年専門問1)
- は整閉でないことを示せ.
- を平方因子を含まないと異なる奇数で,とする.このとき,は整閉でないことを示せ.
環の商体をと書く.
- は monic な多項式の根なので上整であるが,の元ではない.よっては整閉ではない.
- として
とおく.よりであるから
は全て整数である.よっては monic な係数多項式の根なので上整であるが,の元ではない.従っては整閉ではない.
(京大数学系2003年専門問2)
乗法の単位元を持つ可換環は整域の部分環とする.商体の間の拡大が代数的ならば,のでないイデアルについてであることを示せ.
()においてが代数拡大という条件を外すと主張が必ずしも成り立たないことを,例を挙げて示せ.
可換環は部分環上の整拡大とする.はの素イデアルとし,の相異なる素イデアルがを満たすとする.とには含む含まれるの関係はないことを示せ.
を任意に取る.の上最小多項式をとする.が整域であることと次数の最小性からである.となるが取れる.この時だからまたは整域だからである.
とする.ただしは不定元である.この時でありは超越拡大.またのイデアルはを満たす.
であったとする.仮定からはの整拡大であり,これらは整域である.またはの素イデアルである.さらによりであるから,(1) よりよってとなって矛盾.