ここでは東大数理の修士課程の院試の2024B05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2024B05
球面と内の平面の交わりのうち、円周と同相になるようなものをの円と呼び、の円全体の為す集合をとおく。ここで写像を
で定義する。このときの部分集合に対しと定める。ここで次元実線型空間の次元実線型部分空間で条件
を満たすようなもの全体の集合をとおく。
- は級多様体の構造を持つことを示しなさい。
- が条件(i)を満たさない次元実線型部分空間であるとき、はどのような集合であるか答えなさい。
- 対応は写像を誘導することを示しなさい。またこの写像は全射であることも示しなさい。
- 次の主張の正誤を理由もつけて答えなさい。
- 上のでない級形式に対して、あるが存在して、の適当な向き付けに対してが成り立つ。
- まず
とおく。ここでの同値関係を
で定める。ここでとおく。の部分集合(但しはのいずれかでを満たすもの全てを走る)を成分・成分・成分・成分の為す行列が行列式であるようなもの全体とし、をそのによる像とする。このとき例えばに対し、及びを
を満たすように取ったとき、
と定義する。同様にして各に対してもが定まる。各局所座標系に対して平面とその倍による像の共通部分がでないという条件はに関するある線形多項式がであるという条件と同値であるから、特にはの開部分集合になっていて、上記で定義した次元多様体の構造が入ることがわかる。 - まずであったとする。このときは倍で閉じているからが従う。よってこのような及びその元を取ったとき、の元はと書ける。ここでは複素数倍で不変であるから、は一点集合である。
- まず円どうしを対応させるような適切な同相を合成することでは
と書ける。このとき群の作用を左辺には線型変換で、右辺にはメビウス変換で定めると、はの作用と整合的である。ここで
と置いたとき、である。これに加えて任意のに対してなるが存在し、任意のに対しなるが存在することを考慮すると、ここから
が分かり、前者からwell-defined性、後者から全射性が従う。 - ベクトル場を
で定める(但し)。これを自然に形式と見做したものをとする。を上の任意に取った円とする。このときの元の座標は常に不変であるか、最大値と最小値を取る点がつずつありその中間値をとる点がつずつあるかのいずれかである。が前者の場合、上の各点でベクトル場との接ベクトルの内積はになるから、このときである。次にが後者のとき、座標が等しくなる点を取ったとき、に於けるの単位的接ベクトルとの内積はのそれの倍になっている。よってこのときもである。以上からが命題の反例になっていること、つまり主張は誤りであることがわかる。
はHopf fibrationと呼ばれる写像です。