日本語での証明がみあたらなかったので。
準備
以下、単に体といった場合、自明な体を除いて考える。
付値
体上の付値とは、写像であって、次の条件を満たすものである。
(条件)任意のについて
通常の絶対値
および上で、通常の絶対値は付値となる。これを、他の付値と区別するためとかく。つまり、に対して
自明な付値
体において、を
と定めるとこれは付値となる。これを自明な付値といい、これ以外の付値を非自明な付値という。
p進付値
素数に対し、と定め、が整数と既約分数もしくはと互いに素な整数を用いてと表されるとき、
とすると、は上の付値となる。これを進付値という。
付値の同値
を体上の非自明な付値とする。このとき、ある実数があって任意のについて
であるとき、は同値であるという。
上の非自明な付値について、を実数、を有理数、を2以上の整数とするとき、
である。つまり、が同値であることを調べるには2以上の整数について調べれば必要十分である。
は明らか。よってについて示す。
2以上の整数に対してのとき、一般によりを任意の整数としてもである。よって、任意の有理数に対してであり、からより
から、示された。
ベズーの補題(Bézout's lemma)
を0でない整数とし、とする。このとき、整数について
(1) はと表せる最小の正整数であり、
(2) の形で表せる整数は全てdの倍数である。
突然の初等整数論ですが、証明の途中でちょこっと使うだけです。
とすると、および整数について、である。ここで、をに含まれる最小の正整数とし、の元での倍数でないものが存在すると仮定し、それをとする。このとき、は整数を用いてとおける。しかし、よりからであるが、より、これはがに含まれる最小の正整数であるという仮定に反し、矛盾。よって、の任意の元はの倍数である。
また、明らかにであるから、はの倍数、つまりである。よって。また、とするとだから、の任意の元はの倍数。より、もの倍数だから。故に、。
オストロフスキーの定理の証明
オストロフスキーの定理(Ostrowski’s Theorem)
を上の非自明な付値とする。このとき、はと同値であるか、ある素数に対してと同値である。
まず、任意のに対してのときを考える。は非自明な付値であり、より、なるが存在する。このとき、でありからの少なくともどちらか一方は1未満である。よって、なるがとれる。このとき、は個の相異なる素数と1以上の整数を用いて
と素因数分解されるとすると、よりとなるような整数が存在する。いま、として、と仮定する。このとき、十分大きな整数に対してであるが、とは互いに素だからベズーの補題よりであって
を満たすが存在し、より
となり、より矛盾。よって、ある整数のみがを満たし、のとき。したがって、を満たすをとると、に対してを満たす整数があって、
より、補題2からとは同値である。
次に、あるに対してのときを考える。
このとき、として、が
を満たすとする(いわゆるの進法表記)。このときであり、であることに注意して、とすると
である。ここで、を正整数として上式においてとすると
両辺乗根をとって
いま、は任意の正整数で、
だから
いま、よりであるが、とすると、となり矛盾。よって、
より
であるが、は任意だからそれぞれ入れ替えた式も成立。よって、
つまり、任意のに対してを満たす定数が存在し、このとき、任意のに対して
であるから、補題2よりとは同値である。
参考文献
Ostrowski’s Theorem and Completions of Fields