1

サルでも分かる!円に内接する正三角形の頂点座標の求め方!

97
0

\footnote{サルでも分かるとは,機械的に計算できるという意味である.}

困った,単位円に内接した正三角形の頂点座標が求められない…….

座標計算,したくないもの.

 空間内(R3とか)に図形を埋め込んでごりごり座標計算するみたいなことを,人間なら誰しも1度はやっているはず.そういう場合って基本的に「原点中心」だったり「1点を適当な座標軸上にとる」みたいな感じで,比較的計算しやすいような形でスタートするわけだから,とりあえず次のような状況を考えてみる.

  • 単位球面に内接する正四面体の頂点座標を計算したい!

 これ自体はどうとでもできるけれど,例えば一点を(0,0,1)R3でとるとして,残りの3点はどう置いたら計算し易そうだろうか.例えばもう一点をyz平面上に来るように置いてあげればx座標は0になるのだから,これまた計算しやすそうではある.そうすると残りの2点も自動的に決まりそうだから,まぁこれで計算すれば良さそう.しかし,どうやって?

ちょっと計算.

 恣意的に次のような手順を踏んで計算してみる:単位球面に内接する正四面体の4点をa,b,c,dとおいて,a=(0,0,1)とする.このときb,c,dz座標を1/3として,by座標を1(1/3)2=22/3とする.次にc,dy座標を2/3として,cx座標を1(2/3)2+(1/3)2=6/3とおく.最後にdx座標を6/3とおく.つまり,単位球面に内接する正四面体の頂点座標は例えば次で与えられる.
a=(0,0,1)b=(0,223,13),c=(63,23,13),d=(63,23,13)

 ほんまか? となるわけですが,それぞれの点は距離を具体的に計算すれば確かに全て長さが等しいうえに,各点すべて球面上に存在することが分かります.やってみてね.

 この手順をまとめてみると,

  1. 1点を固定して,残りの3点が同一平面上(今回だとz=1/3)に来るように動かす.
  2. 他の1点を取って適当な平面上(今回だとyz平面)に固定して,残りの2点が同一平面上(今回だとy=2/3)に来るように動かす.
  3. x座標が正になるものと負になるものをそれぞれ取る.

という感じだった.ということは一般化できそうですね?

漸化式があれば機械的に計算できますよね.

準備

基本的な線形代数は既知とする.

affinely dependent

n次元ユークリッド空間Rnn+1個の点v0,v1,,vnがaffinely dependentであるとは,v1v0,,vnv0R上線形独立になるときをいう.

convex,convex hull

CRnがconvexであるとは,任意のx,yCに対してその線分xy={tx+(1t)y0t1}Cに含まれるときをいう.またCのconvex hullとはCに含まれるconvex全体の共通部分のことをいい,これをconv(C)と表記する.特に有限集合C={c1,,cn}に対してはconv(C)=conv(c1,,cn)と表記する.

 affinely dependentな点x0,x1,,xnからなるconvex conv(x0,x1,,xn)は次のように表示できることが知られている:
conv(a0,,an)={j=0kλjaj|j=0kλj=1,λj0}

n次元ユークリッド空間Rn上に"四面体"や"正四面体"に対応するものを次のように定義しておく.

n- simplex

n次元ユークリッド空間Rnの部分集合σnn- simplexであるとは,一般の位置にある有限個の点の集合Aからなるconvex hullのことをいう.

regular n- simplex

n次元ユークリッド空間Rnの部分集合Δnがregular n- simplexであるとは,すべての辺の長さが等しい n- simplexのことをいう.

次の定理が,「単位球面に内接する正四面体の頂点座標の計算」を一般化したものになる.

主定理パート

 次の漸化式を考える.
{a1=1,b1=1n,ak=1l=1k1bl2(k=2,,n),bk=aknk+1(k=2,,n)

また次のn×n+1行列を便宜的に考え,この第i列をRnの元とみなしたものをxiとおく.

A=(00000a1000a2b10a3b2b1\iddots\iddots0an1b4b3b2b1anbn1b4b3b2b1bnbn1b4b3b2b1)

 このときx1,,xn,xn+1Rnについて次が成り立つ.

  1. x1,,xn,xn+1は単位球面Sn1上に存在する.
  2. x1,,xn,xn+1はaffinely dependent.
  3. n- simplex conv(x1,,xn,xn+1)はregularになる.

 もちろんregular n- simplex自体は,座標を定めて考えるのであれば無数にあるのだから,上の定理は一つのある種"標準的な"座標の取り方を与えているというだけ.

各点xi (i=1,,n,n+1)が球面上にあるのは明らか.affinely dependentであることは行列
A=(0000a2b1a100a3b2b1a1\iddots\iddots0an1b4b3b2b1a1anbn1b4b3b2b1a1bnbn1b4b3b2b1a1)
が正則であることを示せばよい.これは
detA=det|0000a2b1a100a3b2a20\iddots\iddots0an1b4b3b2a20anbn1b4b3b2a20bnbn1b4b3b2a20|=(1)n+1(b1a1)det|00a3b2a2b3b2a2\iddots0an1b4b3b2a2anbn1b4b3b2a2bnbn1b4b3b2a2|=(1)n+1(b1a1)det|00a3b2a2b3a30\iddots0an1b4b3a30anbn1b4b3a30bnbn1b4b3a30|=(1)lk=1n3(bkak)det|0an1bn2an2anbn1an10bnbn1an10|=(1)lk=1n(bkak)
となることから従う.ここでlは適当な自然数.

n- simplex conv(x1,,xn,xn+1)がregularになることを示す.相異なる二点xi,xj (i<j)の距離はi=1なら
xjx1=aj2+k=2j1bk2+(b1a1)2=aj2+k=1j1bk2+12b1=1+1+2n=2(1+n)n
となる.また
xjxi=aj2+k=i+1j1bk2+(biai)2+k=1i1(bibi)2=aj2+k=ij1bk22aibi+ai2=1k=1i1bk22aibi+ai2=ai22aibi+ai2=2ni+2ni+1ai2
となるから,数列
c1=1+nn,ci=ni+2ni+1ai2 (i=2,,n)
が定数列になることを示せばよい.i>2において
cici1=ni+2ni+1ai2ni+3ni+2ai12=ni+2ni+1(1k=1i1bk2)ni+3ni+2(1k=1i2bk2)=(ni+2ni+1ni+3ni+2)ni+2ni+1bi12(ni+2ni+1ni+3ni+2)k=1i2bk2=(ni+2ni+1ni+3ni+2)ai12ni+2ni+1bi12=(ni+2ni+1ni+3ni+2)ai12ni+2ni+1ai12(ni+2)2=((ni+2)2(ni+1)(ni+3)(ni+1)(ni+2))ai121(ni+1)(ni+2)ai12=(n2+2(i+2)n+(i2)2n2(2i+4)n(i+1)(i+3)(ni+1)(ni+2))ai121(ni+1)(ni+2)ai12=1(ni+1)(ni+2)ai121(ni+1)(ni+2)ai12=0
であり,
c2=nn1a22=nn1(11n2)=1+nn=c1
であるから,数列{ci}i=1,,nは定数列になる.つまりxjxi=2ci=2c1が成り立つ.

系として次を得る.

円に内接する正三角形の頂点座標の一つは(0,1),(3/2,1/2),(3/2,1/2)で与えられる.

あとがき

よかった,単位円に内接した正三角形の頂点座標を求められた…….

 明日の午後から自主ゼミあるんだから逃げずにそっちの進捗生んだ方がいい.

投稿日:20241021
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

ほし
ほし
7
1553
ぴちぴちJK/ほったる~ん/やってる分野の備忘録と過去の進捗

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 座標計算,したくないもの.
  2. ちょっと計算.
  3. 漸化式があれば機械的に計算できますよね.
  4. 準備
  5. 主定理パート
  6. あとがき