ここでは東大数理の修士課程の院試の2022A06の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2022A06
次実正方行列に対し対称行列
を考える。ここでの固有値は全て整数であるとする。の固有値をとする。
- は正則行列であることを示しなさい。
- 不等式
を示しなさい。 - 不等式
を示しなさい。 - は相異なることを示しなさい。
- は正定値行列と半正定値行列の和なので正定値行列であり、特に正則行列である。
- まず
である。一方であったとすると、なるはを満たさなければならないから矛盾。同様にであったとすると、なるはを満たさなければならないから矛盾。以上から
が従う。 - まず(2)の辺々を足すことで
は得られるから、等号が成り立たないことを示せば良い。この等号が成り立つとすると、(2)の議論から
である。これはつまりの最大値はによって実現されることを意味している。一方とすると、の最小値もによって実現されることを意味する。これはに矛盾する。 - まずトレースの比較により
である。これと(3)により
が従う。まずたちは相異なる整数であるから
よりが従う。同様に
よりが従う。以上からたちは相異なる実数である。