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【ゲージ理論】Chern-Weilの定理

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特性類速習(Chern-Weilの定理,Chern類,Pontrjagin類,Euler類)

特性類の一般論であるChern-Weil理論をまとめます。

不変多項式

GをLie群、gをそのLie環とする。
多重線形写像
f:g××gR
が次の条件
(1) f(X1,,Xk)Xiについて対称
(2) f(Ad(g)X1,,Ad(g)Xk)=f(X1,,Xk)
を満たすときLie群Gk次不変多項式と呼ぶ。

Lie環のKilling形式は2次の不変多項式です(Appendix参照)。

Chern-Weilの定理

Lie群Gk次不変多項式fgに値を持つ2形式Fを代入することができます。
すなわちgの基底を{Xa}とし、F=aFaXaと表すとき
f(FF)=a1,,akf(Xa1,,Xak)Fa1Fak
と定義します。
Faは2形式なので積を普通の数の積と思うとgを代入するときと同様の計算です。

Chern-Weilの定理

P=P(M,G)M上の主G束とし、fGk次不変多項式とする。
このとき次が成り立つ。

(1)APの任意の接続とし、曲率をFとする。
f(FF)M上の閉2k形式である。

(2)Pの任意の接続A,Aに対して、曲率をそれぞれF,Fとするとき、θΩ2k1(M)が存在して、
f(FF)f(FF)=dθ
が成り立つ。

これより、接続の取り方には依存せずPfのみからMのde Rhamコホモロジー類[f(FF)]が定まります。
これをfに関するP特性類と呼びます。
特性類は主束Pの束不変量を与えます。

fは不変多項式であるから、局所自明化の仕方によらずf(FF)2k形式を定める。
df(FF)=a1,,akf(Xa1,,Xak)d(Fa1Fak)=ia1,,akf(Xa1,,Xak)Fa1dFaiFak=if(FdFF)
ここでBianchi恒等式dAF=dF+[A,F]=0より
df(FF)=if(F[A,F]F)=ia1,,akf(Xa1,,[Xa,Xai],,Xak)Fa1AaFaiFak=a1,,ak(if(Xa1,,[Xa,Xai],,Xak))Fa1FakAa
となる。
fは随伴不変であるからこれは0である。

AA=αとし、At:=A+tαとおく。
Ft=dAt+12[AtAt]=F+tdα+t[Aα]+12t2[αα]ddtFt=dα+[Aα]+t[αα]=dα+[At,α](1)
が成り立つ。
さらに
df(αFtFt)=f(dαFtFt)+f(αFtdFtFt)
にBianchi恒等式とeq(1)を代入すると
df(αFtFt)=f(ddtFtFtFt)f([At,α]FtFt)f(αFt[At,Ft]Ft)
となる。先と同様にfの随伴不変性を使うと
df(αFtFt)=f(ddtFtFtFt)=1kddtf(FtFtFt)
が成り立つ。
よって01dtすると
f(FF)f(FF)=k01df(αFtFt)dt=dθΩ2k1(M)

ベクトル束はある主束の同伴束なのでその主束の束不変量を計算することでそのベクトル束の束不変量を計算することができます。
ベクトル束に対してはChern類、Pontrjagin類、Euler類があります。

Appendix

Killing formのAd不変性

Killing形式B:g×gR
B(X,Y):=Tr(ad(X)ad(Y))
で与えられます。

B(Ad(g)X,Ad(g)Y)=B(X,Y), X,Yg,gG

ρ:ggl(V)を任意の表現とする。
Bρ:g×gR
Bρ(X,Y)=Tr(ρ(X)ρ(Y))
と定義する。
Bρ([Z,X],Y)=Tr(ρ(Z)ρ(X)ρ(Y))Tr(ρ(X)ρ(Z)ρ(Y))=Tr(ρ(X)ρ(Y)ρ(Z))Tr(ρ(X)ρ(Z)ρ(Y))=Tr(ρ(X)ρ([Y,Z]))=Bρ(X,[Z,Y])
であるから、
ddtBρ(Ad(etZ)X,Ad(etZ)Y)|t=0=0
となる。
Ad(e(t1+t2)Z)X=Ad(et1Z)Ad(et2Z)
であることを考えると、
ddtBρ(Ad(etZ)X,Ad(etZ)Y)=0
となるから、主張が得られる。

投稿日:202357
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Submersion
Submersion
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専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

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