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乗法的微積分における三角関数みたいなやつ

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$$\newcommand{cop}[0]{\mathrm{co \pi}} \newcommand{genprodsum}[4]{{}^{#3}\!\!\underset{#1}{\overset{#2}{\Large \triangle{}}}#4} \newcommand{gprod}[3]{\underset{#1}{\overset{#2}{\prod{}}}#3} \newcommand{gsum}[3]{\underset{#1}{\overset{#2}{\sum{}}}#3} \newcommand{pan}[0]{\mathrm{\pi an}} \newcommand{pin}[0]{\mathrm{\pi in}} \newcommand{prodsum}[3]{\underset{#1}{\overset{#2}{\huge \triangle{}}}#3} \newcommand{tangle}[2]{\underset{#1}{\overset{#2}{\Large \mathrm{T}}}}} $$

ごあいさつ

こんにちは。Nappleです。

最近乗法的積分(絡分)についての記事をいろいろと書いていましたが、
今回は乗法的積分における三角関数みたいなやつを定義して、その性質を調べます。

概要

以下の関数を定義し、乗法的積分において三角関数に相当する性質を持つことを示した。

乗法的三角関数

$\pin x := e^{\sin x}$
$\cop x := e^{\cos x}$
$\pan x := e^{\tan x}$

定義する

導入

三角関数ってありますよね。
$\sin, \cos, \tan$とかのことです。

これらの主要な性質として以下のようなものがあります。

三角関数の微分

$$ \sin x \xrightarrow[D_x]{} \cos x \xrightarrow[D_x]{} -\sin x \xrightarrow[D_x]{} -\cos x \xrightarrow[D_x]{} \sin x \xrightarrow[D_x]{} \cdots $$

$D_x$$x$に関する微分を意味する

4回微分すると元に戻るんですね。

この性質に着目して乗法的積分における三角関数っぽいもの(以下 乗法的三角関数と呼ぶ)を定義してみましょう。

導出

$\pin x$

作りたいものは以下①を満たすような関数$\pin x$です。

$$ T_x^4 \pin x = \pin x $$
$T_x$$x$に関する乗法的微分(解分)を意味する。

ここで、$T_x^n f(x)$については以下が成り立ちます。

$n$階解分

$$T_x^n f(x) = \exp \frac{d^n}{dx^n} \ln f(x)$$

$$ \begin{eqnarray} T_x^n f(x) &=& \exp \frac{d}{dx} \cancel{\ln \exp} \frac{d}{dx} \cancel{\ln} \cdots \cancel{\exp} \frac{d}{dx} \ln f(x) \\ &=& \exp \frac{d^n}{dx^n} \ln f(x) \end{eqnarray} $$

なので、①の式は以下のように変形できます。
$$ \begin{eqnarray} T_x^4 \pin x &=& \pin x \\ \exp \frac{d^4}{dx^4} \ln \pin x &=& \pin x \\ \frac{d^4}{dx^4} \ln \pin x &=& \ln \pin x \end{eqnarray} $$
$\ln \pin x$$\sin x$のような状態になっていることがわかります。
ですので、ここでは単に$\ln \pin x = \sin x$つまり

$$\pin x := e^{\sin x}$$

とすれば
$\pin x$は①の式を満たします。

$\cop x$

また、$D_x \sin x = \cos x$であることから、$T_x \pin x = \cop x$となる$\cop x$を考えます。
これは計算すると
$$ \begin{eqnarray} \cop x &=& T_x \pin x \\ &=& \exp \frac{d}{dx} \ln e^{\sin x} \\ &=& \exp \frac{d}{dx} \sin x \\ &=& e^{\cos x} \end{eqnarray}$$
なので、
$$\cop x := e^{\cos x}$$
と定義します。

$\pan x$

同様にして、$\pin, \cop$がそれぞれ$e^{\sin x}, e^{\cos x}$だったので、
$$\pan x := e^{\tan x}$$
と定義します。

定義まとめ

乗法的三角関数

$ \pin x := e^{\sin x}$
$ \cop x := e^{\cos x}$
$ \pan x := e^{\tan x}$

余談

どうでもいいですが、$\pin$はパイン、$\cop$はコパイン、$\pan$はパンジェントと読みます。
$\pin$$\pi$は総乗の$\Pi $と同じ気持ちだと思ってください。

性質を調べる

概形(グラフ)

乗法的三角関数のグラフ(赤:!FORMULA[41][1669368783][0] 青:!FORMULA[42][1302790528][0] 緑:!FORMULA[43][1661980615][0]) 乗法的三角関数のグラフ(赤:$\pin x$ 青:$\cop x$ 緑:$\pan x$)

乗法的微分公式

$$ \begin{eqnarray} T_x \pin x &=& \cop x \\ T_x \cop x &=& \frac{1}{\pin x} \\ T_x \frac{1}{\pin x} &=& \frac{1}{\cop x} \\ T_x \frac{1}{\cop x} &=& \pin x \\ \\ \end{eqnarray} $$

$\pan$ の乗法的微分

$$ \begin{eqnarray} T_x \pan x &=& \exp(\frac{1}{\cos^2 x}) \\ T_x \frac{1}{\pan x} &=& \frac{1}{T_x \pan x } =\exp(-\frac{1}{\cos^2 x}) \end{eqnarray} $$

周期性

$$ \begin{eqnarray} \pin(x + 2 \pi) &=& \pin x \\ \cop(x + 2 \pi) &=& \cop x \\ \pan(x + 2 \pi) &=& \pan x \\ \end{eqnarray} $$

まあ基本的な性質を書いてきたわけですけど、
結局は三角関数のもつ性質からどれも簡単に導出できますね。

おまけ

じゃあ同じやり方で、乗法的微積分における他の関数も定義できそうですね。

例えば

関数与えたい性質乗法的微積分版
$f(x) = e^{x}$$T_x F = F$$F(x) = e^{e^x}$
$f(x) = \ln{x}$$T_x F = 1 / x$$F(x) = e^{-x(\ln x - 1)}$

みたいに...

(解分方程式...?)

まとめ

最近、Mathlogでも乗法的微積分が盛り上がってきているようでなんとなく嬉しいです。
またなにか気づいたら記事にします。それでは〜

投稿日:1017
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投稿者

🤔 数学の専門ではないです。 思いついたことを書きます。

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