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45秒で理解する2変数関数の極値

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45秒で何ができる?

ヘッセ行列を理解する

ヘッセ行列Hは多変数関数における第2次導関数(のようなもの)です。
2変数f(x,y)ならH(x,y)=(2x2f(x,y)2yxf(x,y)2xyf(x,y)2y2f(x,y))であり、2階偏導関数の集まりからなっていることからも妥当です。

1変数

極小:f=0かつf
極大:f=0かつf

多変数

極小:fxi=0かつH正定値
極大:fxi=0かつH負定値
fxi=0n変数関数f(x1,x2,,xn)の変数それぞれでのfの偏導関数がすべて0という意味
(2変数f(x,y)ならfx=xf(x,y)=0, fy=yf(x,y)=0

正定値・負定値ってなんぞや

実数成分の正方対称行列H
「正定値である」H左上隅の小行列の行列式がすべて正
「負定値である」Hが正定値

左上隅の小行列ってなんぞや

(123456789)なら、(1)(1245)(123456789)
つまり左上を成分に持つ正方行列を取れるだけ取る。(自分自身も含む)
この左上隅の小行列の、行列式がすべて正なら正定値
例では11×52×4=31×5×9+2×6×7+3×8×43×5×72×4×91×8×6=0
なので正定値ではない。(負定値でもない。)
※1×1の行列はただの実数と同じ。その行列式は等しくなる。

間違えやすいポイント

Hの左上隅の小行列の行列式がすべて負負定値
は間違いです。

誤)(2431)の左上隅の小行列は、(2)(2431)
その行列式は2(2)×14×3=14ですべて負なので負定値。

正)(2431)=(2431)の左上隅の小行列を考えて

(2)(2431) その行列式は22×(1)(4)×(3)=14
よって正定値でも負定値でもない。

例題 ~1変数と2変数の比較~

1変数

f(x)=x46x2+8x+5の極値をすべて求めよ。

f(x)の極値をとるxの値の候補は
ddxf(x)=0(x1)2(x+2)=0
x=1,2
であり、
d2dx2f(x)=12x212=12(x21)
f(1)=0よりx=0では極値をとらず、f(2)=36>0よりx=2で極小値をとる。
よって、f(x)x=2で極小値f(2)=19をとる。

2変数

f(x,y)=x3+y33xyの極値をすべて求めよ。

f(x,y)の極値をとる(x,y)の値の候補は
xf(x,y)=yf(x,y)=03x23y=3y23x=0
(x,y)=(0,0),(1,1)
であり、
H(x,y)=(2x2f(x,y)2yxf(x,y)2xyf(x,y)2y2f(x,y))=(6x336y)
H(0,0)=(0330)
det(0)=0det(0330)=9>0より正定値でも負定値でもないので(0,0)では極値をとらず、
H(1,1)=(6336)
det(6)=6>0det(6336)=45>0より正定値であるので(1,1)では極小値をとる。
よって、f(x,y)(x,y)=(1,1)で極小値f(1,1)=1をとる。

おわりに

45秒を謳っていますが、今回は全然3分ぐらいかかりそうなことをお詫び申し上げます。さすがに45秒じゃ雑になりすぎます。
また、厳密性を欠いている箇所が高々有限個あります。
しっかり理解したい人は教科書などを時間をかけて読んでください。

投稿日:2024726
更新日:20241122
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