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物理を古典力学で考えてみたい話 vol.1

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$$\newcommand{bm}[1]{\boldsymbol{#1}} \newcommand{disp}[0]{\displaystyle} $$

はじめに

お久しぶりです、B1となりました、ぱぺでございます。
無事 Science Tokyo に入学しました、おめでとうありがとう。

えー、11月下旬の投稿から7か月、今まで何をしていたのかという話ですが、
・受験対策、受験、入学手続き
・1Q(第1クォーター)の授業と試験
・記事執筆1:線形代数とプログラミング(未完)
・記事執筆2:四元数(未完)
・記事執筆3:今作(完成)
により全く投稿できていませんでした。えっ。

まあ、Twitterの 数学垢 でずっと活発に活動していますので、何卒Twitterの方もよろしくお願いいたします。

本題

今回は以下の問題を古典力学の範疇で考えます。vol.1です。また新しい問題を見かけたらvol.2以降も書いていきます。

かたすとろふぃ ( @dielec_885 ) による問題提起

ある滑らかな水平面上で、原点$\text{O}$から$r_{0}$離れた地点に質量$m$の質点をおく。
その間をばね定数$k$,自然長$r_{0}$の軽いばねで結び、一端を原点$\text{O}$で固定する。
このばねは曲がらないものとする。
質点にばねと垂直な方向に初速度$v_{0}$を与えたときの運動を記述せよ。


これを古典力学で考えるにあたり参考にする本は、綿引芳之先生著『古典力学 力学の基礎 第2版』 です。
現在私の大学の物理学基礎の授業では、この先生が担当のクラスのみ古典力学を学ぶ方針になっており、その教科書として先生の著書が指定されています。

綿引芳之 著『古典力学 力学の基礎 第2版』[Amazonページはこちら](https://www.amazon.co.jp/%E5%8F%A4%E5%85%B8%E5%8A%9B%E5%AD%A6-%E5%8A%9B%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E-%E7%AC%AC2%E7%89%88-%E7%B6%BF%E5%BC%95-%E8%8A%B3%E4%B9%8B/dp/4910415270) 綿引芳之 著『古典力学 力学の基礎 第2版』 Amazonページはこちら


計算表記上の注意

今回微分などが出てくるため以下の表記の注を付します。

・点粒子の運動は$\mathbb{R}^2$平面内に限る。
・各点粒子の位置は位置ベクトルで表す。

・ベクトルは太字で表記する:$\bm{x},\;\bm{e}_{\xi},\; \bm{e}_{\varphi}$

・定数でないものは基本時間に依存する。
・時間に依存するスカラー$a$およびベクトル$\bm{a}$について,
 その時間微分はそれぞれ$\disp\frac{\mathrm{d}a}{\mathrm{d}t}$ または $\dot{a}$$\disp\frac{\mathrm{d}\bm{a}}{\mathrm{d}t}$ または $\dot{\bm{a}}$ と表記。二階微分も同様。


計算上の考え方・下準備・諸注意

微小量・偏微分・全微分・勾配

ベクトル$\bm{x}=(x,y)$の微小変化を$\mathrm{d}\bm{x}=(\mathrm{d}x,\mathrm{d}y)$ と表す。

ベクトル$\bm{x}=(x,y)$に対してスカラーを返す関数を$f$としたとき、点の組$(x,y,z)$の略記としてベクトル$\bm{x}$を引数とできる。$f(x,y)=f(\bm{x})$

$f$は各成分で偏微分可能であり、$\disp\frac{\partial{f}}{\partial{x}},\frac{\partial{f}}{\partial{y}}$ とできるし、時間微分$\disp\frac{\mathrm{d}f}{\mathrm{d}t}$ も可能。

全微分は、関数の微小変化は各成分の微小量と各成分での偏微分との和で次のように表せるというものである。
$ $
$\disp \mathrm{d}f=\frac{\partial{f}}{\partial{x}}\cdot\mathrm{d}x+\frac{\partial{f}}{\partial{y}}\cdot\mathrm{d}y\quad =\begin{bmatrix}\disp\frac{\partial{f}}{\partial{x}} & \disp \frac{\partial{f}}{\partial{y}} \end{bmatrix}\begin{bmatrix}\mathrm{d}x \\ \mathrm{d}y \end{bmatrix} \quad -\text{[Prepare.1]}$
$ $
これは微積分学基礎の授業で次のように表されている。

$\bm{v}=(x,y),\;\bm{v}_0=(x_0,y_0)$ として、$\bm{v}_0$まわりの一次近似は
$ $
$\disp f(\bm{v})=f(\bm{v}_0)+l(\bm{v}-\bm{v}_0)+\omicron(\left|\bm{v}-\bm{v}_{0}\right|) \quad -\text{[Prepare.2]}$
$ $
ただし一次形式 $\disp l(x,y)=\frac{\partial{f}}{\partial{x}}(\bm{v}_0)\cdot x+\frac{\partial{f}}{\partial{y}}(\bm{v}_0)\cdot y$ で表される。

これを微小量$\bm{v}-\bm{v}_{0}=\mathrm{d}\bm{x},\quad f(\bm{v})-f(\bm{v}_0)=f(\bm{v}_{0}+\mathrm{d}\bm{x})-f(\bm{v}_0)=\mathrm{d}f$ とし、誤差項$\omicron(\left|\bm{v}-\bm{v}_{0}\right|)=\omicron(\left|\mathrm{d}\bm{x}\right|)$ は消去できることを踏まえて整理すれば、$\text{[Prepare.1]}$を導くことができる。

全微分による関数の一次近似$\text{[Prepare.2]}$で、誤差項をなくした
$ $
$\disp z=f(\bm{v}_0)+\frac{\partial{f}}{\partial{x}}(\bm{v}_0)\cdot (x-x_0)+\frac{\partial{f}}{\partial{y}}(\bm{v}_0)\cdot (y-y_0)$ $\quad $
$ $
グラフ$z=f(\bm{v})\;(=f(x,y))$$\bm{v}=\bm{v}_0$ における接平面を表す。
ベクトル $\begin{bmatrix}\disp\frac{\partial{f}}{\partial{x}}(\bm{v}_0) & \disp \frac{\partial{f}}{\partial{y}}(\bm{v}_0)\end{bmatrix}$ はこの平面の傾きが最も大きくなるような方向、つまり最も関数の変化率が大きい方向ベクトルであり、これを勾配 と呼ぶ。
$ $
位置$\bm{x}=(x,y)$における$f$ 勾配 の表記は次のようなものがある。
$\disp\begin{bmatrix}\disp\frac{\partial{f}}{\partial{x}} & \disp \frac{\partial{f}}{\partial{y}}\end{bmatrix}=:\frac{\partial{f}}{\partial{\bm{x}}},\quad \frac{\partial}{\partial{\bm{x}}}f ,\quad \bm{\nabla}f$
$ $
これを用いると、$\text{[Prepare.1]}$ は、2つのベクトルの内積として $\disp \mathrm{d}f=\mathrm{d}\bm{x}\cdot\frac{\partial{f}}{\partial{\bm{x}}}$ とも表すことができる。

驚きのこととして、ベクトルの内積と外積は、ある程度積のように扱うことができて、たとえば微分する際に積の微分を用いることができる。

回転座標系

原点まわりを運動する点粒子について考える。
原点に置いた観測者から見た非慣性系で座標系を考える。この非慣性系は直交座標系$(\bm{e}_{x},\bm{e}_{y})$ を点粒子の偏角 $\varphi$ だけ回転させたものであり、$\varphi$$t$ に依存する。つまり時刻によって観測者が点粒子を目で捕捉しながら回転して、見る世界が回転するイメージである。

基底ベクトルを放射方向$\bm{e}_{r}=\begin{bmatrix} \cos{\varphi} \\ \sin{\varphi} \end{bmatrix}$, 接線方向$\bm{e}_{\varphi}=\begin{bmatrix} -\sin{\varphi} \\ \cos{\varphi} \end{bmatrix}$ とする。

このとき、基底ベクトルの時間微分は次のようになる:
\begin{aligned} \dot{\bm{e}_{r}}=\dot{\varphi}\;\bm{e}_{\varphi} \; , \quad \dot{\bm{e}_{\varphi}}=-\dot{\varphi}\;\bm{e}_{r} \end{aligned}

綿引先生の(物理をする上でおさらいする)数学の授業では、極座標を$(r,\varphi)$で、球面座標を$(r,\varphi,\theta)$ で表す。
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また、参考書Aでは回転座標系を$(\xi,\eta)$で表すが、私がこの記事内で$(r,\varphi)$と混同したために、この記事では$(\xi,\varphi)$で回転座標系を記述している。

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運動方程式を立てる

ここでいう「運動方程式」は、参照本のはじめにおける$\ddot{\bm{x}}=\bm{f}(\bm{x},\dot{\bm{x}};t)$ を指すのではなく、単に$m\bm{a}=\bm{F}$ であることに注意いただきたい。

$xy$平面$\mathbb{R}^2$内を運動する点粒子$\bm{x}$ について、まずどのように質点が運動するのか把握するため、運動方程式を立てる。

平面内で質点に働く力は弾性力のみで、 $\disp -k\left(\left|\bm{x}\right|-r_{0}\right)\cdot\frac{\bm{x}}{\left|\bm{x}\right|}=-k\left(1-\frac{r_{0}}{\left|\bm{x}\right|}\right)\bm{x}$

したがって、運動方程式は: $\disp m\cdot\frac{\mathrm{d}^2 \bm{x}}{\mathrm{d}x^2}=-k\left(1-\frac{r_{0}}{\left|\bm{x}\right|}\right)\bm{x} \quad -①$

念の為こんなことを考えてみよう。
$\disp f=-\frac{1}{2}k\left(\left|\bm{x}\right|-r_{0}\right)^2+C_{1}$ とおくと、$\disp \frac{\partial{f}}{\partial{\bm{x}}}=-k\left(1-\frac{r_{0}}{\left|\bm{x}\right|}\right)\bm{x}$ を満たすので、
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運動方程式$①$$\disp m\cdot \frac{\mathrm{d}^2\bm{x}}{\mathrm{d}t^2}=\frac{\partial{f}}{\partial{\bm{x}}} \quad -②$ と書き換えられる。

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運動方程式からヒントを得る1:力のモーメント

$\disp m\ddot{\bm{x}}=-k\left(1-\frac{r_{0}}{\left|\bm{x}\right|}\right)\bm{x} \quad -①$ $\quad$ に対して、左から$\bm{x}$との外積をとる。

$\disp \bm{x}\times m\ddot{\bm{x}}=\bm{x}\times \left\{-k\left(1-\frac{r_{0}}{\left|\bm{x}\right|}\right)\bm{x}\right\} \quad -③$

いま一般に、$\bm{a},\bm{b}$を平行なベクトル、あるいは一方の大きさが$0$のベクトルとして、
$\bm{a}$$\bm{b}$ の外積は $\bm{a}\times\bm{b}=\bm{0}$ である。
$ $
(特に、スカラー$k$を用いて$\bm{b}=k\bm{a}$と明確に表せる場合は明らか。)
$ $
ただし、2次元では外積が数値であるので$\bm{0}=0$, 3次元では外積の値$\bm{0}$がベクトルである。

$③$の左辺について、次の式を考える。
\begin{aligned} \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\left(\bm{x}\times m\dot{\bm{x}}\right) &= \dot{\bm{x}}\times m\dot{\bm{x}}+\bm{x}\times m\ddot{\bm{x}} \\ &=\bm{x}\times m\ddot{\bm{x}} \end{aligned}

さらに、$③$の右辺で$\disp -k\left(1-\frac{r_{0}}{\left|\bm{x}\right|}\right)$ はスカラーであるから、右辺は$\bm{0}$ に等しい。

したがって、$③$$\disp \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\left(\bm{x}\times m\dot{\bm{x}}\right)=\bm{0} \quad -④$ と書き換えられる。

$ $
実は$④$は、原点まわりの力のモーメントが$0$である、つまり質点の角運動量が保存されていることを指している。

【角運動量・力のモーメント】

質量$m$の質点$\bm{x}$に対してかかる力$\bm{F}$を、向心成分$\bm{F}_{/\!/}$ と その垂直成分$\bm{F}_{ \perp }$ に分解する。
$\bm{F}=\bm{F}_{/\!/}+\bm{F}_{\perp}$
また、分解した力の成分から、向心方向と力$\bm{F}$のなす角を$\theta$とすれば、
$\left|\bm{F}_{\perp}\right|=\left|\bm{F}\right|\cdot\sin\theta$
$\bm{x}\;/\!/\;\bm{F}_{/\!/}$ より $\bm{x}\times\bm{F}_{/\!/}=\bm{0}$
$\bm{x}\;\perp\;\bm{F}_{\perp}$ より $\left|\bm{x}\times\bm{F}_{\perp}\right|=\left|\bm{x}\right|\cdot\left|\bm{F}_{\perp}\right|=\left|\bm{x}\right|\cdot\left|\bm{F}\right|\cdot\sin\theta$
$ $
運動方程式 $m\ddot{\bm{x}}=\bm{F}$ の両辺に左から$\bm{x}$との外積をとって整理すると、
\begin{aligned} m\ddot{\bm{x}}&=\bm{F} \\ m\ddot{\bm{x}}&=\bm{F}_{/\!/}+\bm{F}_{\perp} \\ \bm{x}\times m\ddot{\bm{x}}&=\bm{x}\times\bm{F}_{/\!/}+\bm{x}\times\bm{F}_{\perp} \\ \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\left(\bm{x}\times m\dot{\bm{x}}\right)&=\bm{x}\times\bm{F}_{\perp} \\ \end{aligned}
$\left|\bm{x}\times\bm{F}_{\perp}\right|=\left|\bm{x}\right|\cdot\left|\bm{F}\right|\cdot\sin\theta$ であることからもわかるとおり、
これは向心方向に垂直な成分の力が原点$\text{O}$視点でどのくらい質点に働くかという点で、力のモーメントを表すものと解釈できる。
また、$\bm{L}:=\bm{x}\times m\dot{\bm{x}}$を角運動量と呼び、$\disp \frac{\mathrm{d}\bm{L}}{\mathrm{d}t}=\bm{0}$ のとき、角運動量は一定であり、「角運動量が保存されている」と言う。

つまり、質点にかかる力は常に向心方向にはたらくということである。

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原点方向の弾性力しかはたらかないのだから自明である。

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$ $


運動方程式からヒントを得る2:エネルギー保存則

$\disp m\ddot{\bm{x}}=\frac{\partial{f}}{\partial{\bm{x}}} \quad -②$ $\quad$ に対して、両辺に$\dot{\bm{x}}$との内積をとる。

\begin{aligned} \dot{\bm{x}}\cdot m\ddot{\bm{x}}&=m\dot{x}\cdot\frac{\mathrm{d}\dot{x}}{\mathrm{d}t}+m\dot{y}\cdot\frac{\mathrm{d}\dot{y}}{\mathrm{d}t} \\ &=\frac{m}{2}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\left(\dot{x}^2+\dot{y}^2\right) \\ &=\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t} \left(\frac{1}{2}m\dot{\bm{x}}^2\right) \end{aligned}
\begin{aligned} \dot{\bm{x}}\cdot\frac{\partial{f}}{\partial{\bm{x}}} &=-k\left(1-\frac{r_{0}}{\left|\bm{x}\right|}\right)\bm{x}\cdot\frac{\mathrm{d}\bm{x}}{\mathrm{d}t} \\ &=\cdots \end{aligned}
のようにすることもできるが、
$\disp \dot{\bm{x}}\cdot m\ddot{\bm{x}}=m\dot{\bm{x}}\cdot\frac{\mathrm{d}\dot{\bm{x}}}{\mathrm{d}t}=\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\left(\frac{1}{2}m\dot{\bm{x}}^2\right)$
$ $
$\disp \dot{\bm{x}}\cdot\frac{\partial{f}}{\partial{\bm{x}}}=\frac{\mathrm{d}\bm{x}}{\mathrm{d}t}\cdot\frac{\partial{f}}{\partial{\bm{x}}}=\frac{\mathrm{d}f}{\mathrm{d}t}$
$ $
ともできる。

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整理すると、
\begin{aligned} \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\left(\frac{1}{2}m\dot{\bm{x}}^2\right)=\frac{\mathrm{d}f}{\mathrm{d}t} \qquad \therefore \quad \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\left(\frac{1}{2}m\dot{\bm{x}}^2-f\right)=0 \qquad \therefore \quad\frac{1}{2}m\dot{\bm{x}}^2-f=C_{2} \end{aligned}

ここで $\disp f=-\frac{1}{2}k\left(\left|\bm{x}\right|-r_{0}\right)^2+C_{1}$ であることを思い出すと、定数$C_{3}:=C_{1}+C_{2}$ として

$\disp \frac{1}{2}m\dot{\bm{x}}^2+\frac{1}{2}k\left(\left|\bm{x}\right|-r_{0}\right)^2=C_{3} \quad -⑤$

$\dot{\bm{x}}$は速度を表すため、$⑤$は運動エネルギーと弾性力による位置エネルギーの和が時間に依存せず一定であることを示す、力学的エネルギー保存則を表している。

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2次元回転座標系・亜種(参照本:1.5章「非慣性系」2項「2次元回転座標系」から発展。)

質点と同じ偏角を$\varphi$ として、直交座標$(\bm{e}_{x},\bm{e}_{y})$$\varphi$だけ回転させた座標系を$(\bm{e}_{\xi},\bm{e}_{\varphi})$ とする。
つまり新しい$\xi-\varphi$回転座標系 について、質点が常に$\xi$軸にあるようにする。

$\dot{\bm{e}_{\xi}}=\dot{\varphi}\;\bm{e}_{\varphi},\quad \dot{\bm{e}_{\varphi}}=-\varphi \bm{e}_{\xi}$ である。

質点はこの回転座標系の単位ベクトルを用いて次のように表せる。:$\bm{x}=\xi\;\bm{e}_{\xi} \quad -\text{[Rotate-1]}$

$\text{[Rotate-1]}$ を時間$t$で微分すると、
$\dot{\bm{x}}=\dot{\xi}\;\bm{e}_{\xi}+\xi\;\dot{\varphi}\;\bm{e}_{\varphi} \quad -\text{[Rotate-2]}$
$\ddot{\bm{x}}=\left(\ddot{\xi}-\xi\;\dot{\varphi}^2\right)\;\bm{e}_{\xi}+\left(2\;\dot{\xi}\;\dot{\varphi}+\xi\;\ddot{\varphi}\right)\;\bm{e}_{\varphi} \quad -\text{[Rotate-3]}$

$\text{[Rotate-1]},\;\text{[Rotate-2]},\;\text{[Rotate-3]}$と初期条件・運動方程式関係から$\xi$$\varphi$の関係式を挙げていく。

初期条件

・初期位置は原点から$r_{0}$. $\text{[Rotate-1]}$ より
 $\xi(0)=r_{0}$ $-\text{[Condition-1]}$
・初速度は垂直に$v_{0}$. $\text{[Rotate-2]}$ より
 $\dot{\xi}(0)=0$ $-\text{[Condition-2]}$, $(\xi\;\dot{\varphi})(0)=v_{0}$ $-\text{[Condition-3]}$

運動方程式関係

・加速度は、$\text{[Rotate-3]}$ より
1:$\disp \ddot{\xi}-\xi\;\dot{\varphi}^2=-\frac{k}{m}\left(\xi-r_{0}\right)$ $-\text{[Condition-4]}$
2:$2\;\dot{\xi}\;\dot{\varphi}+\xi\;\ddot{\varphi}=0$ $-\text{[Condition-5]}$

$\text{[Condition-1]},\text{[Condition-3]}$ について
$(\xi\;\dot{\varphi})(0)=\xi(0)\cdot\dot{\varphi}(0)$ であるから、$\disp \dot{\varphi}(0)=\frac{(\xi\;\dot{\varphi})(0)}{\xi(0)}=\frac{v_{0}}{r_{0}}$

$\text{[Condition-5]}$ について、両辺を$\xi\;\dot{\varphi}$ で割ると
\begin{aligned} 2\;\dot{\xi}\;\dot{\varphi}+\xi\;\ddot{\varphi}&=0 \\ 2\cdot\frac{1}{\xi}\cdot\dot{\xi}\;+\frac{1}{\dot{\varphi}}\cdot\ddot{\varphi}&=0 \\ \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\left(2\ln{\xi}+\ln{\dot{\varphi}}\right)&=0 \\ \\ \therefore \quad 2\ln{\xi}+\ln{\dot{\varphi}}&=C_{4} \\ \\ \therefore \quad \xi^2\;\dot{\varphi}&=C_{5} \quad \left(C_{5}:=e^{C_{4}}\right)\\ \end{aligned}
という関係式を得る。$\xi^2\;\dot{\varphi}$は時間に依存せず一定であるから、$t=0$の場合を考えることで、
$\disp \xi^2\;\dot{\varphi}=r_{0}v_{0}$ を得る。ここで、$c=r_0v_0,\quad\xi^2\;\dot{\varphi}=c$ と分けておく。

$\xi$$\varphi$ の条件

$\xi(0)=r_{0}$ $-\text{[Condition-1]}$

$\dot{\xi}(0)=0$ $-\text{[Condition-2]}$

$\disp \dot{\varphi}(0)=\frac{v_{0}}{r_{0}}$

$\xi^2\;\dot{\varphi}=c\quad \left(c=r_0v_0\right) \quad -⑥$

$\text{[Condition-4]}$ について、$\xi^2\;\dot{\varphi}=c\quad \left(c=r_0v_0\right)$ を用いると、
$\disp \ddot{\xi}-\xi\cdot\left(\frac{c}{\xi^2}\right)^2=-\frac{k}{m}\left(\xi-r_{0}\right)$
これを整理して
$ $
$\disp \ddot{\xi}-\frac{c^2}{\xi^3}=-\frac{k}{m}\left(\xi-r_{0}\right)$.
$ $
$t=0$のとき、向心成分の加速度は:
$\disp \ddot{\xi}(0)=\frac{r_{0}^2v_{0}^2}{\xi(0)^3}-\frac{k}{m}\left(\xi(0)-r_{0}\right)=\frac{v_{0}^2}{r_{0}}$

$\xi$ の微分方程式と$\xi$の条件

$\disp \ddot{\xi}-\frac{c^2}{\xi^3}=-\frac{k}{m}\left(\xi-r_{0}\right) \quad -⑦$
$\disp \ddot{\xi}(0)=\frac{v_{0}^2}{r_{0}}$

ここで、関数 $\xi$ は質点の向心成分の運動を記述するものであり、 $c\neq0$ であることから、この質点の運動は単純な単振動では済まないかもしれないですね。


近似解を得る

$\xi=r_{0}\left(1+u\right)$ とおく。$\left|u\right|<\!\!< r_{0}$ を仮定する。

$ $

$\dot{\xi}=r_{0}\dot{u}\;,\quad \ddot{\xi}=r_{0}\ddot{u}$ である。

$u$の条件

$\disp u(0)=0\;,\quad \dot{u}(0)=0\;,\quad \ddot{u}(0)=\frac{v_{0}^2}{r_{0}^2}\quad\left(=\dot{\varphi}_{0}^2\right)$

$(1+u)^n\approx1+nu$ を用いると、

\begin{aligned} \ddot{\xi}-\frac{r_{0}^2v_{0}^2}{\xi^3}&=-\frac{k}{m}\left(\xi-r_{0}\right) \\ r_{0}\;\ddot{u}-\frac{r_{0}^2v_{0}^2}{r_{0}^3\left(1+u\right)^3}&=-\frac{k}{m}r_{0}u \\ \ddot{u}-\frac{v_{0}^2}{r_{0}^2}\left(1-3u\right)&\approx-\frac{k}{m}u \\ \ddot{u}&\approx -\left(\frac{3v_{0}^2}{r_{0}^2}+\frac{k}{m}\right)\left(u-\frac{\frac{v_{0}^2}{r_{0}^2}}{\frac{3v_{0}^2}{r_{0}^2}+\frac{k}{m}}\right) \end{aligned}
$\disp \dot{\varphi}_{0}=\frac{v_{0}}{r_{0}}, \quad \omega=\sqrt{3\dot{\varphi}_{0}^2+\frac{k}{m}}$ として、 $\disp \ddot{u}\approx -\omega^2 \left(u-\frac{\dot{\varphi}_{0}^2}{\omega^2}\right)$
$ $

この解の一般形は、定数$A,B$を用いて次のように表される。

$\disp u\approx \frac{\dot{\varphi}_{0}^2}{\omega^2}+A\cos{\omega t}+B\sin{\omega t}$

ここから初期条件を用いて特殊解を求める。

$\disp u\approx \frac{\dot{\varphi}_{0}^2}{\omega^2}+A\cos{\omega t}+B\sin{\omega t}$
$ $
$t=0$ のとき、位置から、
$\disp 0= \frac{\dot{\varphi}_{0}^2}{\omega^2}+A\cdot1+B\cdot0$ より $\disp A=-\frac{\dot{\varphi}_{0}^2}{\omega^2}$
$ $
速度$\disp \dot{u}\approx -\omega A\sin{\omega t}+\omega B\cos{\omega t}$$t=0$ のとき、
$0=-\omega A\cdot 0 +\omega B\cdot 1$ より $B=0$
$ $
以上から、求める$u$の近似解は $\disp u\approx \frac{\dot{\varphi}_{0}^2}{\omega^2}\left(1-\cos{\omega t}\right)$

余談
$\disp \frac{\dot{\varphi}_{0}^2}{\omega^2}=\frac{\frac{v_{0}^2}{r_{0}^2}}{\frac{3v_{0}^2}{r_{0}^2}+\frac{k}{m}}=\frac{\frac{1}{2}mv_{0}^2}{3\cdot\frac{1}{2}mv_{0}^2+\frac{1}{2}kr_{0}^2}$
なぜか運動エネルギー(状況的には力学的エネルギー?)出てきた。
$ $
また、$\disp E=\frac{1}{2}mv_{0}^2,\quad U=\frac{1}{2}kr_{0}^2$ とすると、
$\xi$$r_{0}$との最大誤差比率$\disp \left|u\right|=\frac{2\dot{\varphi}_{0}^2}{\omega^2}=\frac{2}{3+\frac{U}{E}}$$1$より十分小さくなってほしいので、$U>\!\!>E$.
すなわち $\disp \frac{v_{0}}{r_{0}}<\!\!<\sqrt{\frac{k}{m}}$ であってほしい。

これを用いて$\xi$の近似解を求めると $\disp \xi\approx r_{0}+\frac{\dot{\varphi}_{0}^2}{\omega^2}r_{0}\left(1-\cos{\omega t}\right)$

以上から、 $\disp \frac{v_{0}}{r_{0}}<\!\!<\sqrt{\frac{k}{m}}$ のときの近似解 $\disp \xi\approx r_{0}+\frac{\frac{1}{2}mv_{0}^2\cdot r_{0}}{3\cdot\frac{1}{2}mv_{0}^2+\frac{1}{2}kr_{0}^2}\left(1-\cos{\sqrt{\frac{3v_{0}^2}{r_{0}^2}+\frac{k}{m}}\;t}\right)$

$\disp \frac{v_{0}}{r_{0}}<\!\!<\sqrt{\frac{k}{m}}$の条件からもう少し削ると、$\disp \frac{1}{2}mv_{0}^2<\!\!<\frac{1}{2}kr_{0}^2$ であるから、

$\disp E=\frac{1}{2}mv_{0}^2,\;U=\frac{1}{2}kr_{0}^2$ として、

$\disp \xi\approx r_{0}\left\{1+\frac{E}{U}\left(1-\cos{\left(1+\frac{3E}{2U}\right)\sqrt{\frac{k}{m}}\;t}\right)\right\}\;,$

$\disp \dot{\varphi}\approx\frac{v_{0}}{r_{0}}\left\{1-\frac{E}{2U}\left(1-\cos{\left(1+\frac{3E}{2U}\right)\sqrt{\frac{k}{m}}\;t}\right)\right\}$

$ $
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もう少し微分方程式をいじる

既存:$\xi$$\varphi$ の条件

$\xi(0)=r_{0}$ $-\text{[Condition-1]}$

$\dot{\xi}(0)=0$ $-\text{[Condition-2]}$

$\disp \dot{\varphi}(0)=\frac{v_{0}}{r_{0}}$

$\xi^2\;\dot{\varphi}=c\quad \left(c=r_0v_0\right) \quad -⑥$

既存:$\xi$ の微分方程式と$\xi$の条件

$\disp \ddot{\xi}-\frac{c^2}{\xi^3}=-\frac{k}{m}\left(\xi-r_{0}\right) \quad -⑦$
$\disp \ddot{\xi}(0)=\frac{v_{0}^2}{r_{0}}$

既存の条件$⑦$の両辺に$\dot{\xi}$ をかけて変形する。

\begin{aligned} \dot{\xi}\;\ddot{\xi}&=c^2\;\xi^{-3}\dot{\xi}-\frac{k}{m}\left(\xi-r_{0}\right)\;\dot{\xi} \\ \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\left\{\frac{1}{2}\dot{\xi}^2\right\}&=\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\left\{-\frac{1}{2}c^2\;\xi^{-2}-\frac{1}{2}\cdot\frac{k}{m}\xi^{2}+\frac{kr_{0}}{m}\xi\right\}\\ \\ \therefore \quad \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}&\left\{\dot{\xi}^2+c^2\;\xi^{-2}+\frac{k}{m}\xi^{2}-\frac{2kr_{0}}{m}\xi\right\}=0 \end{aligned}

したがって、定数$\disp c_{1}=r_{0}^2v_{0}^2\;,\quad c_{2}=\frac{k}{m}\;,\quad c_{3}$をある定数 として

$\disp \dot{\xi}^2+\frac{c_{1}}{\xi^2}+c_{2}\xi^{2}-2c_{2}r_{0}\xi=c_{3}$ を満たす。

ここで初期条件から、$\disp 0^2+\frac{c_{1}}{r_{0}^2}+c_{2}r_{0}^2-2c_{2}r_{0}r_{0}=c_{3}$ すなわち $\disp c_{3}=\frac{2}{m}\left(\frac{1}{2}mv_{0}^2-\frac{1}{2}kv_{0}^2\right)$

以上から、式を整理することで

$\disp \frac{1}{2}m\left\{\dot{\xi}^2+\left(\xi\cdot\frac{r_{0}v_{0}}{\xi^2}\right)^2\right\}+\frac{1}{2}k\left(\xi-r_{0}\right)^2=\frac{1}{2}mv_{0}^2$

ここで、式$⑥$$\dot{\xi}^2+\left(\xi\dot{\varphi}\right)^2=v^2$$v$:質点の速さ)を用いれば、

$\disp \frac{1}{2}mv^2+\frac{1}{2}k\left(\xi-r_{0}\right)^2=\frac{1}{2}mv_{0}^2$
力学的エネルギー保存則ですね、はい。

なんでこんな大層なことして得られたものが力学的エネルギー保存則やねん、はっ倒すぞ。

ということで、この座標系で得られた情報は式$\;:\;\xi^2\;\dot{\varphi}=c\quad \left(c=r_0v_0\right)$でした。

$ $
$ $

角速度とばねの長さの関係

ここまでの中で唯一得られた非自明なことは、式$⑥\;:\;\xi^2\;\dot{\varphi}=c\quad \left(c=r_0v_0\right)$ だけでしたが、これについて少し式変形します。

$\dot{\varphi}$ が偏角を表すため、原点中心の角速度$\omega(t)$を考えると、
$\dot{\varphi}=\omega(t)$ であるから、式$⑥$$\xi^2\omega=r_{0}v_{0}$ と変形できる。
$ $
$\xi$は原点からの距離、すなわちばねの長さと言い換えられるから、原点中心の角速度はばねの長さの2乗に反比例するという結果を得る。
$ $
*ちなみにこの「原点中心の角速度は原点からの距離の2乗に反比例する」は最初から遡ると、
「接線方向に力が加わらない(接線方向に加速しない)」ことから一般的に導くことができる性質である。

おっと意外な副産物を得た。

終わりに

ほとんど なんの成果も!! 得られませんでした!!

と言いたいところだし、何の厳密解も得られなかったですが、角速度の関係が出てくるのは面白いところですね。

参考文献

・綿引芳之先生著『古典力学 力学の基礎 第2版』 (Amazonへのページ)

関連記事

後日譚: 物理を古典力学で考えてみたい話 vol.1-後日譚

更新欄

2026.7/7.20:50 : 投稿

2026.7/7.23:05 : 式の補正と訂正・表現の訂正・参考文献欄の追加

【前】
1.
参照する古典力学の本は綿引芳之先生著『古典力学 力学の基礎 第2版』 です。

2.
問題1 by かたすとろふぃ (@dielec_885)


【後】
1.
これを古典力学で考えるにあたり参考にする本は綿引芳之先生著『古典力学 力学の基礎 第2版』 です。

2.
問題1 かたすとろふぃ (@dielec_885) による問題提起

【誤】

$\disp \frac{1}{2}m$$\disp\left(\dot{\xi}^2+\frac{r_{0}^2v_{0}^2}{\xi^2}\right)$$\disp +\frac{1}{2}k\left(\xi-r_{0}\right)^2=\frac{1}{2}mv_{0}^2$

ここで、式$⑥$$\dot{\xi}^2+$ $\!\dot{\varphi}^2$ $\! =v^2$$v$:質点の速さ)を用いれば、


【正】を訂正、をわかりやすく変換

$\disp \frac{1}{2}m$$\disp\left\{\dot{\xi}^2+\left(\xi\cdot\frac{r_{0}v_{0}}{\xi^2}\right)^2\right\}$$\disp+\frac{1}{2}k\left(\xi-r_{0}\right)^2=\frac{1}{2}mv_{0}^2$

ここで、式$⑥$$\dot{\xi}^2+$$\left(\xi\dot{\varphi}\right)^2$$=v^2$$v$:質点の速さ)を用いれば、

2026.7/10.20:10 : 回転座標系の説明追加

追加内容

綿引先生の(物理をする上でおさらいする)数学の授業では、極座標を$(r,\varphi)$で、球面座標を$(r,\varphi,\theta)$ で表す。
$ $
また、参考書Aでは回転座標系を$(\xi,\eta)$で表すが、私がこの記事内で$(r,\varphi)$と混同したために、この記事では$(\xi,\varphi)$で回転座標系を記述している。

2026.7/18.15:30:関連記事(後日譚の掲載)

投稿日:12日前
更新日:1日前
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投稿者

isct-理-B1 のぱぺです。 作文は苦手です。作問は好きだけどスランプ中です。最近は大学数学(線形代数・集合論・群など)に興味を持っていますがまだ何も取り組めていません。物理と数学が好き。 ここでは、①作問の投稿 ②数学のいろいろの投稿 ③「問題解いてみる」系投稿 を行います。

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