久しぶりの投稿で何を書こうか迷ったが, 私が個人的に好きな定理である整列集合の比較定理を証明する.
ある程度の集合論の知識と半順序集合についての理解があれば読み進めることができるようにした.
主にutidaを参考にして書いた.
実数全体の集合を
詳しくは解説しないが簡単に定義や例などを挙げる.
集合
順序関係が明らかなときは省略して書くことがある.
例えば以下のように書く.
「半順序集合
この後解説する全順序集合, 整列集合についても同様.
通常の大小関係
を満たす.
写像
順序を保つ写像同士の合成は順序を保つ
全単射
また, このとき写像
順序同型について次が成り立つ.(下で出てくる集合と二項関係の対はすべて半順序集合である)
(1)
(2)
(3)
このとき
このとき
定理の要である整列集合を定義する.
通常の大小関係
整列集合の部分集合は整列集合である.
整列集合は全順序集合である.
を
整列集合の比較定理の証明に必要な定理を示していく.
補題の証明は冗長であるかもしれないができるだけ行間を埋めて書いた.
整列集合
(1)
(2)
(3)
のいずれか一つが成り立つ. (つまり, どの二つも同時には起こりえない.)
以下, 補題をいくつか示す.
写像
従って,
つまり,
以下の二つが成り立つ.
(1) 整列集合はそのどんな切片とも順序同型にならない.
(2) 整列集合の相異なる二つの切片は互いに順序同型にならない.
(1)
順序同型写像
よって, 任意の
(2)
このとき,
prop:seiretuと(1)より
よって, 相異なる任意の
上の証明において, 一つ上の補題を参照したが実際の補題の番号とあっていない.
アンカーテキストを自分で変えればよいのだがそれはしたくない. 果たしてどうすればよいのか.
背景グレーの文章で前文の証明若しくはヒントを与える.
が成り立つ.
このとき,
を任意の に対して で定義するとこれは順序同型写像になる.
従って,
このとき
従って,
従って,
また,
整列集合の比較定理を再掲して証明を与える.
先ほどと同様に補題の参照番号が違うので各々確認しながら証明を追ってほしい.
整列集合の比較定理
整列集合について
(1)と が順序同型である.
(2)が のある切片と順序同型である.
(3)のある切片が と順序同型である.
のいずれか一つが成り立つ. (つまり, どの二つも同時には起こりえない.)
まず,
任意の元
一意性:
, となる元 が存在すれば であるので である.(lem:seppen) : に関してみれば となる元 があるので である.
つまり,
この
を と同様に定める.
つまり,に対して となる元 はただ一つ存在し となる. この元を とおくことで を定める. と の定め方により となるので は全単射になり, 互いに逆写像である. で とする. の定義により となる. つまり順序同型写像 が存在する.
lem:fよりが成り立つ. また, は の元であるので となる.
従っては順序を保つ全単射である. 同様に も順序を保つ全単射になることがわかる.
以上からは順序同型写像である.
lem:ittiから
もし
よって,
次にどの二つも同時に成り立たないことを示す.
(1)と(2)が同時に成り立つと仮定する.
すると
よって(1)と(2)は同時には成り立たない.
同様に(1)と(3)も同時に成り立たないことがわかる.
(2)と(3)が同時に成り立つと仮定する.
すると
包含写像
包含写像が順序を保つ単射であることは簡単に確認できる.
単射の合成は単射であり, 順序を保つ写像の合成は順序を保つ写像である.
故にが順序を保つ単射であることがわかる.
ここで
よって(2)と(3)は同時に成り立たない.
以上より(1)~(3)のどの二つも同時には成り立たない.
これで目的であった整列集合の比較定理の証明ができた.
補題の番号が合ってないのはすみません.
今回の記事は内田伏一「集合と位相」utidaを大いに参考した. 証明に関しては初学者が躓きやすい場所を詳細に解説した.
証明は流れを理解して自分で何も見ずにできるようになるまで確認してほしい.
また多忙のため推敲があまりできていないため見にくくなっていたかもしれない.
次の記事はいつになるかわからないです.