戸田盛和『楕円関数入門』を参考にレムニスケートの周長についてまとめる.
ここでレムニスケートとは$$r^2 = a^2\cos 2\theta$$で表される曲線である.
まず, これを直交座標に直すことを考える.
\begin{eqnarray}
x &=& r\cos\theta\\
y&=& r\sin\theta\\
\end{eqnarray}
であるから
\begin{eqnarray}
x^2 + y^2 &=& r^2\\
x^2 - y^2 &=& r^2\cos 2\theta\\
\end{eqnarray}
となる. したがってレムニスケートは
$$(x^2+y^2)^2=a^2(x^2-y^2) $$
という代数的な式であらわすことができる.
戸田『楕円関数入門』に載っている計算は大変回りくどいので, ここではもっと簡単な方法を与える. まず$t=r/a$とおく.
すると
\begin{eqnarray}
x^2+y^2 &=& a^2t^2\\
x^2-y^2 &=& a^2t^4
\end{eqnarray}
となる. したがって
\begin{eqnarray}
x^2 &=& \frac{a^2}{2}(t^2+t^4)\\
y^2 &=& \frac{a^2}{2}(t^2-t^4)\\
\end{eqnarray}
つまり
\begin{eqnarray}
x &=& \frac{a}{\sqrt{2}}\sqrt{t^2+t^4}\\
y &=& \frac{a}{\sqrt{2}}\sqrt{t^2-t^4}\\
\end{eqnarray}
となる. $dx$と$dy$を求めると
\begin{eqnarray}
dx &=& \frac{a}{\sqrt{2}}\frac{2t+4t^3}{2\sqrt{t^2+t^4}} &=& \frac{a}{\sqrt{2}}\frac{1+2t^2}{\sqrt{1+t^2}}\\
dy &=& \frac{a}{\sqrt{2}}\frac{2t-4t^3}{2\sqrt{t^2-t^4}} &=& \frac{a}{\sqrt{2}}\frac{1-2t^2}{\sqrt{1-t^2}}\\
\end{eqnarray}
よって
\begin{eqnarray}
dx^2+dy^2 &=& \frac{a^2}{2}\left(\frac{1+4t^2+4t^4}{1+t^2}+\frac{1-4t^2+4t^4}{1-t^2}\right)dt^2\\
&=& \frac{a^2}{1-t^4}dt^2
\end{eqnarray}
ここで$t$は$1$から出発して減少していくと考えると, $dt<0$なので(という言い方は正確ではないかもしれないが)
$$
ds = -\frac{a}{\sqrt{1-t^4}}dt
$$
したがって周長$s$は
$$
s = -\int^t_1\frac{adt}{\sqrt{1-t^4}}
$$
ここで$t=\cos\phi$とおけば
$$
s = \frac{a}{\sqrt{2}}\int^\phi_0 \frac{d\phi}{\sqrt{1-\frac{1}{2}\sin^2\phi}}
$$
となり, 第一種楕円積分の形になる.