二項定理は∑k=0n(nk)xk=(x+1)nと書くことができる. x↦−xとして(−1)n倍すると, 符号が交代的である∑k=0n(−1)n−k(nk)xk=xn−nxn−1+(n2)xn−2−⋯=(x−1)nを得ることができる. 他にも符号の付き方を変えたもので因数分解が綺麗にできるようなものはあるかを考えてみるという問題が考えられる. いくつか試した結果,∑k=0n(−1)⌈n−k2⌉(nk)xk=xn−nxn−1−(n2)xn−2+(n3)xn−3+(n4)xn−4−⋯のように, 符号が+,−,−,+を繰り返すようなものに関して興味深い等式が見つかった. それが次である.
0≤nに対して,∑k=0n(−1)⌈n−k2⌉(nk)xk=∏k=1(mod4)0<k<4n(x−cotπk4n)が成り立つ.
まず, cotπtは0<t<1で単調減少であるからcotπk4n,0<k<4nは相異なる. 左辺の多項式がk=1(mod4)のときにx=cotπk4nが零点になっていることを示せば, 両辺の最高次の係数がともに1であることから等式が従う. xが実数のとき,∑k=0n(−1)⌈n−k2⌉(nk)xk=∑k=0n(−1)⌈k2⌉(nk)xn−k=∑0≤k≤n,k:even(−1)k2(nk)xn−k−∑0≤k≤n,k:odd(−1)k−12(nk)xn−k=12(∑k=0n(ik+i−k)(nk)xn−k+i∑k=0n(ik−i−k)(nk)xn−k)=12((1+i)(x+i)n+(1−i)(x+i)n)=Re(1+i)(x+i)nである. よって, k=1(mod4),x=cotπk4nとすると,Re(1+i)(cotπk4n+i)n=Re(1+i)(eiπk4nsinπk4n)n=Re(1+i)k+12k2sinnπk4n=0となるからこれは零点になっている.
他にこのように綺麗に因数分解できる例を探してみるというのは面白いかもしれない.
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