こんにちは!Kikachuです。
今回は、初等幾何研究シリーズ(勝手に名付けた)第2弾ということで、最近新しく得た結果を紹介していこうと思います。(第1弾は
こちら
から)
この記事は研究ノートみたいなものです。
前提知識は、オイラー線と根心(根軸)です。証明などは比較的簡単なので、気楽に読んでもらえたらと思います。では、早速見ていきましょう。
オイラー線と根心(根軸)が何か知らない人のために用語説明をします。知っている方は飛ばして構いません。
任意の三角形において,外心を $O$,重心を $G$,垂心を $H$ とおくとき, $O,G,H$は一直線上にあり,$OG:GH=1:2$が成り立つ。
二つの円に引いた接線の長さが等しくなる点の集合.これは、必ず直線になる.
$3$つの円が互いに$2$点で交わるとき,$3$本の根軸は一点で交わる.
まず手始めに、$\triangle ABC$の各辺を$4$等分し、各辺の中点を中心とする、その辺上の頂点を含まない$2$つの$4$等分点を通る円を$K_a,K_b,K_c$とする。
これらを使っていい結果が得られないかと考えました。まず、ここから次の補題を得られます。
$K_a,K_b,K_c$の少なくとも$2$円が必ず交点を持つ。
実際にGeogebraでやってみると分かりますが、常に交点を持ちます。これは三角不等式から簡単に証明できます。
読者に委ねる。
さらにこの構図から他のことが言えないかと思い、Geogebraでいじくっていたところ、つぎのようなものを発見しました。
$\triangle ABC$の各辺を$4$等分し、各辺の中点を中心とする、その辺上の頂点を含まない$2$つの$4$等分点を通る円を$K_a,K_b,K_c$とする. このとき、$3$円$K_a,K_b,K_c$の根心$P$は、$P$はオイラー線上に存在し、外心$O$と垂心$H$を$5:3$に内分する.
命題2の構図
外心 $O$ を原点にとり,頂点 $A,B,C$ の位置ベクトルをそれぞれ$$ \overrightarrow{OA}=\mathbf a,\qquad \overrightarrow{OB}=\mathbf b,\qquad \overrightarrow{OC}=\mathbf c $$ とおく.
このとき $ |\mathbf a|=|\mathbf b|=|\mathbf c|$ が成り立ち,また垂心 $H$ の位置ベクトルは $$\overrightarrow{OH}=\mathbf a+\mathbf b+\mathbf c $$ で与えられる. 各辺の中点を $$ M_a=\frac{\mathbf b+\mathbf c}{2},\qquad M_b=\frac{\mathbf c+\mathbf a}{2},\qquad M_c=\frac{\mathbf a+\mathbf b}{2} $$ とする.すると,円 $K_a,K_b,K_c$ はそれぞれ $$ K_a:\ \left|x-\frac{\mathbf b+\mathbf c}{2}\right|^2=\frac{|\mathbf b-\mathbf c|^2}{16}, $$ $$ K_b:\ \left|x-\frac{\mathbf c+\mathbf a}{2}\right|^2=\frac{|\mathbf c-\mathbf a|^2}{16}, $$ $$ K_c:\ \left|x-\frac{\mathbf a+\mathbf b}{2}\right|^2=\frac{|\mathbf a-\mathbf b|^2}{16} $$ と表される. まず $K_a$ と $K_b$ の根軸を求める. $$ \left|x-\frac{\mathbf b+\mathbf c}{2}\right|^2-\frac{|\mathbf b-\mathbf c|^2}{16} = \left|x-\frac{\mathbf c+\mathbf a}{2}\right|^2-\frac{|\mathbf c-\mathbf a|^2}{16} $$を展開すると, $$ x\cdot(\mathbf a-\mathbf b) +\frac{|\mathbf b+\mathbf c|^2-|\mathbf c+\mathbf a|^2}{4} -\frac{|\mathbf b-\mathbf c|^2-|\mathbf c-\mathbf a|^2}{16} =0 $$となる.ここで $$ |\mathbf b+\mathbf c|^2-|\mathbf c+\mathbf a|^2 = 2\mathbf b\cdot\mathbf c-2\mathbf c\cdot\mathbf a = -2\mathbf c\cdot(\mathbf a-\mathbf b), $$ また $$ |\mathbf b-\mathbf c|^2-|\mathbf c-\mathbf a|^2 = (|\mathbf b|^2-|\mathbf a|^2)-2\mathbf b\cdot\mathbf c+2\mathbf c\cdot\mathbf a = 2\mathbf c\cdot(\mathbf a-\mathbf b) $$ であるから,結局 $$ x\cdot(\mathbf a-\mathbf b) = \frac58\,\mathbf c\cdot(\mathbf a-\mathbf b) $$ を得る.したがって,$K_a$ と $K_b$ の根軸はこの一次方程式で表される. 同様にして, $$ x\cdot(\mathbf b-\mathbf c) = \frac58\,\mathbf a\cdot(\mathbf b-\mathbf c) $$ が $K_b$ と $K_c$ の根軸, $$x\cdot(\mathbf c-\mathbf a) = \frac58\,\mathbf b\cdot(\mathbf c-\mathbf a) $$ が $K_c$ と $K_a$ の根軸である. ここで $$ p:=\frac58(\mathbf a+\mathbf b+\mathbf c) $$ とおくと, $$ p\cdot(\mathbf a-\mathbf b) = \frac58\bigl(|\mathbf a|^2-|\mathbf b|^2+\mathbf c\cdot\mathbf a-\mathbf c\cdot\mathbf b\bigr) = \frac58\,\mathbf c\cdot(\mathbf a-\mathbf b) $$ より,$p$ は $K_a$ と $K_b$ の根軸上にある. 同様にして $p$ は $K_b$ と $K_c$ の根軸上,および $K_c$ と $K_a$ の根軸上にもある. ゆえに $p$ は 3 つの円 $K_a,K_b,K_c$ の根心である. したがって $$ \overrightarrow{OP}=p=\frac58(\mathbf a+\mathbf b+\mathbf c)=\frac58\,\overrightarrow{OH} $$ となり,$P$ はオイラー線 $OH$ 上にある. よって $$ OP:PH=5:3 $$ が従う.$\blacksquare$
これだけでも十分ですが、これでは物足りないと思った欲張りなKikachu少年は、一般的な$n$で成り立つのではと思い証明に取り掛かったところ、なんと証明することができました。それを以下に記します。
$\triangle ABC$の各辺を$n$等分し、各辺の中点を中心とする、その辺上の頂点を含まない$2$つの$n$等分点を通る円を$K_a,K_b,K_c$とする. このとき、$3$円$K_a,K_b,K_c$の根心$P$は、$P$はオイラー線上に存在し、外心$O$と垂心$H$を$n$が偶数なら$n^2+4:n^2-4$, $n$が奇数なら$n^2+1:n^2-1$に内分する.
非常に面白い結果ですね!!見つけたときは声が出ました。
よくあるのが、九点円の中心が$O$と$H$を$1:1$に内分するというものや、今回は関係ないですがそれの周りにあるオイラー・ポンスレ点です。それに近しい結果が出てきたので、もしかしたら、九点円とも何か関係があるのかもしれません。しかし、そこまではわかりませんでした。
ベクトルからこれを証明していきます。(初等幾何での証明が思いついていないです)
外心 $O$ を原点にとり,頂点 $A,B,C$ の位置ベクトルをそれぞれ
$$
\overrightarrow{OA}=\mathbf a,\qquad
\overrightarrow{OB}=\mathbf b,\qquad
\overrightarrow{OC}=\mathbf c$$
とおく.このとき
$$|\mathbf a|=|\mathbf b|=|\mathbf c|$$
であり,垂心 $H$ の位置ベクトルは
$$\overrightarrow{OH}=\mathbf a+\mathbf b+\mathbf c$$
で与えられる.
また,各辺の中点を
$$M_a=\frac{\mathbf b+\mathbf c}{2},\qquad
M_b=\frac{\mathbf c+\mathbf a}{2},\qquad
M_c=\frac{\mathbf a+\mathbf b}{2}$$
とする.
ここで
$$\tau=
\begin{cases}
\dfrac1n & (n \text{ が偶数}),\\[0.8em]
\dfrac1{2n} & (n \text{ が奇数})
\end{cases}$$
とおくと,円 $K_a,K_b,K_c$ はそれぞれ
$$K_a:\quad \left|x-M_a\right|^2=\tau^2\left|\mathbf b-\mathbf c\right|^2,$$
$$
K_b:\quad \left|x-M_b\right|^2=\tau^2\left|\mathbf c-\mathbf a\right|^2,$$
$$ K_c:\quad \left|x-M_c\right|^2=\tau^2\left|\mathbf a-\mathbf b\right|^2$$
と表される.
まず,$K_a$ と $K_b$ の根軸を求める.
$$\left|x-\frac{\mathbf b+\mathbf c}{2}\right|^2-\tau^2\left|\mathbf b-\mathbf c\right|^2
=
\left|x-\frac{\mathbf c+\mathbf a}{2}\right|^2-\tau^2\left|\mathbf c-\mathbf a\right|^2
$$
を展開すると,
$$
x\cdot(\mathbf a-\mathbf b)
+\frac{|\mathbf b+\mathbf c|^2-|\mathbf c+\mathbf a|^2}{4}
=
\tau^2\bigl(|\mathbf b-\mathbf c|^2-|\mathbf c-\mathbf a|^2\bigr)$$
となる.ここで
$$|\mathbf b+\mathbf c|^2-|\mathbf c+\mathbf a|^2
=
2\,\mathbf b\cdot\mathbf c-2\,\mathbf c\cdot\mathbf a
=
-2\,\mathbf c\cdot(\mathbf a-\mathbf b),$$
また
$$|\mathbf b-\mathbf c|^2-|\mathbf c-\mathbf a|^2
=
2\,\mathbf c\cdot(\mathbf a-\mathbf b)$$
であるから,
$$x\cdot(\mathbf a-\mathbf b)
-\frac12\,\mathbf c\cdot(\mathbf a-\mathbf b)
=
2\tau^2\,\mathbf c\cdot(\mathbf a-\mathbf b)$$
すなわち
$$x\cdot(\mathbf a-\mathbf b)
=
\left(\frac12+2\tau^2\right)\mathbf c\cdot(\mathbf a-\mathbf b)$$
を得る.
したがって,$K_a$ と $K_b$ の根軸はこの一次方程式で表される.
同様に,$K_b$ と $K_c$ の根軸は
$$x\cdot(\mathbf b-\mathbf c)
=
\left(\frac12+2\tau^2\right)\mathbf a\cdot(\mathbf b-\mathbf c),$$
$K_c$ と $K_a$ の根軸は
$$x\cdot(\mathbf c-\mathbf a)
=
\left(\frac12+2\tau^2\right)\mathbf b\cdot(\mathbf c-\mathbf a)$$ で与えられる.
ここで
$$p:=\left(\frac12+2\tau^2\right)(\mathbf a+\mathbf b+\mathbf c)$$
とおくと,
$$p\cdot(\mathbf a-\mathbf b)
=
\left(\frac12+2\tau^2\right)
\bigl(|\mathbf a|^2-|\mathbf b|^2+\mathbf c\cdot\mathbf a-\mathbf c\cdot\mathbf b\bigr)
=
\left(\frac12+2\tau^2\right)\mathbf c\cdot(\mathbf a-\mathbf b),$$
よって $p$ は $K_a$ と $K_b$ の根軸上にある.
同様にして $p$ は $K_b$ と $K_c$ の根軸上,および $K_c$ と $K_a$ の根軸上にもある.
したがって $p$ は 3 つの円 $K_a,K_b,K_c$ の根心である.
ゆえに
$$\overrightarrow{OP}=p=\left(\frac12+2\tau^2\right)(\mathbf a+\mathbf b+\mathbf c)=\left(\frac12+2\tau^2\right)\overrightarrow{OH}$$
となり,$P$ はオイラー線 $OH$ 上にある.
最後に,
$$\lambda:=\frac12+2\tau^2$$
とおくと
$$\overrightarrow{OP}=\lambda\,\overrightarrow{OH}$$
であるから,
$$OP:PH=\lambda:(1-\lambda)$$
である.
実際,
$$\lambda=
\begin{cases}
\dfrac12+\dfrac{2}{n^2} & (n \text{ が偶数}),\\[1em]
\dfrac12+\dfrac{1}{2n^2} & (n \text{ が奇数})
\end{cases}$$より,
$$OP:PH=
\begin{cases}
(n^2+4):(n^2-4) & (n \text{ が偶数}),\\[0.5em]
(n^2+1):(n^2-1) & (n \text{ が奇数})
\end{cases}$$
を得る.$\blacksquare$
ここで、こう思った方がいるのではないでしょうか?「別に$n$が実数全体でもよくね?」そうです。今回の証明だと実数$n$に拡張しても成り立つということが分かります。(証明は同じ流れです)すると、$n$は実数全体なので根心がある軌跡を描くことになります。さきの定理からこの根心はオイラー線上にあるということから、これら根心の軌跡はオイラー線である。つまり、よく見ていたオイラー線はこの根心の軌跡によるものであったということです!(厳密にはオイラー線と根心の軌跡が一致するということです)
いかがでしょうか?これをきっかけに、根心がとても面白い性質をもっているということが分かってくれると嬉しいです。
根心にはまだまだ神秘的な結果が隠されていそうなので、それを研究していきたいです。今回は証明にベクトルを使ったので、初等幾何で示せないかを今後考えていきたいです。(初等幾何での証明はまだ思いついていません)何か気になる点がありましたら、コメントで教えていただけると幸いです。
それではまた!