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【相対論】Newman-Penrose formalism 3

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相対論∩スピン幾何

 Newman-Penrose formalismはWeylスピノルに関する共変微分の係数、あるいはnull tetradに関する共変微分の係数をα,β,...のように12個の関数(スピン係数なとど呼ばれる)で置いて、色々な量を計算する手法ですが、スピン係数の微分とWeylスカラーの微分に関するNewman-Penrose方程式(恒等式?)がわんさかあります。Newman-Penrose formalismを勉強するとこのNewman-Penrose方程式に面食らって面倒そうに見えるのですが、よく考えるとどんなformalismだろうと同等の情報量はあるわけなので、どこかの段階では必要なら計算しないといけないわけです。Newman-Penrose方程式は主要な関係式をはじめに全部計算して列挙しておいて応用する時に見ながら使うためのものなので、人生で一回計算する経験をしておいて残りの人生では辞書的に使いのがよいです。

以下にNewman-Penrose方程式を列挙し、その導出の例を示しますが、どこか微妙に間違っているかもしれないので、使う時は各自で確認してください。

 4次元時空(M,g)のnull tetradを{m,m¯,l,k}とします。

スピン係数

 e1=m,e2=m¯,e3=l,e4=kとし、Γij=g(ei,ej)と置きます。スピノル束をS=S+Sとし、o.n.f.{e¯1,e¯2,e¯3,e¯4}
e1=12(e¯1ie¯2), e2=12(e¯1+ie¯2)e3=12(e¯0+e¯3), e4=12(e¯0e¯3)
で定義するとき、このo.n.f.に関するS+(right-handed Weyl spinor束)のスピン接続の接続形式は
ΓS+=(Γ122+Γ342Γ14Γ13Γ122Γ342)
で与えられるので、スピン係数などと呼ばれる12個の複素関数α,β,...
12(Γ12+Γ34)=12(g(k,)g(m¯,m))=βθ1+αθ2+γθ3+εθ4Γ23=g(,m¯)=μθ1+λθ2+νθ3+πθ4Γ14=g(k,m)=σθ1+ρθ2+τθ3+κθ4
と定義します。

あるいは同値ですが、スピン接続を持ち出さなくてもnull tetradに対して
α=12[g(m¯k,)g(m¯m¯,m)]β=12[g(mk,)g(mm¯,m)]γ=12[g(k,)g(m¯,m)]ε=12[g(kk,)g(km¯,m)]μ=g(m,m¯),  λ=g(m¯,m¯)ν=g(,m¯),  π=g(k,m¯)σ=g(mk,m),  ρ=g(m¯k,m)τ=g(k,m),  κ=g(kk,m)
あるいは同値ですが
kk=(ε+ε¯)k+κ¯m+κm¯=(γ+γ¯)+νm+ν¯m¯mm=λ¯kσ(α¯β)mmm¯=μkρ¯+(α¯β)m¯m=(α¯+β)+μm+λ¯m¯m=ν¯kτ+(γγ¯)mmk=(α¯+β)k+ρ¯m+σm¯km=π¯kκ+(εε¯)mk=(γ+γ¯)k+τ¯m+τm¯k=(ε+ε¯)+πm+π¯m¯
あるいは同値ですが
[m,m¯]=(β¯α)m+(α¯β)m¯+(ρρ¯)l+(μ¯μ)k[m,l]=(μ+γ¯γ)m+λ¯m¯+(τα¯β)l+ν¯k[m,k]=(ρ¯+ε¯ε)m+σm¯+κl+(α¯+β+π¯)k[,k]=(τ¯π)m+(τπ¯)m¯+(ε¯+ε)l+(γ¯+γ)k
で定義します。

Weylテンソル

 4次元時空(M,g)において、ワイルテンソルW
Wabcd=Rabcd+gadPcbgacPdb+gbcPdagbdPcaPab=12Rab112Rgab
で与えられます。

 またWeylスカラーは以下で定義されます。
Ψ0=W(k,m,k,m),Ψ1=W(k,l,k,m),Ψ2=W(k,m,l,m¯)Ψ3=W(l,k,l,m¯),Ψ4=W(l,m¯,l,m¯)
Petrov分類1 のWeylスカラーとΨ2の符号が違うので注意)

スピン係数の微分

 スピン係数の定義式をnull基底で共変微分の公式などを使い微分していくと機械的な計算で以下が得られます。
(1)mκ=kσ+α¯κ+3βκ+κπ¯3εσ+ε¯σ+ρσ+ρ¯σ+κτ+Ψ0(2)kβ¯=m¯ε¯αε¯β¯εγ¯κ¯κ¯μ¯ε¯πβ¯ρα¯σ¯+π¯σ¯Ψ¯1(3)mρ=m¯σ+κμ¯κμ+α¯ρ+βρ3ασ+β¯σρ¯τ+ρτΨ1P14(4)kτ=lκγ¯κ3γκ+π¯ρ+πσστ¯ε¯τ+ετρτΨ1+P14(5)lρ=m¯τκν+γρ+γ¯ρμ¯ρλσατ+β¯τττ¯Ψ2P12P34(6)lα=m¯γ+β¯γ+αγ¯βλαμ¯εν+νρλτγτ¯+Ψ3(7)lλ=m¯ν3γλ+γ¯λλμλμ¯+3αν+β¯ννπντ¯Ψ4(8)kλ=m¯π3ελ+ε¯λκ¯ν+απβ¯ππ2λρμσ¯P22(9)kμ=mπεμε¯μκνα¯π+βπππ¯μρ¯λσΨ2P12P34(10)kα=m¯ε+αε¯2αεβ¯εγκ¯κλεπαρ+πρβσ¯+P24(11)lβ=mγ+α¯γ+2βγβγ¯αλ¯βμεν¯+νσγτμτP13(12)kρ=m¯κ3ακβ¯κκπ+ερ+ε¯ρρ2σσ¯κτ¯P44(13)lμ=mνλλ¯γμγ¯μμ2+α¯ν+3βννπντP33(14)kν=lπε¯ν3εν+λπ¯γ¯π+γπ+μπμτ¯λτ+Ψ3P23(15)kγ=lε2εγε¯γεγ¯κν+βπ+απ¯ατ+πτβτ¯Ψ2+P34(16)m¯μ=mλα¯λ+3βλαμβ¯μ+μπμ¯πνρ+νρ¯Ψ3P23(17)mτ=lσ+κν¯+λ¯ρ3γσ+γ¯σ+μσα¯τ+βτ+τ2+P11(18)mα=m¯β+αα¯2αβ+ββ¯εμ+εμ¯+γρ+μργρ¯λσΨ2+P12

Weylスカラーの微分

 Weyl曲率の成分の微分は
k[W(,m,v,w)]=(kW)(,m,v,w)+W(k,m,v,w)+W(,km,v,w)+W(,m,kv,w)+W(,m,v,kw)
と表されますが、Wはリーマンテンソルと同様にBianchi恒等式を満たすので、例えばv=k,w=mなどとすると
k[W(,m,k,m)]+[W(m,k,k,m)]+m[W(k,,k,m)]=W(k,m,k,m)+W(,km,k,m)+W(,m,kk,m)+W(,m,k,km)+W(m,k,k,m)+W(m,k,k,m)+W(m,k,k,m)+W(m,k,k,m)+W(mk,,k,m)+W(k,m,k,m)+W(k,,mk,m)+W(k,,k,mm)
が成り立ちます。( Petrov分類1 で見たようにWeylテンソルの0になる成分などを考慮すると(32)が得られます。
同様に以下の式が得られます。

(19)mΨ1=lΨ0kP11+mP144γΨ0+μΨ0+2βΨ13σΨ2+4τΨ12κP13+2εP112ε¯P112βP142π¯P14+λ¯P44ρ¯P11σP12+σP34(20)kΨ1=m¯Ψ0kP14+mP44+4αΨ0+πΨ0+2εΨ13κΨ24Ψ1ρ+κ¯P11+κP12+2εP14κP342α¯P442βP44π¯P442ρP142σP24(21)lΨ1=mΨ2+kP13mP34+νΨ0+2γΨ12μΨ12σΨ33τΨ2πP11π¯P12+2ε¯P13+μP14+λ¯P24+κP33+π¯P34+ρ¯P13+σP23(23)mΨ¯1=kΨ¯2+kP12m¯P14+λ¯Ψ¯0+2α¯Ψ¯1+2π¯Ψ¯1+2κ¯Ψ¯33ρ¯Ψ¯2+κP23+π¯P24+κ¯P13+2αP14+πP14μ¯P44+ρP12ρP34+σ¯P11(24)lΨ2=mΨ3+lP12m¯P13+2νΨ13μΨ22βΨ3+2τΨ3+σΨ4+λP11+μ¯P122β¯P13+νP14+ν¯P24ρP33μ¯P34+τP23+τ¯P13(25)kΨ3=m¯Ψ2+lP24m¯P342λΨ13πΨ22εΨ3+κΨ42ρΨ3+λP14+ρP232γ¯P24+μ¯P24+νP44+σ¯P13τP22τ¯P12+τ¯P34

(26)lΨ3=mΨ4lP23+m¯P333νΨ22γΨ34μΨ34βΨ4+τΨ4+νP122λP13+ν¯P222γP232μ¯P23+2αP33+2β¯P33νP34τ¯P33(27)m¯Ψ3=kΨ4lP22+m¯P233λΨ22αΨ3+4πΨ3+4εΨ4+ρΨ4+2γ¯P222γP22μ¯P22λP12+2αP232νP24+λP34+σ¯P332τ¯P23(28)mP12=kP13+lP14+m¯P112mP342αP11+2β¯P11πP11π¯P12+2ε¯P13+2ρP132γP14+μP14+2μ¯P14+λ¯P24+κP33+π¯P34+ν¯P44+ρ¯P13+σP23τP12+τP34τ¯P11(29)kP34=2kP12+lP44+m¯P14+mP24ρP12κ¯P132αP14πP14κP232α¯P24π¯P24+ρP342γP442γ¯P44+μP44+μ¯P44ρ¯P12+ρ¯P34σP22σ¯P112τP242τ¯P14(30)lP34=kP332lP12+m¯P13+mP23λP11μP12μ¯P12+2β¯P132πP13νP14λ¯P22+2βP232π¯P23ν¯P24+2εP33+2ε¯P33+ρP33+μP34+μ¯P34+ρ¯P33τP23τ¯P13

投稿日:111
更新日:112
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Submersion
Submersion
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専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

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