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はじめに
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で超Riemann積分を定義した.超Riemann積分は一般のRiemann積分同様に極限の操作に弱い.そこで極限操作に強いLebesgue積分の構成方法をもとにして超Lebesgue積分を定義してみたいと思う.
さて,外測度の演算のレベルをあげ開区間の測度をと定義したいところだが,明らかに測度空間にならない.ゆえに,測度論の議論は使えない.ただ,ideaはLebesgue積分の構成方法を使う.
後で見るようにLebesgue可測集合に対応したものは-加法族になる.ゆえに可測関数等の議論はそのまま使える.参考文献[S19]の2B節を参照してほしい.
定義から明らかなとき,通常の測度論での証明と似通った議論となるとき,証明は省略する.
時間がなかったため,メモ書きのようになってしまいましいました.せめて目的の定理25,26を見ていただけると幸いです.時間が空いた時に随時ちゃんとしたものに更新していきます.
とする.
Ratio Measur
Outer Ratio Measure
超積分においては変換の図形的な変換ではなく,量的な変換とみなすのが自然であった.そのことをもとに部分集合の演算のレベルをあげたmeasureを定義してみよう.
開区間の比
をの開区間とする. 開区間の比をと定義する.
またはのとき,と定め,のときと定める.
比率外測度(Outer ratio measure)
の部分集合の比率外測度(outer ratio measure) を
と定義する.ここではの開区間.
は測度にはならないが,通常の外測度と同じような議論が可能である.以下それを見ていく.
をの可算部分集合とする.任意にを取る.各に対し,とおく.
すると,の和集合はを含む.また,であるため,を得る.
各に対しのとき,不等式は明らかに成り立つので,以下各に対しと仮定する.
任意にを取る.各に対し開区間を,その開区間の和集合はを含み,
を満たすように取れる.
集合族を適切に並び替えて,その和集合をを含むようにできて,
.
となる.
よってが示せた.
とはの部分集合とし、を満たすとする.この時,である.
Scaling
の部分集合と非負実数が与えられたとき,のによる拡大を
で定義する.
次の定理の証明には選択公理を使う.
次を満たすの交わりを持たない部分集合 と が存在する.
各に対し,集合をと定義する.もしかつならである.明らかに.
を各に対して,集合の要素がただ一つになるようにとる.この集合の存在は選択公理から従う.
を取ると,を満たす.すなわちなのでである.
集合は交わりを持たず,であることに注意する.
任意のに対し,明らかにとなるのでが言える.
よってをとなるように取ると,
が従う.
通常の外測度も任意の交わりを持たない部分集合に対して加法性が成り立たなかった.そこで加法性が成り立つように集合を集めるというのがLebesgue可測の考え方だった.このideaに則る.
Lebesgue Ratio Measurable Set
の位相は実数での通常の位相の相対位相として定める.
とを互いに素な の部分集合で,は開集合とする.この時,を満たす.
とを互いに素な の部分集合で,は開集合とする.この時,
,は簡単に示せるため.の元の補集合もに属することを示す.
まずがを満たすとする.このとき,任意のに対し,ある閉集合が存在してを満たす.比率外測度の定義からなる開集合が存在してとなる.は閉集合で,なので,
となる.の時はと置けば,比率外測度が有限の場合に帰着できる.
をBorel集合とする.任意のに対して,ある閉集合 が存在し,を満たす.
とを互いに素な の部分集合で,をBorel集合とする.この時, を満たす.
Lebesgue ratio measurable set
集合が超Lebesgue可測(Lebesgue ratio measurable)または単に超可測であるとは,あるBorel集合が存在してを満たす時をいう.
が超可測のとき,であることは明らかなので,その逆を示す.
とする.各に対し,ある閉集合が存在してを満たす.すると
が任意ので成り立つため,.閉集合の可算個の和集合はBorel集合なので,は超可測となる.
を互いに交わりを持たないの超可測集合とする.このとき,
を満たす.
を互いに交わりを持たないのBorel集合とする.定理9系2から各に対し,
なので,と極限を取り,定理2からが分かる.
定義から各に対し,あるBorel集合が存在してを満たす.は互いに交わりを持たず,から次が分かる.
よって示された.
Lebesgue ratio measurable space
の超Lebesgue可測集合全体をとする.組のことを超Lebesgue可測空間(Lebesgue ratio measurable space)または単に超可測空間と呼ぶ.
上で見たように超可測空間は可測空間になるため,可測関数等の議論はそのまま適用できる.
習慣的に演算のレベルを上げて考えるものを“超”と付けて読んでいるが,測度の演算のレベルを上げると“Ratio,比率,比”と呼ぶほうが適切に思える.いい呼び方はないだろうか.
Properties of Ratio Space
Ratio spaceの性質を簡単に見ていく.定理12,13,14は通常の測度空間と同じように議論できるため,証明を省略する.
Almost Every
集合がratio spaceの意味で,の-almost everyであるとは,を満たす時である.
次の定理はEgorov's Theoremに相当するものである.証明は同じように議論できるが載せておく.
をとなるように取る.関数の列はからに写る-可測関数とし,関数に上ほとんどいたるところで各点収束すると仮定する.このとき,任意のに対し,ある集合が存在し,を満たす.さらには上に一様収束する.
任意にを与える.一時的にを固定する.
とおく.各点収束の定義からとなる.各に対し,
とおく.明らかにであるので定理13からである.なので,あるが存在してとなる.
今,とおく.すると
である.とおく.がに上一様収束することを示そう.
任意にをおく.を満たすをとる.するとから各で任意のでが言える.よってはに上一様収束する.
Ratio Integral
ようやく超Lebesgue積分を定義できる.ここでは超Lebesgue積分の簡単な性質と目標の極限操作に強い性質があることを見ていく.
Definition and Properties of Ratio Integral
Partition
の分割(partition)とは,有限個の内の互いに素な集合からなり, を満たすようなものである.
Lower Lebesgue Product
を-可測関数とし,をの分割を取る.下Lebesgue積(lower Lebesgue product)を次で定義する.
.
Ratio Integral of a Function
を-可測関数とする.この時,のによる超Lebesgue積分,と書く,を次で定義する.
.
を部分集合の定義関数とする.
を互いに素なの元とし,が与えられている時,
を満たす.
からに向かう-可測関数の増加列が与えられているとする.
をとした時,次を満たす.
.
互いに素なの元とが任意の点でを満たすように取る.
を取る.各に対し,
と置く.すると,はの元の増加列で,その和集合はと等しい.なので各に対して が成り立つ.
また,各に対しを得る.
この不等式の両辺にと極限を取ると,
を得る.今,を下からに近づける極限を取ると,
を得る.よってを得るので,証明が完了する.
Dominated Convergence Theorem of Ratio Integral
Ratio Integral on a Subset
Suppose is an-measurable function and., is defined by
if the right side of the equation above is defined; otherwise is undefined.
Suppose and is a function such that is defined. Then
Suppose is an-measurable function such that . Then for every, there exists such that for every set such that.
Suppose.Letis a simple-measurable function such thatand. Then we can get because is larger than.
Let and let be such that.
Suppose such that. Then
as desired.
Supposeis an-measurable function such that . Then for every, there exists such that and.
Suppose.Let be a partition of such that
.
Let be the union of those such that . Then.
Now
.
Dominated Convergence Theorem of Ratio Integral
Suppose is an-measurable function, and is a sequence of -measurable function from to such that for -almost every .
If there exists an-measurable functionsuch that
and for every and-almost every , then
.
Suppose satisfies the hypotheses of this theorem.
Let. By lemma24, there exists such that and
.
Then
By lemma23, there exists such that
for every set such that. By theorem16, there exists a set such that and converges uniformaly to on, that mean there exists such that no for all.So imply that
.
Now
Then we see that
.
for all.Taking the limit as of the right side is convergent to.
Thus.
Suppose anf is a bounded function. Then ratio Riemman integrable if and only if.
Furthermore, if is ratio Riemman integrable, then is-measurable and
.
Suppose. Consider the partition, denoted, is defined by
.
Let
and .
The lower and upper ratio Riemman product of for the partition are given by ratio integrals.
Specifical, and .
Clealy is an increasing sequence of functions and is an decreasing sequence of functions on. Define functions and by
and .
We see that and are-measurable functions and
and .
Now this implies that is ratio Riemman integrable if and only if
,
the equation above holds if and only if
.
The remaining details of the proof can be completed by noting that
.
最後に
比率外測度を可測空間に拡張することや,
TyLite🍥
氏の再スケールを使い比率外測度を一般化することは可能であるが,ひとまず上で考えれば十分であろう.次元への拡張のヒントになる可能性はあるが.