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対数関数を含んだ積分の留数定理

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こんちくは

こんにちは。部活も本格的に始まって充実しています。(疲労感は考えないものとします)
普通に筋トレとか体幹トレーニングが拷問すぎて節々が痛い日々ですが...()
さて、今回のお話はとある積分の問題。書道の時間に思いついたやつです。たまたま直近に類題の解説動画を見ていたのでスラスラ解けました^^

本題

今回の主役はこちら

主役

\begin{align*} I=\int_{0}^{\infty}\frac{\ln{x}}{x^4+x^2+1}dx \end{align*}

早速解いてみましょう!
タイトルにもある通り留数定理を利用するので、もちろん複素積分として計算を始めます。
複素関数$f(z) $と閉じた積分経路$C$を次の様に定めます。
\begin{align*} f(z)=\frac{\ln{z}}{z^4+z^2+1} \end{align*}
積分経路 積分経路
$C$を四分割し、$C=C_1+C_2+C_3+C_4$と置くと、分割した経路はそれぞれ
\begin{align*} C_1&\rightarrow z(t)=t\quad(\varepsilon\le t\le R)\\ C_2&\rightarrow z(\theta)=Re^{i\theta}\quad(0\le\theta\le\pi)\\ C_3&\rightarrow z(t)=t\quad(-R\le t\le-\varepsilon)\\ C_4&\rightarrow z(\theta)=\varepsilon e^{i\theta}\quad(0\le\theta\le\pi) \end{align*}
とパラメータ表示されます。
また、経路に含まれる特異点を確認してみましょう。対数関数における$z=0$は経路の取り方を工夫することによって回避しているので考えなくてよいです。そのため分母の関数にのみ着目します。
\begin{align*} z^4+z^2+1&=0\\ (z^2+z+1)(z^2-z+1)&=0 \end{align*}
それぞれ2次方程式を解くと
\begin{align*} z=\frac{\pm1\pm\sqrt{3}i}{2} \end{align*}
と分かります。今回、経路の$R$は充分大きくとるためこれら四つのうち虚部が正の点二つが経路内に入ります。すなわち、特異点は二つです。
これをふまえて、留数定理で線積分を計算してみましょう。
留数定理より、
\begin{align*} \oint_{C}f(z)dz&=2\pi i\text{Res}\left(f,\frac{1+\sqrt{3}i}{2}\right)+2\pi i\text{Res}\left(f,\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)\\ &=2\pi i\lim_{z\to\frac{1+\sqrt{3}i}{2}}\frac{\ln{z}}{(z^2+z+1)\left(z+\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)}\\ &\quad+2\pi i\lim_{z\to\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}}\frac{\ln{z}}{(z^2-z+1)\left(z+\frac{1+\sqrt{3}i}{2}\right)}\\ &=\frac{2\pi i}{(1+\sqrt{3}i)\sqrt{3}i}\ln\left(\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i\right)+\frac{2\pi i}{(1-\sqrt{3}i)\sqrt{3}i}\ln\left(-\frac{1}{2}+\frac{\sqrt{3}}{2}i\right)\\ &=\frac{2\pi(1-\sqrt{3}i)}{4\sqrt{3}}\ln\left(e^{\frac{\pi i}{3}}\right)+\frac{2\pi(1+\sqrt{3}i)}{4\sqrt{3}}\ln\left(e^{\frac{2}{3}\pi i}\right)\\ &=\frac{\pi^2i}{2\sqrt{3}}-\frac{\pi^2}{6} \end{align*}
対数の中身を上手に処理することでとても楽に計算できましたね~。
次に、線積分をそれぞれ計算していきましょう。
\begin{align*} \int_{C_1}f(z)dz&=\lim_{R\to\infty,\varepsilon\to0}\int_{\varepsilon}^{R}\frac{\ln{z}}{z^4+z^2+1}dz\\ &=I \end{align*}
これは$I$そのものですね。これでいったん放置。
次に$C_2$に沿った線積分です。そのままの積分ではなく、全体に絶対値をつけたものを計算します。
\begin{align*} \left|\int_{C_2}f(z)dz\right|&\le\int_{C_2}|f(z)||dz|\\ &=\lim_{R\to\infty}\int_{0}^{\pi}\left|\frac{\ln\left(Re^{i\theta}\right)}{\left(Re^{i\theta}\right)^4+\left(Re^{i\theta}\right)^2+1}\right|\left|Rie^{i\theta}\right||d\theta|\\ &=\lim_{R\to\infty}\int_{0}^{\pi}\frac{|\ln{R}+i\theta|}{|\left(Re^{i\theta}\right)^4+\left(Re^{i\theta}\right)^2+1|}R|d\theta|\\ &\le\lim_{R\to\infty}R\int_{0}^{\pi}\frac{\ln{R}+|i\theta|}{\left|\left(Re^{i\theta}\right)^4\right|-\left|\left(Re^{i\theta}\right)^2\right|+1}|d\theta|\\ &\le\lim_{R\to\infty}R\int_{0}^{\pi}\frac{\ln{R}+\pi}{R^4-R^2+1}|d\theta|\\ &=\lim_{R\to\infty}\frac{R(\ln{R}+\pi)}{R^4-R^2+1}\pi\\ &=0\\ \rightarrow\left|\int_{C_2}f(z)dz\right|&=0\\ \therefore\int_{C_2}f(z)dz&=0 \end{align*}
絶対値をつけたのはこの線積分が$0$になることを示すためでした。少し天下り的な発想ですが、複素積分ではそういうことが多いので定石として覚えてしまってもいいかもしれませんね。
さ、次は$C_3$に沿った線積分。
\begin{align*} \int_{C_3}f(z)dz&=\lim_{R\to\infty,\varepsilon\to0}\int_{-R}^{-\varepsilon}\frac{\ln{z}}{z^4+z^2+1}dz\\ &=\lim_{R\to\infty,\varepsilon\to0}\int_{\varepsilon}^{R}\frac{\ln(-w)}{w^4+w^2+1}dw\\ &=\lim_{R\to\infty,\varepsilon\to0}\int_{\varepsilon}^{R}\frac{\ln{w}+\ln(-1)}{w^4+w^2+1}dw\\ &=\lim_{R\to\infty,\varepsilon\to0}\int_{\varepsilon}^{R}\frac{\ln{w}}{w^4+w^2+1}dw+\lim_{R\to\infty,\varepsilon\to0}\pi i\int_{\varepsilon}^{R}\frac{1}{w^4+w^2+1}dw\\ &=I+\pi i\cdot\frac{\pi}{2\sqrt{3}}\\ &=I+\frac{\pi^2i}{2\sqrt{3}} \end{align*}
次に、$C_4$に沿った線積分ですが、$C_2$とまったく同様に$0$となることを示せるので、計算は省略します。
\begin{align*} \int_{C_4}f(z)dz=0 \end{align*}
以上の線積分を合わせると、
\begin{align*} \oint_{C}f(z)dz&=\int_{C_1}f(z)dz+\int_{C_2}f(z)dz+\int_{C_3}f(z)dz+\int_{C_4}f(z)dz\\ &=I+0+I+\frac{\pi^2i}{2\sqrt{3}}+0\\ &=2I+\frac{\pi^2i}{2\sqrt{3}} \end{align*}
一方、留数定理によると
\begin{align*} \oint_{C}f(z)dz=\frac{\pi^2i}{2\sqrt{3}}-\frac{\pi^2}{6} \end{align*}
が計算できたんでしたね。これらを合わせると、
\begin{align*} 2I+\frac{\pi^2i}{2\sqrt{3}}&=\frac{\pi^2i}{2\sqrt{3}}-\frac{\pi^2}{6}\\ I&=-\frac{\pi^2}{12} \end{align*}
やりましたね!ほしかった$I$が求まりました!
よって、
\begin{align*} \int_{0}^{\infty}\frac{\ln{x}}{x^4+x^2+1}dx=-\frac{\pi^2}{12} \end{align*}

おわり&校長先生のおはなし

今回の様な経路で解けるようなものはおそらく次の条件を満たすときだと思います。
被積分関数が$\displaystyle f(x)\ln{x}$で、$f$がある程度扱いやすい有理関数(偶関数や、2次式の逆数)
練習問題として次の問題を提示しておきます。

演習

\begin{align*} J=\int_{0}^{\infty}\frac{\ln{x}}{x^4+1}dx \end{align*}

てことで今回のお話は以上です!ほな、さいなら!

投稿日:10日前
更新日:5日前
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いつの間にか高校生になった翁です。 書きたくなったことを適当に書いていきます。 注意:ミス多いです。見つけたら指摘のコメントをしていただけると助かります。自分でも努力してます_(_×-×)_

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