はじめまして、りーるると申します。今回が初めての投稿となりますが最後までお読みいただけると私が喜びます✌️
自分は数学の中でも解析系の研究をやっているので同じような方のほんの少しだけでもの知恵にもなれれば嬉しいです。
最初の方は高校生3年生の方でもご理解頂けるような内容にしていくつもりです!
問題は次の式です。
正の実数を$a$と実数全体で連続な関数$f(x)$を用いて次の極限値を表せ.
$$\lim_{n \to \infty} n \int_{ \sqrt[n]{n} }^{ \sqrt[n]{an} } f(x)\, dx $$
実用性があるのか?と問われてしまったらそこでおしまい。というような等式です。
解析系の難問を作りたいなぁと思いながら試行錯誤している時に産まれました。
証明するのは十分力になると思うのでチャレンジしたい方はしてみることをおすすめします!!
$$\lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{n}=1$$
$\sqrt[n]{n}$は常に1以上であることから,0以上である数列$p_n$を用いて,次のようにおける.
$$\sqrt[n]{n} = 1 + p_n $$
$$ n=(1+p_n)^n=\sum_{k=0}^{n}{}_nC_k p_n^k>{}_nC_2p_n^2$$
ここから,
$$n>\dfrac{1}{2}n(n-1)p_n^2$$
となり,$p_n$について解くと,
$$p_n<\sqrt{\dfrac{2}{n-1}}$$
から,はさみうちの原理より,
$$\lim_{n\to\infty} p_n =0$$
よって補題1が成り立つ.
$$\lim_{n\to\infty} n (\sqrt[n]{an}-\sqrt[n]{n})=\log{a}$$
$$n (\sqrt[n]{an}-\sqrt[n]{n})=n \cdot \sqrt[n]{n}(a^{\frac{1}{n}}-1)$$
等比数列の総和公式から,
$$n \cdot \sqrt[n]{n}(a^{\frac{1}{n}}-1) = n \cdot \sqrt[n]{n} \dfrac{a-1}{a^{1-\frac{1}{n}}+a^{1-\frac{2}{n}}+\cdots+1} = n \cdot \sqrt[n]{n}\dfrac{a-1}{\sum_{k=1}^{n}a^{1-\frac{k}{n}}} = \sqrt[n]{n}\dfrac{a-1}{\dfrac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}a^{1-\frac{k}{n}}}$$
となり,区分求積法より,
$$\lim_{n\to\infty} n (\sqrt[n]{an}-\sqrt[n]{n})=\dfrac{a-1}{\int_{0}^{1}a^{1-x}\,dx} = \log{a}$$
微分の定義からも示せます.
本題の証明に移ります.
正の実数を$a$とし,実数全体で連続な関数を$f(x)$とすると,次の等式が成り立つ.
$$\lim_{n \to \infty} n \int_{ \sqrt[n]{n} }^{ \sqrt[n]{an} } f(x)\, dx = f(1) \log{a}$$
$f(x)$は実数全体で連続な関数なので次のように関数$F(x)$をおく.(ただし,$k>0$)
$$F(x)=\int_{k}^{x}f(t)dt$$
すると問題の式は
$$ n \int_{ \sqrt[n]{n} }^{ \sqrt[n]{an} } f(x)\, dx = n (F(\sqrt[n]{an})- F(\sqrt[n]{n})) $$
$F(x)$は$f(x)$が存在し,連続なので微分可能である.平均値の定理より,
$$ n (F(\sqrt[n]{an})- F(\sqrt[n]{n})) = n f(c_n)(\sqrt[n]{an}-\sqrt[n]{n})$$
となるような$c$が$\sqrt[n]{n}< c<\sqrt[n]{an}$に存在する.
$n$を無限大に飛ばすと 補題1,2 はさみうちの原理より,
$$\lim_{n \to \infty} n \int_{ \sqrt[n]{n} }^{ \sqrt[n]{an} } f(x)\, dx = f(1) \log{a} $$
と、こんな感じでした。
最後まで読んで頂きありがとうございました😊